番外編! | しまばら薬局 健康ブログ

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みなさん、こんにちは。 しまばら薬局スタッフの森崎ですニコニコ

 

今回のブログは番外編です音譜

九州の宮崎県で発行されている新聞、『みやざき中央新聞』から、私が感動した話、面白かった話、ためになった話をひとつ選んでご紹介したいと思います。

 

 

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『お世話になったと感じる心を』

 

 

 卒業式のシーズンだ。卒業式といえば、定番曲は『仰げば尊し』だが、これ、ずいぶん前から歌わなくなった学校が結構ある。

 理由は、「自分たちはそれほど尊敬されるような師ではない」と学校の先生たちが自粛したり、保護者からは「教師への尊敬を強要している」という声が上がったり、その他、いろいろあるらしい。

 ちなみに、2年前、四国新聞社が香川県内の学校で調べたところ、歌うと回答した学校は約300校のうち19%の57校だったとか。

 元々は外国の曲だった。それを和訳した明治の日本人は「卒業しても教育を受けたことの恩を忘れるな」という気持ちを若者に伝えたかったのだろう。

 「恩」を英訳しようとすると、「義務」とか「責務」「恩恵」「好意」「親切」という意味の英単語が出てくる。だが日本人にとっての「恩」は、それでは言い表しきれていないように思う。

 簡単に言うと「お世話になった人への感謝の気持ち」というものだろうが、たとえば、「我が師の恩」という場合、教師が生徒に教育を施したり、面倒をみるのは仕事である。それに対して「お世話になった」と感じるか感じないかというのは、個々の感受性の問題で、感じない人とって、あの歌は「恩着せがましい」歌にしか聞こえないのかもしれない。

 先日、倫理法人会が毎週やっている朝6時からのセミナーに参加した。いつもは会員の誰それが講師になって人生を語るのだが、その日は新潟県内で11の薬局を開局している(株)メディック太陽取締役会長の上村國喜さん(72)の経営体験をDVDで学ぶというものだった。

 上村さんは会社が行き詰っていたときの話をされた。社員の交通事故、売上金の使い込み、薬の不正売買で逮捕される社員まで出た。

 倫理法人会の先輩に相談すると「四つの恩」の話をしてくれた。「生んでくれた恩、育ててくれた恩、教育してくれた恩、そして仕事を教えてくれた恩、この四つの恩に報いていないと必ず行き詰りますよ」と。一人の人物の顔が上村さんの脳裏を横切った。

 上村さんは高校卒業後、長岡市内にある小村庄平薬局に入社した。江戸事態から続く薬問屋の老舗だった。社長宅に住み込み、昼は営業、夜は大学に通わせてもらった。上村さんは社長が最も期待する若手の一人だった。

 入社から8年、社内の体質に不満を感じた上村さんは辞表を出した。そして同じ業種の薬屋を立ち上げた。昭和43年、好景気の時代だった。これまで培った営業力で新会社は急成長していった。

 上村さんの脳裏をかすめたのは、若い頃、仕事を一から教えてくれた小村社長だった。その人を裏切る形で、独立した。

 小村社長は既に他界していた。そのことを先輩に話すと、「墓参りでもしたらどうだ」と言われた。

 毎月、月命日に墓参りをするようになった。数か月が経った頃、その寺の住職に声を掛けられ、墓参りしている訳を話した。住職は「仏壇に手を合わせたらどうでしょう」と言った。退職して以来、遠ざかっていた小村社長の自宅を、一大決心して訪ねた。出迎えた小村夫人は一目見るなり「上村君…」と絶句した。

 仏壇に通された上村さん、小村社長の遺影を見た瞬間、涙が溢れた。涙は止めどもなく流れた。しばらくして落ち着いたとき、顔を上げたら横に小村夫人がいた。

 夫人は言った。「将来の有望な社員が辞めて主人はずっと落ち込んでいました。でも今日訪ねてきてくれて、これまでのいろんなわだかまりが全部消えました」

 その後、会社は当時珍しかった医薬分業を導入し、調剤薬局を展開するという次のステージに上がった。

 人は、人生の節目にふとお世話になった人を思い出す。しかし、「お世話になった」と感じる心がないと、四つの恩に気付かず、人生の逆境を乗り越えることができないこともあるかもしれない。

 肝に深く銘じた話だった。

 

 

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