テレビを10倍楽しむ。アナウンサー編
テレビ局員は大まかに言って3つのグループに分けられます。
アナウンサー=読み・しゃべり要員
プロデューサー、ディレクター=番組作り要員
記者=取材要員
昔は威張っていたアナウンサー
テレビの歴史を見ると、この3群は微妙なバランスの上に成り立っています。
テレビ草創期はアナウンサーが一番威張っていました。出役としてカメラ前に立つことが偉かったのです。アナウンサーがスタッフを怒鳴りつけていることは日常茶飯事でした。
制作費などプロデューサー管轄下のマター、演出などディレクター管轄下のマターなど、その重要性が高くなると、アナウンサーの地位は相対的に低くなりました。今でもアナウンサーは専門職で、局のトップまで上り詰めるケースは少ないようです。
プロデュサー、ディレクターの区別が世間では曖昧ですが、局内ではその役割がハッキリしています。テロップで「制作」と出るのがプロデューサーで《カネ》の責任者。「演出」と出るのがディレクターで《質》の責任者です。
組織の中のアナウンサー室
まずアナウンサーから見ていきます。
このところアナウンス室を編成局の下に置く局が増えました。編成局は一般の企業にはない部局ですが、スポンサーと制作チームの間に立って問題点を調整、局全体の利益を考えてバランスをとっている部署です。エリート集団です。局の社長の多くがこの部署を経験しています。
アナウンス室を制作局の下に置くと、自分の番組に人気アナウンサーを起用して視聴率を上げようとする囲い込みが起きるのです。これはでは局全体の利益にはなりません。
「顔を磨く前に、しゃべりを磨きなさい」
アナウンサーは東京キー局の場合、最低50人は必要と言われています。
番組MC、アシスタント、実況、ニュース読み、ナレーション入れ、提供スポンサー名の読み上げなどの仕事があります。提供企業の読み上げなどは大した仕事ではなさそうですが、スポンサー名を噛んだり、とちったりしたら大変。そこはプロの方が安心です。
この中から人気アナウンサーが出てきます。とくに女性アナウンサーの格付けは注目されています。一時「アナウンサーのタレント化の是非」みたいな議論が起きました。アナウンサー室の室長が女性になった場合、タレント化を嫌う傾向が顕著でした。「顔を磨く前に、しゃべりを磨きなさい」となるわけです。男性の室長はセクハラになるので、こうは言えません。ある東京キー局で女性アナウンス室長が誕生。あまりに厳しかったので女性アナの半分以上が辞めてしまうという事件が起きました。この室長、静かにいなくなりました。人気はあるがカネは掛からず、なんでもやってくれる局アナは結構貴重な存在なのです。
セント・フォースなどの台頭
最近は「セント・フォース」や「三桂(関口宏事務所)」など女性アナウンサーを抱える事務所からも人気者が出ており、局アナにはない彩を放っています。
最近はアナウンサーも取材に出向き、記者やディレクターがカメラの前で喋るので、その垣根は低くなっているようです。