成就寺様を出て岡山県の県央部、吉備高原へと車を向けた。片側一車線の快適な道で三連休も相まってライダーを数多く見かけた。目指すは備前四十八ヶ寺最後のお寺、円城寺様である。
ひとしきり林の中の道を上り高原へと出た。スポーツ公園の横を抜け国道429号を横切って塩定ふるさと村へと入った。ふるさと村の駐車場に車を駐めて少し歩くと高原の街がある。円城寺門前町である。往古は十数件の僧坊が建ち並び賑わっていたそうだ。
お寺と平行に走る門前町の街道を渡り円城寺様の山門を抜けた。
山門
境内の説明があり、また本堂や鐘楼には張り紙があり分かりやすい。本堂前には燭台と香炉があり持参した燈香を今日初めて献じた。
本堂
本堂外陣の天井には天井絵161枚があり、江戸時代のものを洋画家の小川尊一画伯などにより復元したものだそうだ。
天井絵
下足の上、外陣に上がり拝見して読経を行った。
寺院紹介
名称 本宮山 観音院 円城寺(ほんぐうざん かんのんいん えんじょうじ)
所在地 岡山県加賀郡吉備中央町円城742
宗派 天台宗
御本尊 千手観音
創建 霊亀元年(715年)
開基 行基
本宮山山頂に行基菩薩が正法寺として開山したのが始まりである。鎌倉時代になり現在の地に遷され円城寺と号した。現在、本坊の地蔵院と医王院の2つの塔頭がある。
境内には提婆宮という鎮守社がある。提婆天(だいばてん)様という天女をお祀りしてある。お参りさせて頂いた。
提婆宮
提婆天様の使徒は狐である。この地は合併して吉備中央町となる前、加茂川町であった。「加茂の提婆は人を取る」と恐れられている。提婆宮の杉の木に丑三つ参りを行うと呪った相手につかわしめの狐が取り憑いて殺してしまうのだそうだ。
お寺を参拝し、境内に隣接する地蔵院に納経印をお願いしようと伺うと、ご不在のようでどなたも出てこられなかったので、お寺を後にした。こうして現存する報恩大師備前四十八ヶ寺すべての巡拝を終えた。近場の霊場なのでノンビリと参拝しすぎて3年を要してしまった。
満願の後、報恩大師と備前四十八ヶ寺についてどれほど実像を浮かび上がらせる事が出来たか、といえば、実体は杳として掴めないでいる。