時計のオーバーホール

 

BREITLINGのNavitimerが前回のオーバーホールから5年になろうとしている。

少なくとも4年ぐらいでやってあげたいが、故障もなく、普通に動いているのを

見ると何となくもったいない気がして出すのためらいがち。

とは言え、ムーブメントのOilは確実に揮発していき、慣性が低い軽いギアでも軸や、

歯にかかるその負担は大きくなり、部品が欠けたり、ダメージを与える可能性が高くなる。

よって、できるだけ早くオーバーホールを実施してやりたい。

時計は5本持っているが、3本は休眠中。

お気に入りの時計だけ使用してしまうことと、オーバーホールをしていないため使えない、

という事情もある。

5年おきにオーバーホールしたとして毎年5万円以上の出費が生じるのは痛い。

しかも1本は確実に壊れている。

よってお休みしていただいているのが実情。

 

BREITLINGは正規店で購入したものだが、それはオーバーホールを会員価格で

やってくれること、技術、信頼性を重んじてのことだった。

購入当時は40000円ぐらいでやってくれたはずだが、いつの間にか50000円を超えていた。

しかも正規店がどんどん無くなっていき、東京でも都心の百貨店や、有名な時計店ぐらいしか

取り扱わなくなった。

以前は地元にも正規店があったのだが。。。

希少性を高めることでBrand価値を高め、価格も上げていく。

嫌らしいやり方で全く気に食わないが、日本での販売戦略が大きく変わったのだろう。

最初は安く売り、店舗を増やし、知名度を上げた作戦は完了、ということだ。

仕方なく池袋の東武百貨店へ出かけた。

 

時計を販売するフロアは人が少なく、とても静かだった。

昔は時計店を見に行くのが好きで、新しいモデルをチェックしていたが、今は

そんなこともなくなった。

なんせ、道徳的に許されないくらいに値上げされたこと。

また、デカアツの時計がはやり、日本人の細い腕にとてもではない似合わないものが

多くなったこと、そして無駄な装飾にまみれたものが多くなったこともある。

Navitimerを買ってもう20年近くたつが、これでもういいや、と思ってしまったことが

一番の理由でもある。

(その後OMEGA Speedmaster Pro 裏スケも買ったが。。)

結局新しい時計自体に興味が無くなったんですよね。

 

閑散とした店内で店員を呼び止め、オーバーホールのお願いをする。

受付まで案内されて、時計をチェックされる。

普段から磨き倒していることもあり、大きな傷以外はきれいなまんま。

「あんまり使っていませんね」と言われるのが至上の喜びとしている。

今回も喜びました。

 

さて問題はポリッシュを行うかどうか。以前はポリッシュがなければ値引きをしていたが、

今回は実施してもしなくても値段は変わらないとのこと。

シャープな印象をなくしたくないので、悩んだが、ベルトの傷などは自分では

磨ききれないため、今回はエッジをできるだけ残す方向で、消せない傷はそのままで

よいとして依頼した。

正式な見積もりは別途連絡があるとのことだが、大体70000円を超える

ぐらいだろうとのこと。

まあ、仕方ない。

 

帰り際に時計をあれこれ見て回ったが、やはりとんでもない値段になっているものが多い。

Chronoswissなんてメーカーも大変なことになっていた。

姿勢差を極力抑えるために開発されたトゥールビヨン(脱進機)なんぞ500万円を超えていた。

あんなもん、懐中時計のために開発された技術で、腕時計に必要は無い。

技術の高さを誇りたいのだろうが、500万円だぜ。

意味のないものに価値を見出し、その価値を作り出すのがメーカーの仕事でもあるが。

 

ちなみにこいつ。

世界限定15本
価格:5,390,000円(税込)

 

ちなみに時計のムーブメントの精巧さについて讃えられることが多いが、所詮、慣性が極小の

部品を動かす技術に過ぎない。

車のエンジンの方がよっぽど精密であり、高い技術が使われていると思う。

HONDAのAS800Eが機械時計のような精密なエンジンと言われることがありますが、

逆だろうと。

全く比較にすることはできないくらいの差があると思いますよ。

所詮、トゥールビヨンは1800年代に生まれた技術ですしね。

 

AS800Eです。

 

しばらくして東武から連絡が入った。

とりあえずバラしたが、基本的なオーバーホールとポリッシュを行うとのこと。

ところがリューズの軸の部分が錆びているという。

パッキンが硬化して水分でも入ったのかな? わずか3気圧防水でもあるし。。

しかもリューズが日本においてなく、本国発注とのこと。

いつ部品が入ってくるか分かりませんと言う。

早くても4ヶ月ほどかかる見込みだそうだ。

当然金額も上がり80000円を超えることになった。

うーむ。。。

「どうしますか?」

と聞かれてもじゃあ、「止めます」ってわけも行かない。

OMEGAは御徒町のオーバーホール専門店でやってもらっていて、そこに持っていけば、

安く、早く出来るかもしれないが、面倒だしリューズのStockはないだろう。

「気長に待っているんでよろしく」と言って電話を切った。

 

費用もかさみ、しかも暖かくなる頃まで待つ羽目になるとは。。。

まあ、ゆっくりと待ちましょう。

奇麗になって戻ってくるのは少し楽しみだし。

 

僕のNavitimerは汎用ムーブメントETA7750がベース。これをBREITLINGで組み立て、

部品交換を行い、精度を上げてクロノメーターに仕上げています。

現在販売されているNavitimerはBREITLINGの開発したムーブメントB01を搭載。

それでお値段は1,122,000円。

そりゃあ、興味もなくなるわけですよね。

 

 

おまけ

かなり前、OMEGAのゼンマイをねじ切ってしまい、購入した店に修理とオーバーホールを

兼ねて持って行った。

その店はどういった経緯か不明だが、大きな本店の横に小さく店を広げており、そこの

オヤジからスピマスを当時買った。

店の名前は一緒なので、どういういきさつで店が分かれていたのか。。

オーバーホールもそこで頼んでいたが、いつの間にかその店が無くなっていた。

仕方なく本店に持って行ったが、オーバーホールの費用も高く、ひげゼンマイが切れて香箱等に

大きな傷があれば交換になるため、かなり費用がかさむという見立て。(15万とか言われた。)

OMEGAに持って行ってもオーバーホールだけ10万円近くかかるとのこと。

これは話ならんと思い、オーバーホール&修理を行う店を探すことに。

Netでは色々な店があるが、どれを信じて良いのか全く分からない。

評価も素直に信じられないし。。

有名な時計店などに出そうかなとも思ったが、上野、御徒町を中心に時計屋から依頼されて

オーバーホールと修理を行う店を見つけた。

時計屋から依頼されている店なら信頼性も高いだろうし、値段もそこそこ。

部品は純正を使い、メーカー独自開発のムーブメントは取り扱わないと堂々と

宣言しているのも気に入った。

店舗は普通の家構えで、お店という雰囲気はない。

豆腐でも売っているような店。

結局そこにお願いすることにした。

 

結局仕上がりも精度も悪くなく、価格もかなり抑えられたので、OMEGAの方は其方で

お願いしている。

カルテも手書きで汚い字だが渡してくれたし。

部分代が少し高いかな、という程度で、一応信頼している。

 

 

BREITLING OLD NAVITIMER

もう時計はこれでよいと思ったぐらいのお気に入り。

黒のダイアルにバーインデックス、ステンレスのベルトの組み合わせをお店で見つけるまで

結構時間がかかりました。

これが搭載ムーブメント。

ETA7750という汎用ムーブメントに手を加えて精度を出しています。

一応クロノメーター取得済み。

波模様の「ジュネーブ仕上げ」、ウロコ模様の「ペルラージュ仕上げ」で見た目良くしている。

性能には一切関係ない。

よく見ると部品の面取りもしていないし、使っている部品の貧相さもある。

原価は5万円もしないだろう。

 

こちらはORISのポン乗せ。同じETA7750です。

これだと安く上がるが、裏スケにするならもう少し見た目を考えてほしいかな。

ちなみに昔のOMEGA Speedmasterのオートマチックのムーブメントは故障した際に

部品交換よりも載せ替えの方が安く上がった、なんて話を聞いたことがあります。

そんな世界なんですよね。