雑誌を10倍楽しむ。出張のちょっとHな話編

 

 

旅はカメラマン連れ世は情

記者というのは出張の多い仕事である。たいていカメラマンと二人連れとなる。

カメラマンは写真室のデスクが指名する。駆け出しの時は当てがいだが、3年も経つと阿吽の呼吸のようなものがあって、気の合うカメラマンをつけてくれるようになる。四六時中行動を伴にするので、相性は結構大切な要素だ。

移動は列車か飛行機。飛行機は台風、大雪で欠航があるので油断できない。カメラ機材の持ち込みも制限がある。列車は時間がかかるが、忙しくて取材に向けての資料を読み込めていない時はかえって助かる。こうした場合、寡黙なカメラマンはありがたい。基本はシングルルーム2部屋。気が合うカメラマンでもツインルームは気疲れする。

大きな出版社は出張案件が多いため、子会社として旅行代理店を持つケースもある。現金を動かさないので懐には優しいが、書類が多くなるので面倒くさい。一長一短である。

 

 

あごあし付きの出張取材

『呼び込み』という取材がある。ドラマの撮影開始のロケにマスコミ各社を呼ぶケースなどだ。テレビ局の番組宣伝部署か、その地域の観光協会が「あごあし」を持ってくれる事が多い。「あご」は食事「あし」は交通費のこと。まあ、それなりの記事を書いてくださいというギブ・アンド・テイクの要素もある。こうした場合、団体行動なのでツインルームになる事が多かった。出張は、のべつ睡眠不足になっている記者には結構ありがたい。ゆっくり睡眠時間が取れる。

 

 

ちょっとHな、ある夜の出来事

ホテルのチェックアウトの際、ある雑誌の男性記者の部屋だけ1000円高かった。なぜだろうと、みんなの領収書を比較したら、【一般教養】という項目に1000円が見つかった。【一般教養】って何?と誰もが思った。あとでアダルトビデオのテレビ・サービスと判明した。男性記者たちはネーミングの妙に感心したが、女性記者たちは呆れ返っていた。

一方でこんなこともあった。伊豆の観光協会がロケ隊と取材陣の歓迎パーティをしてくれた時のこと。黒アワビが出た。ひとり1個七輪で焼いて食べる。高級食材だ。その夜、かなり酔ってロビーのソファでくつろいでいた美人記者が話かけてきた。

「黒アワビ食べました?」

(食べた。食べた。)

「何か思い出しませんでした。今夜、眠れなくなるんじゃないですか?hahaha」

結構な下ネタだと気づくのにしばらくかかった。ふだん上品な女性記者も生身(なまみ)の人間なのだとしみじみ思ったのだった。