テレビ・新聞・雑誌を10倍楽しむ。記者の出世街道編
記者とライター
社員の場合は「記者」と言い、フリーランスの場合は「ライター」と呼び、区別しています。総合して文章がうまいのはライターです。月給の人と出来高の人の違いでしょうか。ですが記者は会社の名前を背負っているので信用があり、根回しの仕事もしています。
記者には担当があり「記者クラブ」に属している人もいます。多くの記者クラブは「社員純血主義」を貫いています。フリーランスや外国メディアを排除しているため、ある意味「独占禁止法違反」との指摘もあります。この慣習は「日本の閉鎖性」「取材先とのもたれ合い」などと批判を受けています。
インタビュアー
ライターにはインタビューを得意とする人がたくさんいます。インタビューをするには膨大な資料を読み込まねばならないので、雑用が多くルーティン記事も担当するサラリーマン記者には荷が重いのです。そこでアポ取りやカメラマンの手配などのコーディネーター業に徹することが多いようです。出版社の場合、記者を抱えているのは週刊誌くらいで、隔週・月刊・季刊誌はライターが文章を書いています。週刊誌は突然の事件事故に対応せざるを得ないので無理がきく社員記者が必要なのです。
取材力と文章力
記者には「取材力」と「文章力」の2本柱が必要とされます。取材力とは「どこにニュース価値があるか見極める問題意識」「聞き出す能力」です。取材力がスクープ を生むのですが、100人記者がいる編集部でも、スクープ をとれる記者は5人もいればいいところです。残りの95人が特ダネのコツはどこにあるのか興味津々、毎回スクープ を書く記者を周りで眺めていることが多いものです。
文章力で言えば「名文家」の記者がいます。圧倒的に語彙力が豊富で、凡記者にはなかなか追いつけません。追悼記事などで真価を発揮します。
エリート記者とは
記者を抱えているのは新聞社、テレビ局、出版社(雑誌社)です。会社の場合、出世コースの「ライン」、職人・実務派の「スタッフ」という区別もあるようです。記者でラインに乗っているとされるのは政治部です。とくに与党担当、それも総裁派閥担当です。政治部記者は自分も社内で政治力を発揮するもので、読売新聞の渡辺恒雄主筆、N HKの島桂次・元会長(故人)、海老沢勝二・元会長などは灰汁の強さも一流でした。
雑誌で出世コースと言われるのが表紙担当。顔の広さとコネの強さが生命線で、タレントのスキャンダルなどでは事務所側に立つなど、「平和主義」以って任じています。
その理由は、タレントの売り方に関係があります。メディアに取り上げてもらうのを「露出」と言いますが、無名のタレントの場合、「露出」によって「人気」を「生産」したいと事務所は考えます。ところが、ある程度知名度が上がると「露出」は「人気」を「消費」するものと思うようになります。
この転換によって芸能事務所とメディアの力関係が逆転します。人気者を引っ張り出したいメディアはあの手この手で説得します。売れていない同じ事務所のタレントと抱き合わせる「バーター」など政治的働きかけもします。