平成24年5月3日(木) 4日目③徳島市国府町府中~17番~松本屋 | しこくあるく

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四国霊場歩き遍路の記録を中心に、寺社巡りや城郭探訪など旅の日記と徒然の感想を書き連ねています。

(つづき)
寄り道をした分、井戸寺の到着時間が延びた。おまけに早めに国道から脇道に逸れたせいで道に迷った。遍路道以外には道標もルートを示すシールもない。だから、一旦違う道に入ると遍路は迷うしかない。既に4時になろうとしている。農作業をしているオッチャンに「すみません、井戸寺はどっちでしょう?」と道を尋ねた。「ああ、ここを真っ直ぐ行って突き当たって、左へ曲がって北へ行ったらええ。右手に大きな屋根が見えるけん、それが井戸寺や。右手を見ながら行ったらええ。ほおやのぉ、もう一息かかるやろな。」と親切に教えて頂いた。礼を述べて向かうと、何度か通った見慣れた道に出た。打ち終えて宿に向かっているのだろう女性2人組とすれ違った。間違いなく井戸寺に向かっている。オッチャン、感謝。

$密嚴國土-12050313井戸寺
            井戸寺
4時20分、井戸寺に到着。門に向かって左脇に松本屋。良かった、宿は目の前なんだ。
打ち終えたI氏と言葉を交わす。「僕がここに来たら、さっき言ってられた男性とすれ違いました。彼、相当速いですよ。」とI氏。「やっぱり。来る途中、レディの看板が見えたんで、薬局寄ってきました。松本屋って直ぐそこなんですね。」「そうですよ、直ぐ横です。お先に。ではまた、宿で。」
相変わらず風が吹いている。燈香が灯しにくい。4時40分過ぎ、打ち終えて門を出た。

$密嚴國土-12050314おんやど松本屋
        おんやど松本屋
門の横が今日の宿。上の写真には井戸寺門前の灯籠が写っている。直ぐ横なのだ。入口で農作業を終えて帰ってきた宿のオヤジさんに会った。「お世話になります。」と名を告げると玄関に案内して頂いた。「杖、洗っておきますから。」と杖を預かって貰った。靴を脱いであがると足の裏が痛い。
民宿だけあって、自宅を多少改築したまるっきりの民家である。オカミさんが2階の部屋に案内してくれた。どうやら相部屋ではないらしく、1組1部屋のようだ。「いま、一人お風呂に入っておられますから、出られたら案内します。洗濯物があったら言って下さい。」有り難い。洗濯のお接待がある。申し訳ないが前日に汗と雨で濡れたものを出させて頂くことにした。程なく声が掛かり風呂に案内して頂いた。ソックスを脱いで素足になると、歩くのが余計に辛い。膝も痛くなって階段の昇降も悲惨である。
風呂から井戸寺が見える。入っていると読経が聞こえる。5時を回っても参詣している人がいるようだ。
慣れて札所とも顔馴染みの遍路などは、あらかじめ5時を回る旨を電話して納経所を開けて貰っていると聞いたことがある。顔が利いてこその裏技?である。
風呂から上がり夕食前まで、部屋で足裏の手当をした。左足裏に出来たマメは500円玉よりも一回り大きかった。キズテープも見当を付けて買ったつもりが、予想以上にマメの方が大きく驚いた。また、小さなマメが両親指の外側と両小指と左中指の腹にそれぞれ出来ている。買った爪切りでマメを潰し、部屋に備え付けのティッシュを頂いて液を抜き、キズテープを貼る。見事に痛々しい足になった。
$密嚴國土-12050315おんやど松本屋
       松本屋の部屋の様子
さて、部屋は1人には十分すぎるほどに広くテレビはない。自分と向き合うには丁度いいかも。
風呂に入る前後ぐらいだろうか、女性の泊まり客らしい来客の声が聞こえた。案内に3部屋とあった筈なので、I氏含めこれで満室なんだろう。
外を見ると母屋の横に納屋がある。松本屋はこの辺りの農家である。

6時半頃、夕食の支度が出来たと声が掛かった。
下りて行くとI氏が席に着いていた。I氏も歩き方が痛々しそうである。
夕食はといえば、巨大なとんかつをメインに様々な料理が並んで豪華である。一日中歩いた体にはこれだけの量も難なく入る。
食べていると隣に3人分が用意され、女の人3人が入ってきた。今朝、福井から出てきたのだそうだ。それでも徳島駅に1時に着いたそうで、福井からでも意外と早く着くものだと思った。1周目のお遍路さんたちである。
I氏はといえば、明日は鶴林寺麓の”金子や”まで約30kmの行程。今回、平等寺横の”山茶花”に予約を入れたら駄目だったそうだ。山茶花は人気の遍路宿の一つとのことである。自分も次回は予定に入れてみよう。女性3人はどこまで行こうかねーとあまり予定は決まっていない様子。「恩山寺までどのルートを通りますか?」とI氏。「眉山横の山越えをしようと思っています。多少距離が短いので。」と答えると「登りは避けたいので、前回同様、市内を回ります。山越えする人は聞いたことがないです。市内の方が信号と橋が多いけど。」と、地蔵越えは避ける様子。自分も弱気になり部屋に帰ってルートを確認することにした。「平等寺から薬王寺までは国道じゃなく海沿いの道が眺めが良くてお薦めです。砂浜も綺麗です。」とお薦めのルートを教えて貰った。暫く歓談して、もう出来上がった洗濯物を受け取り、それぞれの部屋に戻った。
早速、地図を確認すると市内回りは地蔵越えより800m長い。僅かな差である。市内回りを通ることに決めて8時を回った頃に床についた。

本日の歩行距離:約27km 歩数:41,616歩。
一日の歩数と距離はこの日が人生で一番かもしれない。

トラブルなく、マメは出来つつも無事歩き通せたことと、人の親切に感謝。
南無大師遍照金剛