少子高齢化は日本における重大な問題として存在しています。
厚生労働省より発表された2023年の人口動態統計によると、出生数・合計特殊出生率ともに過去最低となり、少子化の流れが益々進んでいることが報告されています。
少子化が進む背景には様々な要因がありますが、二人目不妊(続発性不妊)という問題も見過ごせない状況になりつつあります。
厚生労働省が行った第16回出生動向基本調査において、現在二人目の妊娠を希望しているにもかかわらず授かれない方の割合は32%(三人に一人)という結果が出ています。
今回は、二人目不妊(産後のトラブル)に、漢方薬を1つの選択としてご紹介したいと思います。
漢方の世界で不妊は、「腎虚」の状態が考えられます。
五臓六腑の「腎」は生殖機能と深い関係があり、生長、発育を司り、生命エネルギーの根源となる「腎精」を蓄えています。
「腎精」が充実していると生長・発育が活発になりますが、衰えてくると体の老化となって表れてきます。
腎精の不足(腎虚)は、発育障害、足腰の衰え、そして不妊など様々な症状を引き起こすと言われています。
20代をピークに腎精は減少し、卵巣機能や女性ホルモンの低下がはじまります。
加齢とともに減少していくのは自然なことですが、最近はストレス、睡眠不足、偏った食生活などで若い年代でも腎の弱い人が増えているようです。
「腎虚」に対する代表的な漢方薬は、六味地黄丸、八味地黄丸、牛車腎気丸などがあります。
腎精を補い腎のはたらきを助けることで、妊娠力を高めることができると考えらえれています。
腎虚の他にも、
・早産や切迫流産の傾向があった(気虚・気血両虚傾向)
・産後うつ(気滞・心血虚傾向)
・泌尿器や性器のトラブル(感染症など)があった(湿熱傾向)
・ワンオペ育児の傾向や、早期の職場復帰を余儀なくされていた(心労を伴う気血両虚傾向)
・乳汁分泌不足や授乳期間が長かった(気血両虚傾向)
・頻繁に乳腺がつまり、乳腺炎になっていた(気滞傾向)
など様々な要因が考えられます。
冷えや生理不順を放置していたり、産後に過度なダイエットを行ったりなど、妊娠しにくい体質になっている女性も少なくありません。
適度な運動、バランスのよい食事、質の良い睡眠を基本としながらも漢方薬を取り入れることで、体質改善をより早く実感していただけると思います。
二人目不妊や産後のトラブル、産後の体調不良など、お気軽にご相談ください。