スズキの「10年先を見据えた技術戦略2024」

 

スズキは10年先を見据えた技術戦略を発表したらしい。

興味があったのでちょいと考えてみた。

 

鈴木俊宏社長は「小・少・軽・短・美(しょう・しょう・けい・たん・び)」のスズキ理念に基づき、エネルギーを

極少化し、排出するCO2を極限まで少なくすることで、カーボンニュートラルな世界の実現と世界中の人々に

移動の喜びを提供する技術哲学を宣言した、とのこと。

 

そして技術戦略として次の5つの柱を表明。

1)車両の軽量化を実現する「HEARTECT(ハーテクト)」の進化

2)バッテリーリーン(搭載量を抑える)なBEV/HEV開発

3)ガソリンに加え、バイオガスやバイオエタノールなどのカーボンニュートラル燃料を効率よく燃焼させる

エンジン技術

4)ソフトウェア時代のアフォーダブルな「SDVライト(right=ちょうどいい)」

5)リサイクルしやすい易分解設計

 

何ともスズキらしい内容でうれしくなった。

特に1,2,3については大いに共感できる。

見て行きますか。

 

1)車両の軽量化を実現する「HEARTECT(ハーテクト)」の進化

    どんどん厳しくなる衝突安全性の要件に際してプラットフォームはより頑丈に強く、固く、高剛性が

    求められる。何も考えないでぼんやり設計要件を入れて行くと、重い車になってしまう。

    昨今の車の重量が嵩んでいくのは必要のない電子制御装置、モーター、蓄電池だけでなく、

    衝突安全性能を高めるためでもあるのだ。

    特に軽自動車は車自体が短く、クラッシャブルゾーンが殆ど作れないため、その対応は厳しいものになる。

    それを踏まえての軽量化宣言は素晴らしい。

    次期アルトは現行よりも100kg軽くすると言うのだ!

    以前もスズキは1部品1g軽量化宣言を行い、軽量化に成功した。

    車の部品が3万点くらいと考えて、今回100kg減らすためには1部品辺り約3.3gの軽量化が必要になる。

    プラットフォームの見直しだけでは100kgの軽量化は不可能だから、ある意味、全ての部品の見直しが

    必要になってくる。

    あまりPowerを考えなければ、ミッションもサスペンションもデフもステア回りも全てそのPowerに対応した

    部品でよくなり、自ずと軽量化できる。

    当然無駄な高剛性は必要無いし、衝突安全試験も楽になり、走りも軽快になり、燃費も良い。

    軽量化が軽量化を呼ぶわけであり、これ程よい事は無い。

    欧州車の多くは、商品性を上げるため大きくなり、大きなパワーを必要としている。

    当然それを受け止めるためにそれに見合った部品、機構が投入され、どんどん重くなっている。

    重量化が重量化を呼んでいるわけである。

    今更車を小さくし、Powerを下げ軽量化に進むなんてのは商品力の低下を生むので、

    そこに戻る事はできない。

    ある意味もう詰んでいる。   

    今の時代に、軽量化を堂々と叫ぶとはスズキらしいし、本来向かうべき正しい道だと思う。

 

2)バッテリーリーン(搭載量を抑える)なBEV/HEV開発

    ドイツではBEV補助金がなくなり、急激にBEVが売れなくなってきており、またBEVの開発そのものが

    メーカーの財政を圧迫している。そして思ったよりも売れない。

    国の政策がどうあろうと、売れなくてはメーカーとしてそれに反発するしかない。

    結局大きな、重いバッテリーを積んで走ったところで、車は巨大化し、重くなり、電費は悪くなる一方で、

    2トンの車をちゃんと走らせるためにさらに重くなり、技術の投下が必要となり、その結果、

    価格はべらぼうに高くなる。

    結局BEVこそシティコミューターの使い方が一番ではないか?

    スズキのこの宣言は航続距離の少ないBEVの開発を意味する。

    HEVに関しても同様で、モーターのみで走ることができる距離数を売りにしない、という事。

    どうせなら蓄電池が必須ではないシリーズHEVが適当だと思う。

    ここでも軽量化に繋がる。

 

3)ガソリンに加え、バイオガスやバイオエタノールなどのカーボンニュートラル燃料を効率よく燃焼させる

   エンジン技術

    全ての道路をBEVで埋めることを目標としたEUの馬鹿どものおかげでどれだけ無駄な金が出て行き、

    ECO関連利権が潤った事か。

    カーボンニュートラルが達成できるのであればBEVである必要もないわけだ。

    また中国共産党依存の蓄電池は経済安全保障という観点からRiskが高すぎる。

    ICEに関してはまだまだ発展の余地があり、可能性もある。

    Well to Wheelの観点からカーボンニュートラルを考えているのは日本ぐらいだったけど、最近はようやく

    この考え方に支持も出てきた。

    BEV一辺倒で自動車業界を再び支配しようと試みたEUの奴らに一泡吹かせてやりたいくらいだ。

    トランプが大統領になればBEVへの強制的な方向転換も改められるだろう。

    よってトランプは憎まれるし、利権が奪われる連中にとっては大いに邪魔な存在なのだ。

    スズキはインドでも大きなシェアを持っており、途上国においてはBEVだけではうまく行かないことを

    十分理解しているのだ。

   

スズキというメーカーに対して個人的に思い入れは無い。

痛快なセルボ モードが楽しかったぐらいで、それ以外の車は皆「?」という事が多かった。

セルボモード

5速M/Tで、元気よく走った記憶がある。この頃の軽自動車はけっこうはっちゃけていた。

 

あ、ジムニーを忘れていた。あれは素直で、良い車でした。

スズキの抜くところは徹底して抜くと言う方針もあまり好きではなかったが、今回の宣言は変な社会の

雰囲気や株主の顔色をうかがうようなことが無く、地に足が付いたものだと思う。

皆が言いたくても言えない事をスズキの立ち位置だから言えたことだ、とも考えられるが、それにしても

大英断だったと思う。

ついでにカプチーノでも復活してくれないかな。

色々と期待します。

軽よりむしろシエロの方が僕は乗っていて心地よかった。何故かと言えば、やはりPower不足を感じるから。

軽自動車が880ccぐらいまで排気量を増やしてTurboでものっけたら世界でも通用すると思う。(この車は世界中で人気)

この低価格でこのQualityなのだから世界中びっくりすると思うけどなあ。

 

 

おまけ

カプチーノに乗っていた友人を思い出した。

楽しいと言っていたが、直ぐにリアがブレイクして怖い車だとも言っていた。

軽量で、FRで、ホイールベースが短いこともあり、荷重移動もそれなりにあっただろうから

条件次第ではリア荷重が抜けるのが早かったのだろう。

車重700kg、ホイールベース 2,060mmしかない。

曲がりやすい=発散しやすいとも言え、乗り方次第では危険な車だったかも。

今は横滑り装置、ABSは必須なので、このような車が出てくれば良いなあ。

ある程度安心して乗れるはず。

FRプラットフォームを作る余裕はないだろうけど。

こういう車が乗れた時代だったんだね。良い時代だ。

車に夢や希望がまだ存在していた。幻想かもしれないが、それを抱かせる何かがあった。

縁なく、乗る事はできな方が、相当やんちゃだったみたい。

復活してくれ。

 

車両の軽量化を実現する「HEARTECT(ハーテクト)」の進化に関する図

時代と共にエアコン、パワステを始めとして装備をたくさん積むようになり、高剛性、衝突安全性向上、

軽規格の変更等でどんどん重くなっていたことが分かる。

8代目でシュリンクし、かなり無駄を省いて軽くなったが、現行は60kgも重くなった。

環境性能向上(ISG搭載など)、衝突安全性能、予防安全装備(補助ブレーキ、カメラ、センサー等)

色々積み込まれた結果だが、次世代は1988年に出た3代目と同じレベル、600kgを割ると言う計画。

2トン以上のBEVと600㎏のICE搭載の車を作って走らせるのではどちらが環境に負荷が大きいのか

誰だって分かる事でしょう。

どのメーカーもこういった方向に行くべきだと思う。