ウィキペディアで「麻薬」という言葉を検索してみた。

医学上・国際条約上・法律上など、多様に定義付けがなされているようだ。
広義では「脳内の神経伝達物質に作用し、酩酊、多幸感、幻覚などをもたらすもの」とある。

昨年各種SNSで話題になった「麻薬卵」を筆頭に、病みつきになるほど美味しい料理やレシピを「麻薬◯◯」と呼ぶトレンドが生まれた。
流行に鈍感な私でさえそのトレンドを認識しているのだから、なかなか大したもんだ(何様)。

そこでふと、私は思案した。
「自分にとって『麻薬◯◯』と呼ぶべき料理は何だろうか。」

答えに迫るべく、またもや流浪の旅に出た(訳:家の近所のスタバで妄想を始めた)。
長旅の末、私は一つの解を導き出した。

北極ラーメンだ。
辛党フリーク御用達、知る人ぞ知る「蒙古タンメン中本」の人気メニューである。

その出会いは約10年前、大学時代まで遡る。
後輩に連れられ、怖いもの見たさに渋谷の店舗へ向かった。
TOHOシネマズが入っているビルのエスカレーターを下りていくと、地下2階の奥の方に、異様なオーラを放つ店舗の存在を認めた。

店内に入ると、関係各位が大量の汗を滴らせながら、黙々と麺をすする光景が目に飛び込んできた。
「何という所に来てしまったんだ…」
後悔と恐怖で一瞬足がすくむが、男たるもの歩を進めねばならぬ。
着座してから程なくして、眼前に一杯のラーメン(とライス)が運ばれてきた。

赤い。赤過ぎる。

一口も食べていないのに、「若気の至り」という言葉が頭をよぎった。
いや、男たるもの(以下略)。

ようやく意を決して、スープを口に運んだ。

(続く)