２１日放映。１時間３０分ワクのＥＴＶ特集、今回は２部構成、その１部。旧日本軍特攻部隊、「軍神」とあがめられ飛び立ったパイロットが帰還するのは許されなかった。その特攻帰還兵を収容したのが福岡にあった「振武寮」。これまで歴史の表舞台に出てこなかったその隔離施設の実態を伝える。興味深いテーマです。特攻隊員が帰還する、というのは軍の士気に影響し、国民からは不審がられる想定外のこと。ところが機体の不備や不時着その他の理由で帰還したパイロットは少なくなかった。彼らの存在を隠すために福岡につくられた収容施設「振武寮」。そこに収容されていたという人を取材し続けているのが記録作家の林えいだい氏。その取材内容と帰還兵の証言からこの寮の実態と特攻作戦の裏側を明らかにしていく、という息をのむ内容でした。理由を問わず帰還兵を収容したというこの施設、兵は国賊扱いで厳しい仕打ちの軟禁状態。施設が存続したのはわずか１か月半で収容した兵は８０人ほど。陸軍関係の歴史書には一切記述は残っていないという。自分が特攻帰還兵だったことを一切明かさず、この１０年で証言を始めたという老人の姿が胸を打ちました。
・番組評価～☆☆☆☆