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スープを口に含んだその瞬間、唐辛子の存在感に圧倒された。激しく辛い。
しかしどうだろう。すわ暴力かと思われる激しい辛さの合間から、確かな旨味が感じられるではないか。
味噌のコク、肉のダシ、モヤシと麺の甘み、そして唐辛子の辛味が一体となった結果、至高の一品と相成ったのだ。

アカン、クセになってしまいそうだ。
いや、時すでに遅し、だったようだ。

それから私は、足繁く「蒙古タンメン中本」に通うようになった。
数年間ほぼ毎週、多い時は週3回足を運ぶこともあった。
新宿店の店長には「まいど!」と声を掛けられるようにもなった。

私の中本ルーティン(?)は、北極やさいと半ライスを注文し、まず麺を食す。その後、残ったスープと具材でライスをいただく。これが完全に定石化された進行となっている。

いつしか「蒙古タンメン中本」に脳を支配された私は、先々月長野県に移住してきた。
県内に「蒙古タンメン中本」の店舗は無いのだが、ふとした時、あの真っ赤な看板を探してしまう。
向かいのホーム、路地裏の窓、こんなとこにいるはずもないのに。

麻薬を「脳内の神経伝達物質に作用し、酩酊、多幸感、幻覚などをもたらすもの」と定義するならば、それらをもたらす「蒙古タンメン中本」はもしかして…

私は考えるのをやめた。

この気持ち、止めらんねぇよ。

 

 

所用で都内に来る機会があったため、大宮で新幹線を降り、久方ぶりに中本をキメてしまったのだ。
そして私はキマっちゃったまま、この記事を書いている。


さて、ふつふつと疑問が湧いてくる。
「蒙古タンメン中本」は果たして合法なのだろうか。


私は、現在ギリギリ合法なだけであって、実質的には麻薬と何ら変わりないものと結論付けたい。
いきなり明日から非合法と言われても全く不思議ではない中毒性が、そこにはある。

だとしても、定期的にキメるんですけどね。