テレビ・新聞・雑誌を10倍楽しむ。地獄の年末進行編

 

 

音楽番組編の流れで紅白歌合戦について書こうと思ったのですが、前振りとして出版社の「年末進行」についてお話しましょう。

 

 

週刊誌は400m走、月刊誌はマラソン

雑誌の世界では、「週刊誌」は全力疾走で走り続ける〈400メートル走〉「月刊誌」はペースを考えながら走る〈マラソン〉のような感じ、となる。週刊誌から月刊誌に人事異動になると「身体が楽になった」とほとんどの人がいう。歳を取ると体力はなくなるが、ある程度のポストは与えないといけないので、「週刊誌→月刊誌」と言う異動が多い。週刊誌は大所帯で編集長1名なのに対し、月刊誌は少人数でも編集長1名でポスト数が多くなる。地方(支社)の編集部に出て編集長を名乗るパターンもある。

 

 

 

3週間で6冊分をつくれ

そして年末進行である。週刊誌の場合1ヶ月(4週間)で4冊作るのが基本。これが年末12月の場合、前の方の3週間で通常の3冊、これに合併号(2週間=2冊分)、その後発売の新春号1冊を作る。通常ペース4週間4冊が、年末には3週間6冊になるので「地獄の年末進行」となる。編集部員、紙屋、印刷所、製本所にも年末年始の休みは必要なのだ。

 

 

「タコ部屋」生活にも救いの差し入れ

年末進行のために会社は近くのシティホテルを押さえてくれる。通勤時間が勿体ないと言うのと、ホテルの場合叩き起こして取材に行かせることができるからだ。一旦自宅に帰してしまうと電話で起こしても二度寝してしまい仕事に出て来ない。

「タコ部屋」のようだが、忙しい記者はそのホテルに寝に行く時間も取れない。比較的余裕のある女性記者たちが利用していたが、滅多に地方取材がない者にはシティホテル生活は結構新鮮だったようだ。その上、広告局からお寿司やウナギなどの差し入れが届く。合併号は部数が出るため広告がいっぱい入るのだ。編集部は毎年、寝不足のため「徹夜のハイテンション」の様相を呈した。

 

 

 

独身記者よ、「紅白」「レコ大」に行け

「紅白歌合戦」、「レコード大賞」(かつては大晦日にやっていた)に現場に入るのは独身記者と決まっていた。既婚者は「家族サービスをしなさい」と言う訳だ。生放送なので、記事にするにしてもネタが古くなってしまう。大きく扱われることはまずない。でも一回ぐらいは舞台裏を見てみたい「お化け番組」ではあった。その代わり正月の皇居一般参賀箱根駅伝の取材は勘弁してもらった。いくら何でも1日くらいは休みたい。

 

 

【謝辞】

コロナ騒動の中、自宅待機のひまつぶしに始めたAmebaブログ 「shimada-column」も今回をもちまして20本に達しました。ご愛読?に感謝いたします。引き続きご高覧の上、ご意見、ご感想を賜れば幸いです。

                             2020.6.5   筆者