BMW G20 330e試乗
乗る機会があったので感想を。
Spec
全高1,450mm 全幅1,825mm 全長4,715mm 車両重量 1,830kg
エンジン 2000cc 184ps/5,000rpm 31.0kg・m/4,000rpm
モーター 113PS/3,170rpm 25.5Kg.m/3,170rpm
トータル出力は295ps/420Nm
330iより200キロ重く、320iより290キロも重い。
まあ電池を積めばこうなる。
PHEVは仕方ないか。
BMWのPHEVの仕組みは良く分かっていないが、カタログを見ると50キロ以下だとモーターのみで
走行が可能、必要に応じてエンジンが動き出し、走りをサポートする。
走行中にも搭載エンジンとブレーキ時の発電(回生システム)によって充電できる。
そう言っても回生だけで事足りるわけもなく、電池がカラになればエンジンのみで走る事になる。
PHEVの存在自体に疑念があるが。。
まあ、早速走ってみよう。
スタートボタンを押すと見慣れぬチャイムとモーターの出力モニターが表示される。
何が何だか不明。
とりあえずそのままスタート。
強いトルク感がある。さすがモーター。
但しBEVらしいスムーズさ、静かさはあまり感じられぬ。
但しレスポンスはとても良い。
50キロ以上エンジンがかかるとのことだが、モーターのありがたみが良く分からなかったので、
Sports Modeに。
するといつもの左上がりの馬鹿タコメーターが出てきた。
Sportsにするとエンジンだけで走るのかしら?それともモーターもアシストしてくれるのかな?
良く分からないので、アクセルを床まで踏みつける。
あ、中々速い。
これはアシストしているかも。
ただジャーク感はあまりない。しかも少し浮揚感。
6500回転辺りでパドルでシフトアップ。
何故かシフトチェンジせずにダラダラとタコの針が7000を示したころでシフトアップ。
勿論燃料カットもしているだろうし、完全に頭打ち。
どうもシフトのレスポンスが悪い。
基本的に330iと同じA/Tのはずだが、制御の問題だろう。
シフトレスポンスをSports+にできない事も影響しているか。
エンジン自体は320iと同様で、どちらかというと黒子的なエンジン。
静かでスムーズだが、全開にしていない時はやはりPower感はもう少し。
順にみていきます。
ステアフィール
どうもスッキリしない。セッティングなのか、タイアなのか、良く分からないが、
少なくとも330iのような軽快さは無く、BMWにしては少し粘っこさがある。
カタログを見ると、M-Sportsという名称だが、M-Sportsサスペンションではないようだ。
これも一つの原因だろう。
もう一つはバリアブルスポーツステアリングが付いていない事。
そして200キロの重量増加の影響も捨てきれない要因だ。
少なくともこのフィールはとても気に入っている330iのそれとは異なるし、これまで乗ったBMWの中でも
少し異質だと思う。
遊びがあるとか、質感が低いのではなく、粘度を感じてしまうのだ。
購入の選択時にこの車に乗ったらちょっと受け入れがたいかも。
一般的には上質と言えるが、あくまでもBMWとしての感想。
乗り心地・操安性
M-Spoのサスペンションではないにもかかわらず、やはり硬い。小さいけど角がある突き上げ感はやはり
ランフラットの影響とGood Yearのヤイア自身にも問題があると思う。
あまり好きではないタイア。
乗っていて姿勢変化が大きい(330i比)のはやはり重量の影響が一番大きいだろう。
街を流す時でも車の重さを感じる。
駐車場で動かす時もだ。
ピッチングを感じるほどではないけど、もう少し落ち着いた上質感があっても良いように思う。
少し頑張って走ってみる。
いつものシケインではやはり車の上屋根の動きが大きく感じられ、ロールも大きい。
ステアはこの速度域だとしっかり感があって好ましい。
ブレーキは同じM-Sportsブレーキキャリパーが付いているのだが、踏んだ際のきっちりした
制動感が薄い。これも重量の影響なのかな?
少し速度を上げてゆるいコーナーに入ってみる。
ステアレスポンスはOK。
速い操舵に対して車のロールが意外に大きい。
アクセルを更に踏むとこのロングホイールベースにもかかわらず、荷重がリアタイアにかかるのが
分かった。330iではあまり感じなかったが、やはり姿勢変化が大きいためだろう。
動きは比較して大きいのだが、それでいて不安になるような挙動は無く、「おー、十分」と
いう言葉が自然に出た。
ロールしてから車が安定し、不安感無し。
決して悪くない動きだったと思う。
ただ強いブレーキングではノーズダイブも大きめ。
BMWでは珍しい動きだと思った。
インテリア、シートは330iと共通で、運転していても違和感は無く、無事帰還。
メーターは何を表示しているのか最後まで全然分からなかった。
まあ、見てもしょうがないし。
総評
欧州ではPHVを優遇するルールを盛り込んだ。実際のCO2排出量に、一般的なユーザーの1日の
平均走行距離とされる25kmをかけ、それを電動走行可能距離+25kmで割るという内容で、
通常の測定では180gという悪い数字でも、電動走行可能距離が25kmなら、CO2排出量は
半分の90gになってしまうカラクリ。
全く馬鹿らしいヨーロッパらしいやり方だ。
そんなPHEVはやはりどう考えても僕には無駄なように思える。
中途半端に大きな電池を積む必要があり、そのため重量はどうしてもかさむ。
電池が切れれば330eは320iと同じエンジンで1830キロの巨体を走らせることになってしまう。
330eは50キロ以上の距離を走るとパワーウェイトレシオが9.9になってしまうのだ。
勿論燃費も悪くなるし、重い車を俊敏に走らせるのは大変だ。
今回Sports Modeで走ってみた結果、やはり重さを感じるし、ピッチングもあり、加えてフロントの接地感が
少し足りないように思えた。
ブレーキもかっちり効く感じは薄れている。
毎日50キロ以内の買い物、通勤で、自宅で充電できるような環境であれば良いかもしれぬが、
330iに比較して200キロ重くなったこいつに走りの楽しさが備わるわけがない。
目の前のガソリン残量の数字を見ればEcoと言えるかもしれないけれど、車の重さからして
そもそもEcoでもないし、環境など考えずに中国で作られた蓄電池を搭載していることもあり、
むしろLCAで考えたら(特に日本国内の使用では)CO2の総排出量は多いかもしれない。
走りを楽しむならステアフィールの件も含めて絶対に330iをお勧めしますね。
ただ、330iはもうカタログ落ちしており、買えませんが。
新型5 SeriesはPHEVを日本に導入せず、i5、523i、523dで当面は売るつもり。
PHEVが本国にあるのか不明だが、523iをメインで売りたいのか?
因み523i M-Spoは1800キロもあるそうで、躯体の大きさもさることながら益々資源の無駄遣い
を敢行している。
いずれ5 Seriesの醜態振りを書きたいと思うけど、PHEVが入ってこない理由は何か?
皆馬鹿らしいことに気が付いたんでしょう。
330eは期待も何もしていませんでしたが、まあ、予想通りの出来具合。
思った以上にモーターの恩恵を感じず、真面目に走ると車の重さを感じてしまう。
330iのバランスが少し崩れた印象で、良い車感もなかった。
Ecoに乗っているんだという自己満足は満たされるのか知らないけど、意識高い系のお金持ちの人達の
浅薄な知識に基づいて選択される車、と言う事にしておきますか。
(言い過ぎかも)
補助金が出ると言うのも彼らの心に突き刺ささります。
2023年、国の上限は55万円、東京都は45万円。なるほど。これは買いかも!
330iを買う時は全く気が付かなかった。
ま、330eは考慮もしなかったけど。
充電のハッチがPEHVの証。
それ以外はバッジしか違いは無いみたい。でも何でM-Spoサスペンションじゃなかったのかな?
実はConfort寄りの車ってことなんですかね。
格好だけM-Spoで、サスは基準車と一緒ってのはセレナ ハイウェイスターみたい。