皇位継承と皇族数確保の国会での議論が怪しさ満点ということについて | しこうかいブログ

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忙しさにかまけてブログ更新が滞っていましたが、忙しいとか言っておられず、何が何でも書くしか無いとの思いで書き始めました。

 

5月17日。こんなニュースが流れました。

 

 

 

憲法改正の動きもあり、皇位継承と皇族についても気にはしていたのですが、漠然と思っていたよりも早く動き出しました。なぜ、この時期に出てきたのか。まぁ。2024年だからと言えるのでしょうが、その理由は今回は書きません。そんなことより本題です。

 

今期国会で議論されることは、令和3年に有識者会議から出された報告書の内容についてになります。大きくは2つで、まずは、皇位継承について。

 

以下は報告書の概要から。

 

赤文字の部分をみると、皇位継承については正統な順位が確認されており、とても良かったと思いました。そして、悠仁親王殿下の次のコトを議論するのは時期尚早である。ということも全く理解できないというものでもありません。

 

そして、もう一つの議題が青文字で書かれている皇族数の確保を図るというものです。

 

怪しいのはココ(赤枠)です。

 

なぜ、これが怪しいのかについてが本題です。
一つずつ検証します。

①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること

 これは、愛子内親王のことを意識していると思います。皇位継承順位では、女性である愛子内親王の名前はありませんでしたので、女系に繋がる危惧も無くなったという点も評価できていたのですが、この ① は、その代わりに出てきたと推測されます。要は女系天皇に繋げる危険性を内包しています。
 

 それは何故か?と言う前に、ちょっと思いを巡らせて欲しいと思います。この案では、内親王は皇族としての身分を保持していただきますが、配偶者と子は一般国民としています。同じ屋根の下、家族の内、母親だけが皇族。父親と子どもは一般人となるわけです。これってどの様な環境なのでしょう。子どもが学校に通うようなったとき、子どもは一般国民ですが、周囲の人たちは「普通の人」として接すことができるのでしょうか。 父母会のとき、父親は一般国民ですから、身辺警備など必要ないというか居ないのが自然ですが、母親は皇族ですから警備が居るほうが当然だと思います。普段の買い物などはどうするのでしょう。下世話な世間の目というものもあります。こんな環境、状態になってしまうことは、内親王やそのご家族にとって良いことなのでしょうか。

 次に本題です。何が危惧されるのかと言いますと。悠仁親王がご結婚され天皇陛下になられた後、皇太子がいらっしゃることが何よりも喜ばしいことです。しかし、これは不敬であり云うことも憚れるのですが、そうならなかったときに、一般国民とご結婚されてた愛子内親王に素晴らしい男の子がいらして、とても国民から愛されていたら、またしてもおかしな世論が誘導され、不穏な空気感となるかもしれません。そうなったとき、万が一のことが起これば、女系天皇が誕生し、「万世一系」という建国以来、2680年以上護られて来たわが国の国体は損なわれてしまいます。

 国体が損なわれるということは、「日本」が「日本」では無くなるということです。
 

 では、その後の「今まで日本だった国」はどうなるのでしょうか。国体というものは目に見えません。ですから、目に見えているもの、触れられるのも、要は物質的なモノは何も変わりません。本州や四国、九州、北海道という土地が無くなるわけはありませんし、「日本」という文字に書いた国号も「文字」として変えない限り残ります。
 

 しかし、国体が変わるということは、建国の理念、精神、繋いできたモノは一旦ここで終了するということです。そして、新しい「国」なのか「どこかの植民地」なのか「形態」は別にして、そのようなモノが始まるということです。

 その結果、私たちの生活が良くなるのか。悪くなるのか。変わらないのか。少なくとも私たち日本人は誰もわかりません。なぜなら、今生きている日本人は世界で唯一、その経験をしたことのない民族だからです。

 そのことを念頭において、次の議案 ② を見ていきます。

②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること

 旧宮家の方々は、皇籍離脱、臣籍降下される前は、神武天皇の血統を継ぐ、正統な皇位継承権を持っていた方々です。ですから、旧宮家の男系男子は、「血統」では「正統な皇位継承権」を持ちます。ですから、この方々が皇室にようしとして入られるコトに問題はないように思われます。しかし、一見良さそうに見えるこの案にも、見落とされがちな、致命傷に成りかねない危険要素があります。

 それは、旧宮家の方々は、今は「一般国民=民間人」であるということです。

 えっ、でもこの方々は「民間人」かもしれないけど、神武天皇の血統を継いでいるのですから、男系男子の方であれば、万世一系を壊すことにならないのでは?と思うと思いますが、そうでは無いのです。

 ここで、重要なことは、なぜ明治時代の皇室典範は皇室の養子を禁じ、現在の皇室典範もそれを引き継いでいるのかということです。

明治の皇室典範義解より
第四十二条 皇族は養子を為すことを得ず


 恭(かしこ)みて按ずるに、皇家に養子·猶子(いうし)の習ひがあるのは、何となれば嵯峨(さが)天皇の皇子の 源 定(みなもとの さだむ)を淳和(じゅんな)天皇の子とし《当時の人は定(さだむ)には二父母あると云つた》、源融(みなもとの とほる)を仁明(にんみやう)天皇の子とせられたのに始まる。しかしまだ養子・猶子の称はなかつた。皇族の支孫にして天皇の養子となるのは、融(とほる)の孫の是茂(これしげ)を光孝(くわうかう)天皇の養子とせられたのに始まる。

 猶子の称は『神皇正統記』に「亀山院、天皇の姪の熙仁(ひろひと)を猶子にして東宮にすゑたまふ」とあるのと、『職原鈔』に「忠房(たたふさ)の親王 後宇多院の御猶子為り」とあるのが始めである。猶子とは、ほかならぬ皇子に準ずるといふ意味である。《『大日本史』に「清仁(きよひと)親王、弟昭登(あきなり)等と、並に帝(花山帝)薙髪(ちはつ)後の所生なり。帝最も清仁を愛す。左大臣道長に託して、二皇子を以て、冷泉天皇の諸子に準ぜんことを請はしむ。勅して、清仁を以て第五子、昭登を第六子となし、並に親王となす」とある》凡そ、これみな中世以来の沿習(ならはし)にして古の典例ではない。

 本条がただ異姓の場合のみならず、皇族が互ひに男女の養子を為すことも禁じてゐるのは、宗系紊乱(ぶんらん=秩序を乱す)の門を塞ぐものである。その皇猶子の事に言及してゐないのは、皇養子と同例だからである。


とあります。

 さらに、皇族の養子、猶子というのは、私たち一般国民のソレとは、概念が異なるということです。この説明は難しく、文章で説明することが困難なのと、長くなるので興味のある方は調べてみてください。相当な手間ひまと時間が掛かりますが、がんばれば理解できると思います。

 難しい話は置いておくとしても、皇族の養子は宗系紊乱(そうらん=秩序を乱すこと)に繋がる可能性がある。ということで、禁じられているコトを熟考する必要があります。

 そして、現在の状況を俯瞰して捉えて考察した場合、明治時代に於ける危惧とは、少し違った危惧を感じます。それが、「一般国民」である旧宮家からの皇族への養子縁組です。

 この現在は「一般国民」である。というところが重要で、今現在は、旧宮家の方々のお立場を理解している国民は少なからず居ると思いますが、悠仁親王が天皇陛下になられるころ、私たちも世代交代が進んでいますので、世論の認識、意識、「空気」も変わっていると思われます。

 その時に、旧宮家の方々だったというコトよりも、「一般国民」というコトだけが喧伝され、「一般国民」から皇族の養子となった前例とされる可能性が危惧されるのです。

 さらに、内親王や女王の養子となった場合は、女性宮家とも繋がる危惧があります。

 道経事件を機に、「君民の分」は確認されているわけであり、一般国民が天皇になることは有り得ず、万が一そうなった場合は、国体は崩れるということになります。

 しかし、現状を鑑みれば養子というコトも選択肢としてあり得ない訳ではないのですが、その場合は先ず大前提として、旧宮家の方々の皇籍復帰が先となります。さらに、元皇族であったから良いというものでも無い。ということを認識する必要があります。皇族に於ける養子について、皇統を繋ぐということについて、歴史から学ぶコトは必須であり、「今」の感覚、認識、だけでは議論できません。

 そして、本質的には、これは皇族の方々のコトであるため、私たち一般人が議論する事ではなく、皇族の方々が考える事であり、私たちは輔弼に徹するということ、皇族の方々の意向に沿うように努力すること。という当たり前の認識を取り戻すことが肝要です。

 さて、次の ③ に移ります。

③皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること

 要するに旧宮家の皇籍復帰です。この案がもっとも適していると思うのですが、最初に見た通り、③案は最終手段的な扱いであり、①と②では解決困難なときの予備案となっています。

 

 しかし、ここまで読まれた方は、もうお気づきと思いますが、皇族数の確保を図るなら ③案一択ではないでしょうか。

 

 女性宮家を創設しても、子どもは皇位継承権は得られませんし、母親だけが皇族という家族の在り方にも大きな疑義があります。さらには国体を破壊する危険を内包していますので、有り得ないと思います。

 

 ②案も実現するためには、旧宮家の皇籍復帰が前提となるため、それならば、③案であり、皇籍復帰された後は、皇族の方々でお決めになるコトですから、②案も不要ということになります。そして、③ 要するに皇籍復帰無しでの養子案は、将来に禍根を残すことが明白です。

 

 この皇位継承と皇族数の確保について、もっとも危惧していることは以上なのですが、もうひとつ大きな懸念事項があります。

 

 それは、この様な報道が繰り返されているということです。

 

 

 

 

 多くの人たちが、くれぐれもこの様な言説に惑わされないで欲しいと願います。