Volvoは2021年3月に「2030年までにすべてのボルボ車をBEVにする」という将来計画を発表した。

ハイブリッド車を含む内燃機関を搭載した車をグローバルで段階的に廃止することを目指すとする。

中国の親会社のギーリーの意向もあっただろうし、ICEとBEVの並行開発、生産は体力的にも

厳しかったのだろう。

また、環境保護を大きく謳っていたVolvoにとってはBEVへの移行は好都合だったとも言える。

ヨーロッパ人の言っていることはいつも話半分だが、Ecoは錦の御旗であり、世界的にもBEVへの移行が

直ぐにやってくるような報道がマスゴミによってされていた。

この背景にはHEVの技術で日本に追い越され、ディーゼルで巻き返しを図ったが排ガス不正問題で

大打撃を受け、方向転換を余儀なくされた結果でもある。

ドイツを中心に世界の自動車販売の勢力図を引き戻すため、耳に心地良いZero EmmisionのBEVを

前面に打ち出したのだ。

EUは「2035年までに欧州域内で販売される乗用車の新車100%をZEV化(BEVまたは燃料電池車)」

と狼煙を上げた。

国を挙げて補助金を出し、中国から安い蓄電池を購入し、意識高い系の金持ちにどんどん売って行った。

はっきり言って"環境"なんぞは手持ちの駒の一つに過ぎない。

世界の自動車業界の覇権を握り、自分達に有利な規制と市場を作りたいだけだ。

その手段に”環境”を仕方なく使っただけ。

姑息な手段である。

またその裏には新しい利権が潜んでおり、“環境”なら金を出すと言う愚かな目先の政策に群がる輩が

何処の国にも存在した。

 

ところがBEV自体に陰りが見えてくる。

原因は補助金の廃止と、ある程度BEVが売れたこと、インフラの貧弱さ、充電時間の問題等、

Userが増えてくることで、皮肉にも問題点が露見してきたことになる。

また中国共産党によるメーカーへの大きな補助金の影響もあり、廉価なBEVがEUに流れ込んできた。

これもEU自動車メーカーを焦らせた。

慌てて関税率を上げる処置に出たが、ドイツは中国国内への蓄電池生産の依存度が高く、

自由競争を害するから関税を上げるのに反対!とある意味自分で首を絞めるような発言をしている。

 

VWは例のディーゼルゲートによりBEVへの転換を余儀無くされたのだが、そのBEVでは儲からないことに

ようやく気が付いた。

蓄電池生産は儲からないので自分達で作ることができず、中国依存は益々高まり、しかも補助金無しでは

売れない。

MQBプラットフォームはCostが高い事から、わざわざ安上がりのBEV専用プラットフォームを作ったが、

それでも儲からない。

国内の工場閉鎖や、中国とBEVの共同開発でこの困難を乗り越えようとしているが、経済安全保障を

考慮すれば、いま中国と深く関係を持つのはRiskが大きいと言わざるを得ない。

 

Mercedesはどうか?

EQ Seriesがこれまた思ったように売れず、利益が上がっていない。

完全ZEV化を謳っていたが、市場のニーズに合っていないとして今年の3月にICEも作りますと宣言した。

BEV用とICE用プラットフォームを用意すると言う戦略に出たが、EQS用ラージプラットフォームの開発中止等、

うまく行っていない。

今後はBEVモデルとICEモデルのエクステリアの共通化を図るという。

プラットフォームが異なるのにこれはどういうことか?

BMWはBEVとICEを同じプラットフォームを用いた結果、背の高い車が生まれた。

走りの味も大きく変わったため、Mercedesの戦略が成功すると思ったが、実はBMWの方が

うまくやったという事か?

今後、BMWのように背の高い不格好なICE Modelが生まれる可能性がある。

 

EU市場においてFordも2030年に完全ZEV化を目指していたが、30年以降もBEVとHEVを

併売すると方針変更。

 

Audiについても柔軟に対応するとの声明。Q8 e-Tronを生産するベルギーの工場を閉鎖すると言う噂。

 

ジャガー、レンジのTATA Groupや、Alfa Romeoもまだ発表は無いが、いずれ何かしらの対応を行うだろう。

 

さて一番先にあげたVolvo。

「市場と顧客の需要の変化により、電動化の目標を調整することを決定した」として、これまでの計画を

撤回すると発表。
2030年までに販売する車の90%以上をBEVまたはPHEVにすることを目指し、

残りの最大10%は状況に応じてハイブリッド車にするらしい。

そもそもBEVに対して消費者側に需要なんぞあったのか?

需要を作り出したのは政府と利権を食い漁る議員や再エネ関連業者だろうさ。

まあ、好きにすれば良い。

ところで全てのディーラーを廃止しOnlineのみの販売とするとも言っていたけど、その話はどうなったんだろう?

 

BEVに関してはドイツ政府が2023年2月、合成燃料(eフューエル)による内燃機関の存続を2035年以降も

認めるようEUに提案し、これにイタリアも乗った。

この背景にはもちろんBEVは儲からない事が最大の要因である。

BEVは安定した電気の供給が必要であり、原発前提だと言っても良い。

原発廃止を進めるドイツは何考えているのだろう?

そもそもエネルギー政策の最大のキモは安定供給だ。

自然再生可能エネルギーとは太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在する

エネルギーを用いる事で、枯渇しない、どこにでもある、CO2を出さない事が特徴と言われているが、

一番大事な安定供給を望めないのが現実だ。

しかも効率も悪く、それにかかるCostも増大だ。

自然を破壊し、ソーラーパネルを設置している写真を見ることがあるが、実は本末転倒ではないか。

再エネなんてのは化石エネルギー推進では利権を得ることができない人々の矛先になっているだけなのである。

日本の再エネ議連の連中はそういった連中で固められている。

ちょいと脱線した。

 

結局、様々な不具合に目を瞑り、急ぎ過ぎたBEV展開による問題の顕在化と、思った以上に早かった

Chinaの台頭により、EUは今非常に困った状況に陥っている。

中国への依存率が高い故に大きな文句も言えず、上げた拳は降ろさざるを得ない。

因果応報に過ぎないと僕は思うが、市場やUserの声を無視し、自分達の利権と商売を優先した哀れな結果だ。

今後ICE、BEV、HEV、FCEV等、多様化が始まる。

生き残るためにメーカー同士の提携、合併等で徒党を組むしかなくなる。

HONDA-日産-三菱がその例だ。

体力がないメーカーは無くなる。

環境に配慮しています!とメーカーの姿勢を示さないと株主や、マスゴミから文句を言われ、渋々対応して来たが、

そろそろこのようなEco劇場での三文芝居は終焉を迎えるのではないかと期待したい。

 

 

蛇足

補助金が無くては売れないような車は売るべきではない。

我々の税金が投入されているという事も気に食わないが、補助金の投入はCO2を減らすことが目的ではなく、

BEVを売るための手段である。

CO2を減らすことをまじめに考えるならば、LCA(Life Cycle Assessment)でCO2の排出を考えなければ

ならない。日本においては原発稼働状況から石炭による発電がおこなわれている。また、蓄電池は中華製が

使われていることからLCAで考えればガソリン車よりも排出量は大きい。

確かに政争によって車の規制は大きく変わってきたのは歴史的事実だが、ここまで分かりやすく、

強引で、安易なやり方にはほとほと呆れる。

多くの矛盾と駆け引きの結果がこのカオス的状況を作り出している。

こんなものに巻き込まれるのは我々消費者であり、その影響は計り知れない。

 

今日の猫

廊下でくつろぐボン太。

こういうの見ると猫に生まれ変わりたいと思ってしまいます。

しかも飼い猫に。

でも恐らく地獄行きだから無理か。。