テレビを10倍楽しむ。報道番組編

 

 

3密の打合せ

新型コロナウイルスの流行で情報番組などは「3密状態」にならないようMC、コメンテイター、ゲストの配置に苦労しています。読売テレビの辛坊治郎キャスターが、T B S「グッとラック」にゲスト出演したとき、打合せは顔を突き合わせているのに、スタジオはスカスカ。「テレビは欺瞞に満ちている」と舞台裏を暴露していました。

その週の辛坊氏の番組「ウェイクアップ プラス」(土曜朝)もスカスカの配置で、本人苦笑いしていました。

 

テレビ局の部局構成

テレビ局は報道局、制作局、情報局の3局制のところが多いようです。報道局はニュースや報道番組、制作局はドラマやバラエティ、情報局はワイドショーを作っています。ドラマ部として独立させている局もあります。テレビ朝日、テレビ東京はドラマのプロデューサーやディレクターがいますが「ドラマ部」という部局はありません。ですから「局制作」と呼ばれる自前のドラマ作りは行わず、制作会社と協力して作っています。テレビ朝日は「相棒」の東映、「ドクターX」のザ・ワークスなど実力のある制作会社と組んでいるのです。

 

お堅い報道番組の柔らかい話

報道番組から見ていきましょう。キャスターの読んでいる原稿は、天井にあるカメラで撮って、正面に置かれたカメラレンズの前についたガラス板に投映させています。プロンプターです。これは原稿を丸暗記しているように見えるのでキャスターには最初大変好評でした。なんか頭良さそうに見えます。ずっと原稿に目を落とさず、それでいて原稿をめくるのですから、あまりにも不自然ということになりました。最近は定期的にハッキリ原稿に目を落とすようにしているようです。キョロキョロすると視聴者が落ち着きませんし、年寄りのキャスターは老眼が入っているため、どちらにも焦点が合わずあたふたするからです。

報道の女性キャスターに巨乳がいないことはお気づきでしょうか。これは「巨乳の女はバカ」という迷信によるものです。昔は胸が大きすぎるというので、晒しを巻かされた女性アナがいたなどセクハラ伝説もありました。今でも「見ている男性にわざわざ雑念を抱かせる必要もない」という報道マンはいます。

キャスターがモニターや機材だらけの無機質な部屋で喋ることがありますが、あれが「サブ」です。NHKでは「副調整室(副調)」と言います。サブには演出家がいてスタジオにいるフロアディレクターにインカムという無線機器で指示を出しています。サブを車に載せたのが「中継車」です。

「サブ」があるのですから、もちろん「マスター」があります。スタジオに併設されたサブから、局に1箇所のマスターに信号が送られ電波が出るのです。テロ対策が一番厳しいのはマスターです。限られた技術スタッフしか近寄れません。

 

地震の思わぬ余震

バブルの時期、テレビ局も新社屋建設ブームがありました。報道局は駄々広い部屋を「報道センター」と称して使うのが流行りました。耐震構造も充実。どんな地震があっても電波が出せるというのが売りでした。でも、意外な落とし穴があるもので、震度3ぐらいの地震では全く揺れないのです。キャスターも気づかず、「本当に生放送なのか」という問い合わせが殺到。なかなかテレビは難しいのです。