『薬食同源』って?
薬食同源は、中国の思想で
“命は食にあり、食誤れば病いたり、食正しければ病自ずと癒える”
…「食は命であり、命は食にあり、食が命を養う。食べたものが体を造り、食は薬(医)と同じである」
という考え方です。
似たような言葉に、『医食同源』があります。これは薬食同源をもとに日本で生まれた造語で、定義は「日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気を予防・治療できる」とする考え方です。
どちらも、「自分の体質にあった食養生」を実行することは、病気を予防・治療する上で必要不可欠ということですね。
そして『正しい食養生』は、漢方薬の治療効果を十分に発揮するためにも非常に重要です。
いくら身体に良いものでも、過剰に摂取すると害になります。
そこで今回のブログでは、毎日の食生活で注意したいポイントをご紹介したいと思います。
摂りすぎると、身体に害をもたらす食べ物
◎甘い物…例:チョコレート・菓子パン・甘いお菓子やジュースなど
(滞る性質なので、体内に湿邪が生じます)
◎油ものや肉類…例:揚げ物・天ぷら・ポテトチップス・各種肉など
(消化吸収しにくいので、体内に湿熱が生じます)
◎香辛料の多い物…例:トウガラシ・カレーライスなど
(刺激が強く熱性があるので、体内に熱が生じます)
◎洋食品、加工食品…例:ファストフード(ハンバーガーなど)・ケーキなど
(消化吸収しにくいので、体内に湿熱が生じます)
◎牛乳、卵、大豆、魚介類
(高たんぱく質で消化吸収しにくいので、体内に湿熱が生じます)
◎生の物、冷たい物、冷凍の物…例:刺身・アイスクリームなど
(胃腸を冷やし、消化吸収機能を低下させ、体内に湿邪が生じます)※果物の食べすぎも注意。
◎コーヒー
(興奮性が強いので、体内に熱が生じます)
◎アルコール類…例:ビール、甘いカクテル類
(湿熱が生じます)
◎タバコ
(熱毒が生じます)
上記のものは、高糖質・高タンパク・脂っこい・冷たいもののため消化吸収しにくく、漢方の世界でいう脾胃(消化器系全般)の機能を低下させ、体内に“湿熱病邪”を生じさせます。
『湿熱病邪』とは…
飲み物や食べ物などが体内に入って消化吸収できずに溜まってしまうと、身体にとって悪いものになると考えられています。この“身体に悪いもの”のことを漢方の世界では『湿邪』といいます。
湿邪が体内に長く溜まると、一部は熱に変わり、湿邪と交じり合って『湿熱病邪』となります。
この湿熱病邪はしつこくて、身体への影響は湿邪よりひどくなります。(ネバネバ、ドロドロしているものがこびりついている感じですね)
漢方薬にはこの湿熱を取り除くことにより病気を治療する処方がたくさんあります。
湿熱病邪は経絡(人間の臓腑や身体全体に「気・血・水」が流れるための通り道)を通じて全身のあちこちへ運ばれ、さまざまな病気が生じる原因となります。
たとえば、内臓のバランスを崩すと内臓病になり、皮膚の働きを阻害すると皮膚病になり、血液に影響し『湿熱血熱“になると皮膚の赤みやかゆみなどが現れます。
さらに、頭部に影響するとめまいや頭痛になり、足腰に影響すると腰痛や膝の痛み、疲れやすく、足の痿弱になるなど、あらゆる病気が発生する可能性があります。
漢方薬の吸収率も悪くなるので、できるだけ過剰摂取は控えて中庸を心掛けましょう。
次回に続く…。