四国徒歩巡拝2巡目初日 平成29年4月8日(土)③ 大興寺へ | しこくあるく

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四国霊場歩き遍路の記録を中心に、寺社巡りや城郭探訪など旅の日記と徒然の感想を書き連ねています。

(つづき)
萩原寺を出て本日の主目的である第六十七番札所大興寺へと向かう。薄日が差してきた。歓迎してくれているのか?夕方までこの天気が保ってくれればよいと願った。

ここからようやく、協力会地図の道を歩く。しかし、所々にしかシールはなく、勘を頼りに歩いた。粟井で県道から別れ東へと向かう。恐らくこの道で良いだろうと歩くと左手に粟井小が見えたので間違いない。途中の公民館で用足しにトイレをお借りした。


少し登ると記憶にある風景となった。丁字路に休憩所があり、ここで雲辺寺から大興寺に向かう道と合流した。どうも余裕が無く休憩所の写真を撮り忘れている。休憩所では女性二名、男性一名が休憩されていた。女性方は通しで自分より少し年上に見えた。男性は区切りで自分より一回りほど若い感じである。男性とは後ほど納札を交換したのだが自分と同姓でYさんという。埼玉からお越しだ。挨拶をすると、女性の一人がお菓子を差し出した。有り難く頂いた。「軽くしたいのでもう一つどうぞ。」と勧められるままに遠慮無く頂戴した。十一時前、「この時間にここだと、皆さん前泊は岡田さんでしょ?」と訊くと、やはりそうだ。ご主人はご健在で御年89歳だそうだ。まだ、遍路道指南をされているらしい。いつまでもお元気なご様子、お世話になった宿のこうした情報を聞くのは嬉しい。


歓談しながらしばし休憩した。次の大興寺は今、60年に一度のご開帳が行われており、志納金は100円なので是非お詣りするよう勧めた。
皆さん、あと一週間もすれば結願を迎えられる。口を揃えて、しんどかった、やっと終わると思うとホッとするなどと言われる。「それがね、結願が近くなると、寂しくなるんですよ。僕は少なくともそうだったので、こうして続けてます。」「え~、ホントに~?」このブログをアップした頃には、区切り打ちのYさんを除いてもう高野山か帰途につかれているだろう。さて、お気持ちはどう変化しただろうか?

女性二名と自分は席を立ったがYさんはもう少し休まれる様子だ。笠の被り方、杖を持つ場所、シールの話等々、話ながら大興寺へと向かった。

大興寺へ

お二人とも前泊の岡田さんで知り合ったそうで、お一人は横浜から、もうお一人は福島県からで東日本の方達だ。通しだから一度の往復で済むが区切りだと交通費など経済的負担が岡山などとは違って大変だ。大興寺の裏口に到着した。寺の外周を右回りに山門へと回り込んだ。


山門前に立っているお地蔵さんについて説明しようとしたのだが、中務茂兵衛さんの建立かと思っていたが”弘化二年”とあり自分の勘違いだったので説明を行えなかった。横浜の女性が持っている玉は何かと訪ねた。すると、お地蔵さんの横に座っていた男性が、お釈迦様の舎利(遺骨)を収めた玉だと告げる。「へ~、そうなんだ。」と女性お二人。え!?そうなの!? 宝珠(様々な力を宿した宝石)じゃないの? と思ったが、男性の名誉のためにここは言わないでおこう。

山門を抜け階段を上って境内へと入った。大興寺の山号は小松尾山である。通称、小松尾寺と呼ばれる。真言宗善通寺派のお寺だ。

ソメイヨシノと本堂

ご開帳とあって賑わいがある。本堂で読経を終える頃、錫杖を持った男性が独特の節回しで大きな声で読経を始めた。大師堂でお勤めをしているとその男性がやってきた。こちらが読経中、本堂と同じトーンで被せてくる。参拝も回を重ねると、これは非常に礼を欠くお勤めなのだと知った。しかし、嘗て車遍路での三巡目くらいまでは自分も同様のお勤めを行っていた。彼を悪くは言えまい。そのうち気づいて頂けると良いが。


お勤めを終えて本堂内へと進んだ。御本尊薬師如来様は平安時代後期の作で像高84cmの檜寄木漆箔坐像である。従って小振りで黒っぽいお姿なのだ。5月8日の閉帳後はもう二度と自分はお目にかかれない。30代後半より上の人達はそうだろう。

ご開帳案内

本堂を反対側に出たところで、女性お二人に大師堂の反対側には伝教大師堂があると伝えた。するとすかさず、本堂内より副住さんらしき若いお坊さんが「天台大師堂ですよ。」と間違いを正された。にわか先達にも困ったものだ。もっと勉強しなくてはならない。


福島の女性は先に本堂を出てしまわれたので、横浜の女性に金胎両部の曼荼羅掛け軸が吊ってあるのを説明した。すると先ほどのお坊さんが、普段はかなり小さい物を掛けてありご開帳の時だけ大振りのものを吊っていると説明された。本堂を出て納経印を頂いていると再び先ほどのお坊さんに、お寺の説明書が賽銭箱の上にあるので持って帰るよう促された。何から何までご親切に有り難いことだ。先達だからと言うわけではないだろう。


女性や他に民宿岡田組がベンチで岡田特製弁当を広げようとしておられたので女性二人に納札をお渡しし、前山遍路センターで遍路大使証書とバッジを受け取るよう勧めた。

大興寺境内 満開のソメイヨシノ

別れ際に、この後の道中無事を祈ると、立派な先達になるようにと励まされた。境内にはYさんの姿もあったので皆さんに別れを告げ大興寺を後にした。
なお、前山遍路センターの開館時間は9時と伝えたが現在は8時になっている。申し訳ないことをした。因みに閉館は16時である。
(つづく)