年収の壁178万円、政策金利0.75%、年末経済大ニュースの真相
高市経済政策に好感か 支持率75~67%の高水準
12月17日の臨時国会閉会後、年収の壁178万円に引き上げ(18日)、政策金利0.75%に(19日)とたて続けに大きな経済ニュースが飛び込んできた。
これと示し合わせたかのように大手メディアは週末、世論調査を行なった。世論はわかりやすい年収の壁の方に反応したようで、高市内閣の支持率は、上は日経新聞75%から、下は毎日新聞67%と差はあるものの、かなり高い水準を維持している。
国民民主党、来年早々「連立入り」か 連合も容認⁈
年収の壁、いわゆる所得税がかかり始める最低値は、長い間103万円だった。ことし160万円まで上がったものの、年収要件が厳しく大半の家庭では関係なかった。それを国民民主党の肝いりで「基礎控除」「給与所得控除」を計8万円引上げ、2026年から27年の期間限定ではあるものの、さらに10万円上乗せして、これで178万円とした。給与所得者の約8割(年収665万円まで)がこの恩恵に浴することになる。考えてみれば「年収の壁」は物価スライド制にするのが道理ではある。税金の目減りを危惧する財務省などの「意図的サボタージュ」があったとみていいだろう。
これは経済ニュースとしても大きいが、国民民主党が与党入りする可能性が大きくなったという意味で政治ニュースとしても興味深い。国民民主党のスポンサーで絶対反対を唱えてきた連合の芳野友子会長が、「党が決めること」と一転、容認に転じた。連合は1989年、民間組合の集合体「同盟」と公共団体組合の「総評」が合体してできた。連合の中でも元「同盟」系の4産別。自動車、電力、電機、UAゼンセンが国民民主党にシンパシーを抱いていることが大きい。元「総評」系は相変わらず立憲民主党を支持しているが、芳野会長は右へ軸足をずらそうとしているように見える。
「物価対策」植田日銀、首相の顔色みながら利上げ
日銀の政策金利0.75%は30年ぶりの高水準。「物価上昇」と「円安」対策ということだろうが、植田和男日銀総裁は来年の春闘で高い賃上げがありそうだから、と理由を説明した。中央銀行の独立性云々はあるだろうが、金融緩和論者の高市首相の顔色を窺わざるを得ないというのが世渡りというもの。国会同意人事とはいえ、実質的に総裁を決めているのは首相なのだから「長い物には巻かれろ」となろうか。「いま金利を上げるのはアホやと思う」との高市発言があったのは首相になる随分前の昨年9月。それからから1年3か月、物価上昇が政権の致命傷ともなりかねない勢いで、高市首相も陰で利上げ容認に動いたとみていいだろう。物価の方は長い目で見る必要があるが、外国為替市場は利上げどこ吹く風で円安が続いている。国民生活に深い関係がある、銀行の普通預金金利は0.2~0.35%ほどになり、住宅ローン、とくに変動金利住宅ローンが上がりそうだ。