光岡 M55

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MITSUOKA M55

また光岡の車への文句になってしまいます。

 

何故光岡の車を忌み嫌うかと言えば、作り手の意識が売れれば良いでしょう?と言う発想のもとに

人の真似をした安易な商品を生み出しているからです。

売れない車を作りたいと思う会社はありませんが、あまりにも安直で薄っぺらな発想の元に企画され、

車メーカーが多くの人と時間をかけて、時代に即し(流行、規制、法的、社会情勢等)、膨大なCostを

かけて作った車を購入してきて以前どこかで見た車を模倣してチョイチョイと作り変えるだけ、しかも

すべての性能面においてBaseになった車を上回ることなく、イメージだけで売る商売に

合点がいかないのです。

差別化の方法はいくらでもありますが、あまりにも浅薄で、この会社にオリジナルはありません。

(あったのはオロチぐらい?)

他人の真似をして売ろうなんて恥ずかしいという気持ちは無いものでしょうか?

いやしくもこの会社は自動車メーカーとして認定されており、もう少し真面目な商品を販売すべきだと思います。

また出てきた車はどれもこれもベースの車の制約を受けた辻褄の合わない醜いデザインをされたものばかり。

車として、工業製品としての造形物のイロハ、約束事を無視したDetailには嫌悪感さえ覚えます。

それでも会社が存続しているのは利益が出ているからですが、悪貨は良貨を駆逐する可能性があります。

この会社の車を買う人を責めることはできませんが、歴代の車のスタイリングをパクッってしかも

歪なものを堂々と販売するこの会社の姿勢が大嫌いです。

 

光岡への悪たれをまたついているのはこんなタイトルが目に入ったため。

とあるWebの自動車関連の紹介記事のタイトルに、
超レトロな「新型スポーツカー」世界初公開! 6速MT×丸目4灯がカッコイイ! 光岡新型「M55」実車
展示実施。

とありました。主観的感想で書くのは構いませんが、仮にも不特定多数の方が見る公共性の高い

Webで、これは煽りタイトルだと思います。

この車はベースがCIVICですけど、こいつがSports Carと思うのは世界で書いた記者ただ一人でしょう。

まあ、“6速MTx丸目4灯がカッコイイ”なんてのも意味不明ですけど。

 

M55とは?

光岡は同社の創業55周年を記念したコンセプトモデル「M55コンセプト」を公開した。

M55コンセプトは、1968年創業のミツオカと同じ55年の人生を歩んだ「同世代の方々」をメインターゲットに据えたコンセプトモデル、だそう。

感受性豊かな少年・少女時代に体験した様々な出来事や1970年代の時代感覚をベースに、当時の夢や希望に満ち溢れ、先の未来を変える大きなエネルギーの中、時代を駆け抜けた方々のマインドを形にしたという事です。

HPには、

「共に同じ時代を生き抜いた、熱くたぎるマグマの様な、夢と希望に満ちたエネルギーをもう一度蘇らせる」

「今を生きる私たちの内側には、まだ熱いエネルギーがあるだろうか」といった情熱的なメッセージが

記載されています。

 

この車が我々オヤジのマインドを形にしたものか?

思い上がりも甚だしいし、まず、失礼だ。

熱くたぎるようなマグマの様なエネルギーなんてそもそもなかったけど、それがこの車に表現されていると

言われても全く納得できない。

デザイナーのコンセプトの説明もそうですが、この手のコピー屋の文言は多くは観念的であり、理解不能なことが

多いですね。

とりあえずM55を見てみましょう。

はっきり言って無茶苦茶な造形です。

今回めでたく真似をされた車はダッジのチャレンジャーなのでしょう。

ケンメリを思い出すと言う方がいると思いますが、ケンメリはそのチャレンジャーを真似したのだから

M55は本家を真似たと言っても良いでしょう。

 

フロントは丸目4灯でレトロ感を出します。これは定番。

FF故にオーバーハングが長くなりますが、レトロ感を出すためにはボンネットをスラントに出来ない。

というか、ベースが平行に近いことも要因。

そのまま平行に引っ張り、ボンネット開口部から先を少しだけ前方に下げています。

昨今の車はエンジンの高さがあり、対人衝突安全性高めるためにBodyが厚いため、どうしても車の

質量が大きくなります。この車はフロントのバンパーから下をなだらかに下げており、明確な段差や

フロントスポイラー的な表現は無く、キャラクターラインもありません。

その結果、フロントオーバーハングのマスがとても大きく、角度によってはクジラの頭のように突き出ているように

見えてしまっています。

通常であれば、こういった見え方を誤魔化すために、キャラクターラインを入れる、何らかの空力処理をしますが、

ダッジを参考にすると、ここにラインを入れるのはご法度。

オーバーハングの延長はこの会社の常なので、まあ、いいや、と思ったのでしょう。

凝視できない造形。やるべきではないことを堂々とやています。

 

CIVICベースの制約としてドアに走るキャラクターラインがあります。

これをどうしても作り直したフロントフェンダーにも残さなくてはいけません。またその高さも変えられません。

仕方なく伸ばし、徐々に凹面を浅くしていきますが、それがフェンダーにぶつかってしまいます。

一旦その凹面が浅くなり、その後フロントへ向かって凹面が元に戻り、その後うっすらとようやく消えています。

その結果、角度によってはこのキャラクターラインが波打って見えてしまいます。

実際は真っすぐなのですが、目の錯覚です。

通常、このような処理をメーカーでは行いません。

歪んで見えるようでは車の造形として失格だからです。

光岡がこれを放置したのか、意図的なのか不明ですが、多くの制約の中で、歪が見えてもフロントフェンダーの

張り出しを優先したのでしょう。

Costの制約かもしれませんが、このよう見えても仕方ないとする姿勢が自動車会社の製品として

僕は納得できません。

上記3枚の写真を見るとこのキャラクターラインがうねって見えます。Sってる、と言います。

CIVICのラインはシャープでエッジが立っていて緊張感がありますが、フロントエンドの方ではもやって消えていきます。

こういった技術的な問題はこの会社の車に付きものです。

まともに見てはいけないと言われればそれまでですが。。

 

リア周りは例の如く悲惨です。

CIVICの大きなリアコンビランプを埋めるため、パネルで隠しますがその分割線は見事にこの車の

雰囲気をぶち壊します。

しかもキャラクターラインが通ってリアコンビにぶつけるのがオリジナルデザインのため、これがよく

目立ってしまいます。

リアコンビの分割線がどうしても目立ちます。

フロントに目をやるとオーバーハングが妙に長く、不格好なのが強調されます。もう少し絞ってやればこんな無様な格好には

なりませんが、制約があったのでしょう。

悉く、人の神経を逆なでする造形です。

 

リアオーバーハングもフロント同様、つるりと仕上げており、鈍重に感じます。

リアウィンドウにはランボルギーニ ミウラよろしくウィンドウルーバーを装着。

確かに70年代に流行ったもの。

セリカLB、ギャラン等によく付けていた記憶がありますね。

こういったアイテムの採用にもあざとさを感じてしまいますけど。

 

一番解せないのがリアコンビランプ

まさか生産車ではこんな処理をしないと思いますが、リアコンビの真ん中をくりぬいて、その奥にバックランプが

収まっています。ただどう見てもちゃんと収まっておらず、斜めに付いています。

しかもランプは四角ですが、リアコンビのくりぬいた穴はその形状に合っていません。

これもベースのCIVICに起因する影響でしょうか?(リアコンビユニットの制約?)

それとも四角いランプしか用意できなかったのでしょうか。

試作車だけのものかもしれませんが、通常、試作車ほど金をかけるか、人手を使うかして見栄えだけは

良く仕上げるものです。

実際に出てきた生産車が酷い、という事は多々あります。

しかしこれは反対のケース。

こういった処理の仕方も全く理解できません。

最低の仕事です。

リアコンビを立体的に仕上げたく、このように凹面にしたのでしょうけど、どうせ金型を新規で作成したのだから、

もう少しうまくできないものか、と思ってしまいます。

これ、どういう事でしょうか? バックランプが明後日の方向を向いているように見えます。

回りの造形とも整合性なく、これはひど過ぎます。

何らかの意図があるなら聞いてみたいです。

 

Detailのみ見れば、レトロ調で何となく懐かしさも感じるかもしれませんが、木を見て森を見ないのは

本質をつかめません。

この会社の車を俯瞰してみると、いつもバランスが崩れており、歪な造形物と分かります。

それが走りのため、性能向上のため、Packaging最適化のため等、論理的なものであれば

理解できます。

しかしながらそれが物真似、しかもレベルが低いものである故に僕は受け入れることが出来ません。

どうせパイクカーを作るなら、せめて日産のBe-1やパオ、フィガロのように商品として耐えうるようなものを

作って欲しいと思います。

もしくは完全レプリカを作れば良いと思います。

ポルシェ 356 スパイダーやACコブラのレプリカのように、これでもか!と言うくらいオリジナルに近い造形で、

中身は現代の車であれば僕は納得できます。

 

多くの価値観があって、公序良俗に反しない限りにおいて、それはどれも尊重すべきだと思います。

M55自体には罪はありません。

この車を好きだと言う人がいても理解できます。

繰り返しますが、これを企画し、販売しようとしている人達の自動車に対する姿勢が気に入らないだけなのです。

 

 

本家 ダッジ チャレンジャー ヘルキャット

そもそも2 Dr.でFR。企画からしてM55は無理があります。

ヘッドライトが奥に引っ込んでいるのはロングノーズを強調させるための手段。迫力も出ます。

Skylineもサイズ的制約からこの表現には苦労していた。

M55は?

こうやって見ると比較するべきものではありませんね。

格好良いです。

 

ケンメリことGC110。GTXはL20にSUツインキャブレター装着で130PS(グロス)。

兄のケンメリはただのGT、シングルキャブで115PS。Netで言えば97PSぐらい。そりゃ、走らないですよね。

センターグリルを少し前に出して、ヘッドライトを奥に置いています。これで奥行き感を出していますが。。。