紫陽花の花を切り撮る | 少女勅使河原の混沌たる日常
どこか、海に行きたい

泳ぎたいわけじゃないし、人が多いところは行きたくないけど、
夕方か、夜の浜辺に行きたい

テトラポットの上に座って、夕日が沈むのを見たり
夜の浜辺で、足だけを海の水につけたりして

目を瞑りながら、イヤホンを片方の、どちらかの耳につけて
片方の耳は音楽を、片方の耳からは、海の音を聴いていたい
そして、いつのまにか眠りにつきたい

最後に海に行ったのは、いつだっただろう
親と弟といっしょに、いつも通り喧嘩をしながら行ったのが最後だったっけ

もう、家族で海に行くことはないんだな
もう二度と、家族みんなで笑いあうことは、ないんだろうな
ううん、きっとそうだ
みんなで笑いあえるときなんて、もう来ないんだ

なんだかんだ言っても、家族でいろんなところにドライブしたり、
海に行ったり、遊園地に連れていってもらったりするのは、楽しかったな

あんまり思い出せないけど、今思えば、楽しかったんだと思う

親は喧嘩していたし、弟は泣いていたし、私は悲しくてつらかったけど、
それでも、ドライブしたりするのは、楽しかったんだ、と、思う

親が離婚するなんて、思ってもいなかったよ

いつも喧嘩していて、私と弟は怒られて、おばあちゃんは泣いていて、
父親は母親や私たちに暴言を吐いて、暴力を振るって、
たまに母親に怒られて、無理やり引っぱられたり、叩かれたりもしたけど、
それでも、ずっとこのままだって、心の中では、そう思っていた

家にいたとき、父親の暴力がひどくなってきた頃は、
私はおじいちゃんとおばあちゃんに、助けを求めていたっけ

あの頃、おじいちゃんが私を信じてくれて、助けようとしてくれて、
本当に、すごくすごくうれしかった

今のおじいちゃんは、よくわからない
私は、おじいちゃんを避けているんだと思う

結局、大人は大人でしかない
父親だって、母親だって、おじいちゃんだって、おばあちゃんだって、
みんなみんな、大人は、大人のままなんだ

もう、いいよ
もう、それでいいよ

大人なんて、私はもう信じない
とか言いつつ、母親のこともおばあちゃんのことも、信じているくせに

何に対しても、中途半端な私が悪いんだ
今も昔も、きっとそうなんだ

全部全部、私が悪いんだ
そう思ってしまうのは、そう思えば楽になるから?
それとも、本当に、全部私が悪いから?

自分のことなのに、自分が分からない
今考えていることさえも、いつかは忘れてしまうんだな、と思うと、恐くてたまらない

消えてしまいたいよ
こんなこと言ったら、思っていたら、きっとまた叱られるんだろうな
分かってるよ、分かってるんだ
分かってるけど、それでも、私は生まれたくなかった

死にたくないけど、生きていたいけど、生まれてこなければよかった
私が生きていたってことが、この世界から消えてしまえばいい
でも、それはそれで、やっぱり嫌だ

嫌だけど、生きていたいけど、生きるのは怖いし、死ぬのも怖い
死にたくないんだ、生きていたいんだ

生きるのは苦しくて、つらくて、悲しくて、それでも、生きないといけない
私が生まれてきた意味は、あるのだろうか
あったのだとしても、それを知るのは、なんだか恐く感じる


父親は、「私と父親は家族だから」みたいなことを、よく口にするけど
家族家族って、そんなこと言われなくても分かってるよ
父親と私が家族なのは、もうどうにもできないし、どうにもならない現実だ

父親と母親と、それから先祖のみなさんと、色んな人たちがいて、
私は産まれてきたんだ

そんなの嫌だし、すごく気持ち悪いし、逃げてしまいたいけど
「家族」からは、逃げられない

親が離婚しても、私にとって父親は、父親のままなんだ
なんだか、それがひどく恐ろしく感じる

もう、「家族」って言葉に、縛られたくないよ


気持ち悪いな、
昔、夜目が覚めたときに、弟が寝ている布団(弟はベッドに移動されてた)で
父親と母親がいるのを見たときのことが、忘れられない

あのとき、いや、あのときじゃなくても、他の日のときも
ちゃんと、避妊はしていたのだろうか

母親は、もう体が持たないし、子どもは産めないって、そう言っていたけど
父親は、母親の考えていることを知っていたのかな
嫌がっていても、自分の思いだけで、無理やりあんなことをしていたのかな
それとも、母親も、本当はしたかったのかな
父親に逆らったら、ダメだったからなのかな

性欲なんて、消えてしまえばいいんだ

母親が、今までに何人の人間と体を重ねてきたかは知らないけど、
人数なんて、回数なんて関係ないけど、なんか、すごく気持ち悪い

二日前ぐらいに、母親の携帯からチラっと見えたあの名字は、一体誰なんだろう


大好きな人へ
本当に本当に、ごめんなさい


私は強くないし、強くはなれないかもしれないけど、
弱くても、やさしくありたいです。