かねてからラウンドハウスの駐車場に建設中だった新施設「ラウンドハウス・ワークス」がついに完成、5月18日に稼働した。

 

 この施設は18〜30歳の若いアート・クリエイターの支援・育成プログラムの施設で、生活に問題を抱えた若者がエンタメ業界で活動継続できるよう助成するものである。

 

 

 

 

 

 2006年に再生した現在のラウンドハウスは、そもそも単なる会場ではなく、主に就学期の若年層へのチャリティ芸術教育機関でもあったわけだが、今回その枠を広げ、すでにエンタメ業界で活動しながらも弱い立場にある青年層への支援プログラムを設けたという。

 

 このプログラムはリーズナブルな料金の会員制で、芸術教育や支援にとどまらず、彼らが抱える種々の生活問題への支援も受けられるという。

 

 

 

 現在のラウンドハウス・トラストの創始者トークィル・ノーマンの著書『Kick The Tyres, Light The Fires』には、トラストの理念が書かれており、彼の活動が単なる社会福祉ではなく、有用な経済政策であることを数多くのデータや実例で説明している。

 

トークィル・ノーマン(右)とその著書(左)

 

 実際に今回完成したこの建物も、その費用は2006年以降の運営による利益で賄われており(法律上、原則としてトラストの収益はトラストの拡充にしか使えない)、ノーマンの主張が絵に描いた餅ではないことの証明である。

 

 

 

 しかし、ラウンドハウスのこうしためざましい活動は、残念ながら日本では話題になっていない。多くのメディアや福祉団体、一般の人々、特に子育て世代に知ってほしい。

 

 今後の予定では、起業家やフリーランサー向けのワークスペース「インフレクシオン・ワークスペース」も併設されるという。

 

 

 

 

 建物の外壁全面には鉄道の枕木が使用されている。この枕木はリサイクル材で、レールを取り付ける際に開けられた穴がアクセントになっている。ラウンドハウスがそもそも鉄道施設として建設されたことを意識したものだろう。

 

 

 

 大型音楽スタジオや、サーカスに対応できる高さ3mのスタジオ、ワークショップ用の大型多目的スタジオ、ポッドキャスト専用スタジオが備えられている。

 

 

 

 

 詳しい活動内容や、高画質の画像・図面は以下のサイトで。

 

テクチャーマガジン 公式サイト(日本語で取り上げた数少ないサイト)

https://mag.tecture.jp/culture/20230613-roundhouse-works/

 

ラウンドハウス・ワークス 公式サイト

https://www.roundhouse.org.uk/young-creatives-11-30/roundhouse-works/

 

建物を設計したリード・ワッツ・アーキテクツ 公式サイト

https://www.reedwatts.com/roundhouse-works/