楯築遺跡に立ち寄った後、久しぶりに宝福寺(ほうふくじ)様を訪ねた。13年ぶりである。
県下屈指の紅葉の名所であるが、この時期は閑散としていて、ノンビリと散策できる。
このお寺は臨済宗東福寺派で、禅寺なので密教寺院とは様式が異なる。
山門から一直線に延びた参道の先に本堂に当たる仏殿がある。
山門
燈香を献じる場所が無いので仏殿に入って賽銭を納めてお勤めをした。
仏殿
禅寺らしく内部は質素で導師の座の向こうに厨子があり御本尊の虚空蔵菩薩様がいらっしゃる。
天井の雲龍
天井を見上げると大きな龍の絵が描かれてある。
お勤めのあとは仏殿の二段上にある三重塔へと向かった。仏殿から真っ直ぐ上に配されている。
その前に、仏殿裏の井戸を見学した。山号を井山という。その由来となった井戸だ。
千尺井
鎌倉時代中期、お寺の中興の祖、鈍庵和尚が客星の祟りでご病気となられた四条天皇の為に七日間の祈祷を行った。満行の日に祭壇に客星が墜ち四条天皇のご病気は平癒された。客星が墜ちた場所に井戸を掘り千尺井と名付けた。お寺は四条天皇の勅願寺となった。
寺院紹介
寺院名:井山 宝福寺(いやま ほうふくじ)
所在地:岡山県総社市井尻野1968
宗派:臨済宗東福寺派 中本山
御本尊:虚空蔵菩薩
創建年:不明
開祖:日輪
中興年:貞永元年(1232年)
中興:鈍庵慧總
戦国時代の備中兵乱で三重塔以外は灰燼に帰した。現在の伽藍が整えられたのは江戸時代に入ってからである。
焼け残った三重塔は国の重要文化財に指定されており、岡山県下で2番目に古く南北朝時代の建造である。
三重塔から道を隔てた塔頭の般若院では湯豆腐が頂ける。般若院の入り口にはお不動様がおられる。臨済宗では密教臭い仏様である不動明王様もお祀りするのは意外だ。祠には御真言が書かれているが、天台宗読みではなく真言宗読みになっていたのも意外だった。
納経印を頂くために庫裏へと向かった。
庭園と方丈
このお寺は室町時代の画聖・雪舟が少年時代に修業をした。修行もそこそこに絵ばかり描いていたので罰として方丈の柱に縛り付けられた。泣いて床に落ちた涙で足の指を使ってネズミの絵を描いた。今にも動きそうだったので驚いた和尚はその絵の上手さに、以後存分に絵を描かせたという。
柱に縛られた雪舟少年とネズミの像
因みに総社市のゆるキャラ「チュッピー」は雪舟のネズミがモチーフとなっている。
方丈で納経印を頂いた。
方丈前の白梅
なお、宝福寺様オリジナルの納経帳が色違いで3種販売されているが表紙は倉敷帆布で出来ている。ご興味ある方は買い求められたらいかがだろうか。
南無虚空蔵菩薩
南無大師遍照金剛