史記(3)独裁の虚実 (徳間文庫)
 司馬遷(著)、丸山松幸・守屋洋(翻訳)

 

 


マンガ「キングダム」が好きです。
そこで「史記」で秦の始皇帝が載っている巻をkindle版で読みました。

 

 

政:えい政、始皇帝

  • 邯鄲(かんたん)の舞姫が呂不韋(りょふい)の子を身ごもり、子楚(しそ)が一目惚れをしたのでゆずった。
  • 予定日から2か月遅れて女が政を生み、子楚はこの女を正夫人とした。
  • よって、政の父は呂不韋だったことが分かる。
  • 政は母と共に趙から秦に丁重に送り返されたとあり、命からがら逃げ出した「キングダム」とは違う。
  • 中華統一後の統治内容が多く書かれているが、暴虐の限り。。。
  • 本巻の半分も行かないところで病死してしまう。

 

信:李信

  • 「キングダム」の主人公
  • 将軍と書かれているので将軍になれたようです!ただし大将軍とは書かれていません。。。
  • 燕の太子を捕らえたことで始皇帝の信任を得た。
  • 楚を攻めるに際し兵数を小さく要望して失敗、始皇帝は激怒した。
  • 他には王賁(おうほん)と燕・斉を平定した記述だけ。

 

王毅将軍

  • 昭王(政の祖父)の時代に超の邯鄲を包囲して、結果的に子楚が脱出することにつながる記述だけ。

 

ろうアイ

  • 太后(政の母)は呂不韋と不義を重ね、まずいと思った呂不韋は”ろうアイ”を当てつけ、太后は身ごもった。
  • ろうアイは強大化し”アイ国”を作ったが、政の命令で滅ぼされた。

 

呂不韋

  • ろうアイに関与したとして免職・蟄居させられ、やがて毒を飲んだ。

 

楊端和(ようたんわ)将軍

  • 魏の衍氏攻め、趙の都邯鄲城包囲の記述だけ。

 

羌かい(きょうかい)将軍

  • 楊端和の邯鄲城攻め参加、王翦(おうせん)との趙攻めの記述だけ。

 

王賁(おうほん)将軍

  • 父の王翦(おうせん)将軍の活躍が多く書かれている。
  • 王翦・王賁父子は功績が高く名声が後世まで伝えられたとある。
  • 始皇帝死後の記述がなく、陰謀に巻き込まれず無事に生きていけたように思える。

 

李斯(りし)

  • 呂不韋の食客だった李斯は、やがて始皇帝の側近として絶大な権力を持つようになる。
  • 史記は統治に関わる記述が多いため、李斯に関わる記述も多い。
  • 二世皇帝を押し立てた趙高(ちょうこう)の陰謀で殺されてしまう。

 

蒙恬(もうてん)将軍

  • 祖父蒙ごう、父蒙武の活躍の記述あり。
  • 蒙恬一族は功績が高く名声が後世まで伝えられたとある。
  • 万里の長城を築いた。
  • 二世皇帝により自決させられた。


上記が本巻の半分くらいまでで、この後秦の衰退により出現する項羽と劉邦や関わる多くの人物が出てきます。
どれも裏切りや猜疑心による殺人の話ばかりです。。。
何百年も戦争が続き、何万人もの軍の記述が何度も出てきて、人口が激減しなかったのかなと不思議に思います。


徳間文庫は原文、読み下し文、訳注、寸評で構成されていて、分かりやすいです。
「キングダム」は連載中のためどこまで描くのかは分かりませんが、本巻の半分くらいまでが相当すると思います。
女性のキャラクターが男性だったり、出自が違っている(書かれていない)ところも分かり、補足的に史記を読むのも面白いです。