「角川学芸ブックス 童話を書きたい人のための本」
上條さなえ
氏は童話作家で、那覇市の日本蕎麦寶(たから)の女将でもあります。
那覇市に住んでいたとき、近くに日本蕎麦屋ができたのを知り、
おいしくて何度も通いました。
さなえさんにはとても懇意にしていただきました。
私も妻も父母の身寄りはないので、
「私を沖縄のお母さんと思いなさい」と言われました。
沖縄から東京にもどる際、サインをしていただきたくて、
店の近くのジュンク堂那覇店に本書があるのを見つけ、サインしていただきました。

さなえさんの生い立ちは壮絶で、
10歳でホームレスになり、
その後養護施設に入りいじめを受けた少女時代を過ごしています。
その頃のことを書いた「10歳の放浪記」(2006年)を出版し、
NHKの「わたしが子どもだった頃」に出演されました。
教員を4年半で辞め、童話作家になり、
児童館の館長・県の教育委員長を務め、
現在は童話作家とともに講演活動もされています。
サインをいただいてから本書を3年以上もきちんと読まず、
ふと思い立って一気に読みました。
本書を読んで驚いたのは、
癒しのために、童話を書くことをすすめていることです。
自分の幼少時・若い頃の思いをもとにし、
童話を書くことで気持ちが穏やかになるそうです。
その通り!さなえさんはとても穏やかな方です。
- 一枚、また一枚と童話を書き進めるうちに、心の中に「穏やかな風」が吹き始める。
- 50冊近い童話に、心を癒されて今の穏やかさを手に入れた。
- 50冊近くを書かなければ、穏やかさを手にいれられないほど、少女時代の心の傷は深かった。
なぜ穏やかになるか分析しています。
- 童話は読者だけでなく、書き手の心をも癒すから。
- それはあらゆる感情が浄化されるから。
- つまり童話は人間そのものをフィルターで浄化する。
さなえさんの父を題材とした
「おじいちゃんのテーマソング」
を書いたことで、父を亡くした悲しみの感情から抜け出せたそうです。
この”抜け出せた”ということがポイントだと思います。
その他にも、生い立ちと共に童話を書いた心情が書かれています。
童話を書くことはインナーチャイルドの癒しになるのではと思いました。
もちろん、上記のような意味・意義だけでなく、
童話を書くに際しての設定などの書き方についても書かれています。
単に自分のことを童話を書くのではなく、
他の人物や動物に変えての設定方法は役に立つと思います。
発行当時の童話の応募先も書かれています。
本書を読んで、自分だったら何を書きたいかなあと考えました。
