テレビ・新聞・雑誌を10倍楽しむ。ネタ伝達編

 

記者の取材もインターネット普及の「前」と「後」では天と地ほどの差がある。

軍事技術が応用されたものなので、子供だましの玩具とは違い、その信頼感は抜群。仕事で使える。

 

伝書鳩からインターネットへ

原稿・写真が送れるのがすごい。デジタル信号なのでアナログ信号と違い劣化しない。転送、転送が続いてもオリジナルの風合いが保てる。

かつて写真はフィルムの現像という時間的、物理的な壁があった。受け渡しが絶対に必要だった。新聞は電送という手法もあったが解像度が良くなく、雑誌グラビアの分野では敬遠されていた。その昔は伝書鳩を使ったそうだからフィルムの受け渡しは歴史的にも報道の大問題だったということだ。

 

赤電話を隠せ

原稿は電話送りという方法がある。携帯・スマホ時代到来の前の話。現場に出た記者はまず公衆電話を探す。電話ボックの場合は位置を確認する。店の軒先にある赤電話に関しては店主に1万円札を握らせ、奥に隠してもらい自分だけ使えるようにする猛者もいた。公衆電話のまずいのは、他社の記者が後ろに並ぶため内密の話ができないことだ。

ベテラン記者になると、原稿に起さず口頭で記事を送る神業を持つ人もいた。この芸当を「勧進帳」と言う。弁慶、安宅の関の場に因んだものだ。

 

手荷物検査は喧嘩のタネ

救世主は車載電話だった。個人タクシーは車載電話をつけると固定客がつくので普及が早かった。車は雨風が凌げるし、冬、エアコンで暖をとることも、夏、身体を冷やすこともできる。天国だった。ただ、電話送りは固有名詞に要注意。特に人の名前は間違えると記者の命取りになる場合がある。電話送りは受け手にもスキルがいるのだ。

写真フィルムは感光を嫌う。飛行機の手荷物検査は機械に通さず、バックから出して検査員に渡す。恐ろしく時間がかかるので、短気な記者とカメラマンの喧嘩のタネになることもしばしばだった。

 

余談を少々

30年ほど前、もう時効だろうから余談をひとつ。新宿御苑での「総理の桜を見る会」が問題となったが、随分前からこの行事はあった。

天皇の春と秋の園遊会は赤坂御苑で開かれた。園遊会は事前に宮内庁に届け出をして許可をもらった記憶がある。ピリピリした中での取材だった。比較するのもどうかと思うが、一方の「桜を見る会」はほぼ遊び気分で行っていた。首相退陣か、参加したタレントが不祥事を起こした際に写真が使えるだろうという感じ。その当時から税金を使った宣伝イベントの雰囲気はあったということだろうか。