環境計量士 化学分析概論および濃度の計量(環濃) 過去問題・予想問題 対策2 

  10年間で7年出題  

 

酸素計
酸素の常磁性を利用する磁気式(磁気風方式及び磁気力方式)及び
酸素の電気化学的酸化還元反応を利用する電気化学式(ジルコニア方式及び電極方式)

測定原理 
4.1 磁気式は,常磁性体である酸素分子が磁界内で,磁化された際に生じる吸引力を利用して酸素濃度を連続的に求めるもので,磁気風方式と磁気力方式とに分ける。 
  磁気式は,体積磁化率の大きいガス(一酸化窒素)の影響を無視できる場合に適用できる。 
    磁気方式の干渉試験用混合ガスの一成分として、一酸化窒素が使用される。

    磁気式の干渉影響試験用ガスは、「二酸化炭素10%と窒素バランス」又は、
                        「一酸化窒素0.1%と窒素バランス」を使う。 

 (1) 磁気風方式は,磁界内で吸引された酸素分子の一部が加熱されて,磁性を失うことによって生じる磁気風の強さを熱線素子によって検出する。 
     磁気風方式は、一般的な排ガス成分の中で常温では酸素の磁化率が最大で、温度上昇に伴い減少するという性質を利用する。

 (2) 磁気力方式は,ダンベル形と圧力検出形に分けられ,次による。 
  (a) ダンベル形は,ダンベルと試料ガス中の酸素との磁化の強さの差によって生じるダンベルの偏位量を検出する。 ダンベルは、石英など酸素に比べて磁化率の非常に小さい材料を棒の両端に付けたもの。
  (b) 圧力検出形は,周期的に断続する磁界内において,酸素分子に働く断続的な吸引力を,磁界内に一定流量で流入する補助ガスの背圧変化量として検出する。 


4.2 電気化学式は,酸素の電気化学的酸化還元反応を利用して,酸素濃度を連続的に求めるもので,ジルコニア方式と電極方式とに分ける。 

      ジルコニア式の干渉影響試験用ガスは、「一酸化炭素0.1% と酸素4% と窒素バランス」 
       電極式の干渉影響試験用ガスは、「二酸化炭素 10%と窒素バランス」又は、
                         「一酸化窒素 0.1%と窒素バランス」を使う。

 (1) ジルコニア方式は,高温に加熱(数百℃以上)された固体素子(ジルコニア素子)の両端に電極を設け,その一方に試料ガス,他方に空気を流して酸素濃度差を与えて両極間に生じる起電力を検出する。 
 ジルコニア方式は,高温において酸素と反応する可燃性ガス(一酸化炭素、水素、メタンなど)又はジルコニア素子を腐食するガス(二酸化硫黄など)の影響を無視できる場合又は影響を除去できる場合に適用できる。
 ジルコニア方式は、未燃炭化水素を多く含む燃焼排ガスの測定は、ジルコニア素子で燃焼し、酸素濃度が減少するので適していない。  
  ジルコニア方式は,サンプルガスに可燃性物質(水素ガス、一酸化炭素など)が含まれているとセンサー部で反応し正規のサンプル濃度より低く(測定値より低く)表示する可能性がある。
  ジルコニア方式の干渉影響試験には、一酸化炭素と酸素とを含む試験用ガスを用いる。
 (2) 電極方式は、一酸化炭素の測定ができる。

問1 「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」に規定されている計測器に関して、次の記述の中から誤っているものを一つ選べ。

 R1.12.70
 1 磁気式の計測器には、磁気風方式と磁気力方式がある。
 2 試料採取部の構成要素としては、採取管,粗フィルタ,導管,微フィルタなどがある。
 3 ゼロドリフトとは、「計測器の最小目盛に対する指示値のある期間内の変動」のことである。
 4 干渉成分の影響について試験を行う際の試験用ガスは、磁気風方式とジルコニア方式のどちらの計測器とも同一組成のものを用いる。
 5 ジルコニア方式は、電気化学式の一方式である。

問2 「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」に規定されている計測器に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

  H30.12.69
 1 磁気式の計測器は、常磁性体である酸素分子を、高温に加熱することで磁化された際に生じる吸引力を利用して、酸素濃度を測定する装置である。
 2 ジルコニア方式は、高温に加熱されたジルコニア素子の両端に電極を設け、その一方に試料ガス、他方に空気を流して酸素濃度差を与えて両極間に生じる起電力を検出する方式である。
 3 除湿器は、試料ガス又は反応用ガス中の水分を凝縮などの方法によって除去する装置である。
 4 試料採取部において、試料ガス中のダストを除去するためにフィルタが用いられる。
 5 可搬形の計測器では、ゼロドリフト試験における4時間当たりの最大偏差が、各測定段階(レンジ)ごとに規定の範囲内であることが求められている。

問3  「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」に関する次の記述の中から、正しいものを一つ選べ。  

   H28.3.66
 1 ジルコニア方式の計測器は、ジルコニアが磁界内で磁化された際に生じる吸引力を利用して、酸素濃度を測定する。
 2 磁気式の計測器は、一酸化窒素の影響を無視できる場合に適用できる。
 3 採取管には、必ず石英ガラス管を使用する。
 4 試料採取部の導管は、水分を凝縮させるため、十分に冷却する。
 5 ダンベル形は、電気化学式の計測器の一形式である。

問4 「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」に規定されるガス濃度計測器のうち、「磁界内で吸引された酸素分子の一部が加熱されて、磁性を失うことによって生じる現象の強さを熱線素子によって検出する」のはどの方式か。次の中から正しいものを一つ選べ。

 H27.3.65
 1 磁気風方式
 2 磁気力方式(ダンベル形) 
 3 ジルコニア方式
 4 電極方式(定電位電解形)
 5 磁気力方式(圧力検出形)

問5 「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」に規定されている計測器に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

  H26.3.64
 1 ジルコニア方式の計測器は、高温に加熱した固体素子を使用して、比較ガスと試料ガスとの酸素濃度の差を検出する。
 2 磁気式の計測器は、酸素の電気化学的酸化還元反応を利用している。
 3 電極方式の計測器は、電気化学式の一種である。
 4 磁気力方式の計測器には、ダンベル形と圧力検出形とがある。
 5 ジルコニア方式の計測器の干渉影響試験には、一酸化炭素と酸素とを含む試験用ガスを用いる。

問6 「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」に関する次の記述の中から、誤っ ているものを一つ選べ。

 H25.3.63
 1 ジルコニア方式で使用するジルコニア素子は、高温に加熱する必要がある。 
 2 電気化学式は、酸素の電気化学的酸化還元作用を利用して、酸素濃度を測定する。 
 3 ジルコニア方式は、未燃炭化水素を多く含む燃焼排ガスの測定に適している。 
 4 設置の際は、振動が少ない場所を選定する。 
 5 ダンベル形の計測器は、酸素分子が磁界内で受ける磁化の強さを測定するこ とで、酸素濃度を求める

問7 排ガス中の酸素自動計測器、(JIS B 7983)に関する次の記述にあてはまる方式を下の1から5の中から一つ選べ。

 H23.3.61
 『この計測器は高温に加熱した固体素子を使用して酸素濃淡電池を形成し、比較ガスと試料ガスの酸素濃度の差を起電力として検出する。』
 1 ジルコニア方式
 2 磁気力方式(ダンベル形)
 3 磁気力方式(圧力検出形)
 4 電極方式(定電位電解形)
 5 磁気風方式

問8 排ガス中の酸素自動計測器(J1S B 7983)に関する次の記述の中から、正しいものを一つ選べ。 

     H22.3.60
 1 ジルコニア素子は、室温で固体電解質として使用できる。
 2 磁気式の計測器は、振動の激しい環境でも安定して使用できる
 3 ジルコニア方式の計測器は、未燃炭化水素を含む燃焼排ガスの測定に適する。
 4 磁気式の計測器は、酸素分子が磁界内で磁化された際に生じる吸引力を利用して酸素濃度を求めるものである。
 5 磁気風方式の計測器は、磁気力方式のものと比べて試料ガスの熱伝導率の影響を受けにくい。

問9 JIS B 7983に規定されている酸素自動計測器に関する次の記述の中から、正しいものを一つ選べ。 

H21.3.59
 1 磁気式濃度計では、高濃度の一酸化窒素を含む被測定ガスを直接導入して、測定することができる。
 2 ジルコニア方式濃度計を用いて、高濃度の可燃性ガスを含む被測定ガスを直接導入して測定すると、実際の酸素濃度より低い値を示す。
 3 ジルコニア方式と磁気風方式の装置では、同じ組成の試験用ガスを使用して干渉影響試験を行うことができる。
 4 磁気力方式では、熱線素子を使用して試料気流の速さの変化を検出することによって、酸素濃度を測定する。
 5 電極方式の濃度計は、高濃度の二酸化炭素を含む被測定ガスを、直接導入して測定することができる。

問10 JIS B 7983 に定める酸素自動計測器に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

 H20.3.58
 1 体積磁化率が大きい一酸化窒素は、磁気式の装置では、誤差の原因となる。
 2 磁気式は、磁気風方式と透磁率方式に分けられる。
 3 装置の校正を行う場合は、ゼロ調整及びスパン調整をする必要がある。
 4 ジルコニア方式の装置では、可燃性成分が負の誤差の原因となる。
 5 電極方式は、酸化還元反応を起こす成分により妨害を受ける。

問11 排ガス中の酸素自動計測器(J1S B 7983)に規定されるジルコニア方式酸素自動計測器に関する次の記述の(ア)、(イ)、(ウ)に入れる語句の組合せ中から、正しいものを一つ選べ。
 H19.3.57
  ジルコニア方式は、(ア)したジルコニア素子の両端に電極を設け、その一方に試料ガス、他方に(イ)を流したときの(ウ)を測定する。
    (ア)   (イ)   (ウ)
 1 低温に冷却  空気  静電容量 
 2 低温に冷却  水素    インピーダンス
 3 高温に加熱    酸素    静電容量
 4 低温に冷却    酸素    起電力
 5 高温に加熱    空気    起電力

問12 酸素濃度自動計測装置に関する次の記述の中から、誤っ ているものを一つ選べ。

H18.3.32
 1 液体電解質を用いる電極方式酸素計は、長時間の連続運転に適さない。
 2 磁気力方式(ダンベル形)酸素計は、振動が激しい場所での使用に適さない。 
 3 二室形磁気風式酸素計では、測定セルと参照セルの両方に、測定試料ガスを流通させる。
 4 磁気圧方式酸素計は、腐食性ガスに対する耐性が優れている。
 5 ジルコニア方式酸素計は、試料中に共存する水素ガスの影響を受けない。 

問13  排ガス中の酸素自動計測器(J1S B 7983)に関する次の記述において、ア、イ、ウに入れる語句の組合せ中で、正しいものを一つ選べ。
  H17.3
  ジルコニア方式は、(ア)の一種であり、ジルコニア素子は通常(イ)の温度で使用される。ジルコニア方式は磁気式に比べ可燃性ガスの影響が(ウ)。
    (ア)      (イ)    (ウ)
 1 電気化学式   数百℃以上     大きい
 2 光学式          室温付近        小さい
 3 電気化学式      0℃以下         小さい
 4 光学式       数百℃以上      大きい
 5 電気化学式     室温付近    小さい

問14 水中又はガス中の酸素濃度の測定法に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選べ。

 H16.3
 1 ウインクラー法は、水中酸素濃度を測定する方法の一つである。
 2 隔膜形電極方式(水中)は、妨害成分の影響を受けにくい。
 3 磁気式は、酸素の磁化率の大きさが、他の共存ガスに比べて小さく、無視できることを利用している。
 4 ジルコニア式のジルコニア素子は、高温で固体電解質として働く。
 5 触媒燃焼式では、燃焼による試料ガスの温度上昇を熱線素子で検出する方式がよく用いられる。

問15 排ガス中の酸素自動計測器(JIS B 7983)に規定された磁気方式酸素濃度計に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選べ。 
 H15.3
 1 酸素の磁化率が、共存するガスに比べて特に小さいことを利用している。
 2 干渉試験用混合ガスの一成分として、一酸化窒素が使用される。
 3 ジルコニア方式に比べて、可燃性ガスを多量に含む排ガスには適さない。
 4 加える磁界と地磁気の方向が一致するように設置しなければならない。
 5 ダンベル形検出方式のダンベルは、常磁性体である鉄を利用した検出素子てある。

問16  磁気風方式の酸素計に関する以下の記述の中で、空欄(a)~(c)に当てはまる用語の正しい組合せを一つ選べ。 

  H13.3
  磁気風方式は、一般的な排ガス成分の中で常温では酸素の磁化率が(a)で、温度上昇に伴い(b)するという性質を利用する。この方法では、磁場内で酸素濃度に応じて発生する磁気風の強度を(c)で検出している。
   a   b    c
  1 一定  増加    圧電素子
 2 最小    増加    ダンベル
 3 最大    減少    ダンベル
 4 最小    増加    熱線素子
 5 最大    減少  熱線素子

問17 排ガス中の酸素自動計測器(JIS B 7983)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 H12.3
 1 ジルコニア式酸素計のジルコニア素子は、高温(数100℃)の状態では固体電解質として働く。
 2 ジルコニア式酸素計の校正用ゼロガスとして、一定濃度の酸素と窒素の混合ガスを使用できる。
 3 ジルコニア式酸素計の比較ガスとして、空気を使用できる。
 4 磁気式酸素計のダンベルは、酸素と比べて大きい磁化率の材料で製作されている。
 5 磁気式酸素計のダンベルの偏位量の検出又は制御のために、通常は鏡を用いる。

問18 電位差を検出信号とするジルコニア方式酸素自動計測器(JIS B 7983)に関する次の記述のうち、誤っているもを1つ選べ。

 H11.3
 1 ゼロ点校正用のガスとしては、最大目盛値の10%程度の酸素を含む窒素バランスの混合ガスを用いる。
 2 検出器に流す比較ガスとしては、空気を用いることが多い。
 3 被測定ガス中に一酸化炭素が共存する場合の測定値は、一酸化炭素が共存しない場合の測定値より大きくなる。
 4 被測定ガス中にメタンが共存する場合の測定値は、メタンが共存しない場合の測定値より小さくなる。
 5 ジルコニア素子は、常温の状態では酸素濃度の検出器として使用できない。

問19 磁気式の酸素自動計測器に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選べ。

 H10.3
 1 一酸化炭素の干渉による測定への影響変動値は、ジルコニア方式における同様な干渉にる影響変動値より大きい。
 2 磁気風方式の測定セルにおいて、酸素濃度は熱線素子の抵抗変化として検出される。
 3 磁化された酸素分子に働く吸引力を、測定原理に利用している。
 4 一酸化窒素の干渉による測定への影響が無視できる場合に、使用できる。
 5 酸素の磁化率は、温度が上昇すると小さくなる。

問20  「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」に関する次の記述の中から、正しいものを一つ選べ。 

   予想
 1 ジルコニア方式酸素計は、試料中に共存する水素ガスの影響を受けない。 
 2 磁気式の計測器は、振動が激しい場所での使用に適さない。
 3 磁気式は、磁気風方式と透磁率方式に分けられる。
 4 ジルコニア方式は、未燃炭化水素を多く含む燃焼排ガスの測定に適している。 
  5 ダンベル形は、電気化学式の計測器の一形式である。

 

 

解答
問1-4
問2-1   「高温に加熱」→磁界内
問3-2 
問4-1
問5-2     電気化学式が,酸素の電気化学的酸化還元反応を利用
問6-3
問7-1
問8-4 
問9-2
問10-2 磁気式の計測器には、磁気風方式と磁気力方式がある。
問11-5 
問12-5 
問13-1
問14-3
問15-2
問16-5 
問17-4 
問18-3 4番と同じ、測定値より小さくなる。
問19-1 磁気式は、磁化率の低い一酸化炭素の影響はない。
問20-2