こんばんは!
昨日は「面白い!」と大評判のミュージカル
「モダン・ミリー」を観劇に日比谷まで。
緑がまぶしい、美しい初秋の一日。
ミッドタウン日比谷が完成して一段ときれいになっているシャンテ前の通り。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220927/12/shikimusicallover/7a/17/j/o1080075815180441196.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220927/12/shikimusicallover/67/5f/j/o1080089215180441198.jpg?caw=800)
あらすじはざっくり👇
1920年代のニューヨーク。
モダンガールに憧れて田舎町からニューヨークに出てきたミリー。
いきなり全財産をすられて、若い女性ばかりが宿泊する安ホテルに転がり込む。
「幸せになるため」に、玉の輿狙いでハンサムな社長グレイドンの秘書として何とか就職。
お金はないけど優しい青年ジミーや新しい友達ドロシーとマンハッタン生活を楽しむが、ある日ドロシーが消息不明に。
ホテルの女主人ミアーズが人身売買をしていると知ったミリーたちは、ジミーやグレイドン、ひょんな事から知り合った有名歌手マジーの協力を得て、ドロシーの救出に乗り出す。
キャストは👇
ミリー:朝夏まなと
ジミー:中河内雅貴
ドロシー:実咲凜音
グレイドン:廣瀬友祐
マジー:保坂知寿
ミセス・ミアーズ:一路真輝
ミス・フラナリー:入絵加奈子
バン・フー:安倍康律
チン・ホー:小野健斗
アンサンブル:
工藤広夢 砂塚健斗 高木裕和 堀部佑介 丸山泰右
大月さゆ 小林由佳 島田 彩 髙橋千佳 花岡麻里名 吉田萌美
私はこの日が初めての「モダン・ミリー」。
評判のコメディミュージカルだけあって、終始笑いに満ちた楽しい空間でした!
カテコご挨拶で実咲凜音さんが仰ってましたが、
「こんなに笑い声に溢れるミュージカルって他に知らない」って本当にそう。
笑えるシーンに笑える台詞が次から次へと展開されます。
知っている曲がなくても、歌とダンスのシーン、キャストを見ているだけで満足できる煌めきに満ちていました。
クオリティの高い演技者、アンサンブルさんも含めて、が揃うとこうなるのよね、という見本のような素晴らしいステージ。
オーケストラは15名くらい、1920年代のライトでスウィンギングなジャズテイストの楽曲にとてもマッチする音色とボリュームでした。
摩天楼の背景の前に2階建て枠組みがあり、オケは上段に設置。
そのせいか舞台がとても狭く奥行きなく感じられ、全体に少し平面的な印象。
そもそもコンパクトなクリエの舞台ですから仕方ないのですが、
私としては、大好きなニューヨークが舞台なので、マンハッタンの風情がもう少しくっきりと出ていたらいいのになあ、なんて思ったりしました。
美術のアールデコなデザインが印象的で、女性のコスチュームも含め、エレガントですよね、1920年代。
それを着こなす女性キャストさんたちのスタイルの良さときたら。
今回の主演の朝夏まなとさんは舞台では初めて拝見しました。
朝夏さん、背が高いのもありますが、等身のバランスが素晴らしくて、おみ足もきれい。
大きな瞳に艶めくお肌、あのパッツンなボブでも日本人っぽくならないお顔立ち、舞台映え最高。
のびやかで素直な歌唱、コメディセンスもあるし台詞もよどみなく、長い手足で踊るダンスやタップもすっきりと美しい。
特に強い個性がなく、嫌味のない存在感が朝夏さんの強みですよね、どんな役でもスッと馴染むような気がしました。
中河内雅貴さん演じるどことなくソフトな坊ちゃんキャラのジミーが惚れてしまうのが納得の清々しい朝夏さんのミリー。
背の高い朝夏さんがヒールを履いてと並ぶと、ほぼ身長一緒に見える中河内さんジミーですが、とてもお似合いなんですよね。
お二人ともキャラクターがしっかり正確に出来上がっているから、雰囲気がぴったり。
中河内さんは「ジャージーボーイズ」や「ビリー・エリオット」でも拝見していますが、今作のジミー、はまり役。
ちょっと皮肉屋だけど、隠し切れない育ちの良さと優しさ、歌やアステアのようなソロダンスもさることながら、演技がとても魅力的でした。
カテコのご挨拶の時、「僕のいいところがばれちゃったかな」と仰ってたけど、本当にそう!
良い役に巡り合ったのね、と嬉しくなりました。
今回、そんな素敵なミリーとジミーと同様、いや上回ると言ってもいいほどの存在感を見せてくださったのが、ドロシー役の実咲凜音さんとグレイドン役の廣瀬友祐さん。
実咲さんお名前だけは知っていて、この作品で初めて拝見したのですが、その素晴らしいタレントに目を見張りました。
さすが宝塚の元娘役トップ、可憐で品の良いルックスや立ち居振る舞いにまず惹かれます。
人生の神秘~誰かに恋して♪のグレイドン廣瀬さんとのデュエットは白眉、最も印象に残ったミュージカルシークエンス。
廣瀬さんの力強いテノールと実咲さんのソプラノで聴き応えが凄い上に、激しく華麗なグラン パ・ド・ドゥも加わって、しかも笑わせながらだから、情報量多すぎで処理できないほどのめくるめく時間でした。
もう一回そこだけ切り取って諸々確認したいくらい。
その他のシーンでもこのお二人が出てくるとワクワク嬉しくななります。
廣瀬さん、日本人離れしたルックスと歌唱力と演技力、きっとすぐどこかのセンターね。
山口祐一郎さんの後継者として「レベッカ」のマキシムをお願いしたいのですが、どうですか?
実咲さんは朝夏さんとのタップも素晴らしかったです。
宝塚時代コンビだったんですね、ファンの方の歓喜が見えるようです。
絶対に書かずにいられないのが、脇をぴしりと締めるお二人、一路真輝さんと保坂知寿さん。
この物語の唯一のヴィラン、ミアーズさんを演じた一路さん。
いつもの毅然とした演技に蓋をして、徹底的にコメディエンヌ。
「あのむすめひとりぽちね」妙な中国語だけでも笑えます。
嬉々として悪役を演じきり、溢れ出るコメディセンスで観客を笑いの渦に巻き込みます。
最後まであの珍妙な衣装と髪型なんだ。
やっぱり凄い人が演じる悪役は、感動でしかありません。
一路さん、この後コメディ路線のオファーかなり来ると思います。
一方の知寿さん、こちらも凄かった!
いや知寿さんのコメディセンスは十分承知していましたが可愛くて面白い。
後半のあのファンシーなお衣装が似合い過ぎだし、おみ足のきれいなの変わってなくて。
一路さんとの相乗効果で、クライマックスのダークな笑いが一層盛り上がりました。
そこもまた観たい!
久しぶりにゴージャスなお衣装の知寿さん、ソウルフルな歌唱は衰えず。
とにかく歌に緩みがないです、1フレーズ1フレーズきっちり歌い締めるところ、何歳になられてもブレない。
言葉の明瞭さも変わってなくて、懐と愛情の深いマジーという役、マンマのドナを思い出す感じもあって、何だか泣けてきてしまいました。
一路さんと知寿さん、役を交換してもいけますよね?
見てみたいな、一路さんのマジーと知寿さんのミアーズ。
それから心に残ったのがミリーの先輩役ミス・フラナリー他を演じた入絵加奈子さん。
たくさん笑わせてくださった。
タップもお上手なのね。
達者な演技と個性でこちらも存在感たっぷり、加奈子さんのお芝居大好きです。
中国からの出稼ぎ兄弟、バン・フー安倍康律さんとチン・ホー小野健斗さん、あの扮装がもったいないくらいのハンサムなお二人。
隠しきれてはいなかったけれど、特に小野健斗さん、モデル並みのスタイルと美声でしっかりと心にお名前刻みました。
アンサンブルさんのダンスのクオリティがとにかく最高だったのですが、特に驚いたのがアクロバットをバンバン交えてキレのあるダンスを見せてくださった小林由佳さん。
こんなにスタイルがよくて美貌でしかもアクションできる方、ミュージカル界にいらっしゃったんだと嬉しくなりました。
これからも注目して行きたい方です。
作品の背景となる時代は今から100年前、かなり価値観も常識も変わっているはずなんですが、
今も「結婚で人生向上」という考えはなくもないし、かといって「愛がすべて」も然りだし、そこの悩みどころは普遍。
人身売買はなくても、女性を巡るいろんな危険は存在しているわけで、そこまで古臭い感じはしなくて自然に受け止めることができました。
中国人兄弟の扮装とかはもちろん極端だし、ジミーが実は…というのもありがちなパターンではあります。
ドロシーの恋の行方、ちょっと意外でしたが、人種偏見の緩和的措置として2002年のミュージカル版からこうなったとのこと。
いわゆるオチとしてはパンチ効いてますよね。
私は本当にキャストの魅力と渾身のパフォーマンスに目を奪われつつ、作品の華やかさを堪能したのですが、
観客それぞれにいろんな楽しみ方ポイントがある作品だと思います。
場内は笑いと多幸感とステージから伝わる熱気で溢れ返っていました。
もう少し大きな劇場で大掛かりな舞台美術で観せてほしいと思えるくらいゴージャスで豊かなパフォーマンス、とはいえ、あの近さだったからあんなに舞台に入り込めたのかな。
カテコのご挨拶で廣瀬さんが「大阪まで来たらいいさ!」と仰ってましたけど、本当にまた観たい!
再演があったら必ずまたミリーとその仲間たちに会いに行きたいです。