こんばんは!
今日はやっと晴れました
嬉しいなあ!
昨年の11月ぶりの歌舞伎座です
銀座も久しぶりなので、晴れが有り難いです。
歩行者天国でした。
その後いそいそと歌舞伎座へ。
本日観てまいりましたのは、
秀山祭九月大歌舞伎
二世中村吉右衛門一周忌追善
第二部
一.松浦の太鼓(まつうらのたいこ)
二.揚羽蝶繍姿(あげはちょうつづれのおもかげ)
本当に恥ずかしながら、とっても浅い歌舞伎ファンでして、的外れな発言や感想あると思いますが、ご容赦を
初代吉右衛門の俳名を冠した秀山祭、
今年は「鬼平犯科帳」でおなじみの二世中村吉右衛門さんの一周忌の追善としての興行です。
私も大好きな役者さん、吉右衛門さんは昨年11月にご逝去されました。
その吉右衛門さんが愛し演じた役をゆかりの方々が演じます。
『松浦の太鼓』
私は初見です。
「忠臣蔵」のサイドストーリーのようなお話とのこと。
赤穂浪士の討ち入りの前日譚ということで、設定は冬。
雪に松、年の瀬感満載の背景が美しい!
特に1場の、両国橋と向こう岸の家々の雪景色は風情たっぷりで、うっとりしてしまいます。
主演は討ち入りを応援する殿様役の松本白鸚さん。
初めて演じる役だそう。
討ち入りするしないで、怒ったり喜んだり、
やっぱり討ち入りするんだとわかってウキウキで馬に乗って待ち構えたり。
最初台詞が聴き取りづらかったのですが、ペーソス溢れる匠の演技に引き込まれました。
御年80歳、信じられない、やはりオーラが違います。
白鸚さんのお孫さんの市川染五郎さんも凛々しい姿で華を添えてらっしゃいました。
お縫役の中村米吉さん、初めて拝見しましたが、たおやかな美しい女形で見惚れてしまった。
またお会いしたいな。
白鸚さんは、吉右衛門さんの実のお兄さん、演目終了後に追善のごあいさつ「口上」がありました。
吉右衛門さんを偲ぶ白鸚さんの一語一語に重みがあり、
「兄として誠に誇りと思う。たった一人の弟、別れはとても悲しい。」
と仰った際には、役者としてではなく、兄から弟への惜別の想いにこちらも目頭が熱くなりました。
また、中村歌六さん、中村梅玉さんからも口上があり、どれほど吉右衛門さんが慕われていたのかが偲ばれます。
『揚羽蝶繍姿』
こちらは、吉右衛門さんの当り役の名場面をオムニバス形式で見せて下さるオリジナルだそう。
揚羽蝶は吉右衛門さんの屋号である播磨屋の家紋。
「繍姿」と書いて、つづれのおもかげ、なんて美しい世界観なんでしょう。
「籠釣瓶花街酔醒」
美しい桜の背景に、きらびやかな置屋が立ち並ぶ吉原が描かれます。
松本幸四郎さん演じる田舎から出てきた無垢な男の役、巧すぎます。
「こんなところじゃなく木挽町の歌舞伎座に行きなよ」みたいな台詞も飛び出し、喜劇なのかな?
妖艶な中村児太郎さんの花魁姿は目の保養。
次に登場の吉原一の花魁八ツ橋を中村福助さん。
じわり。
回転舞台を上手く使った花魁道中が見応えたっぷりです。華やか!
松本幸四郎さんと福助さん、お二人の何とも言えない掛け合い、間合い、笑いで締めくくられます。
この幸四郎さんが演じた田舎の男性の役を吉右衛門さんも演っていたんですね。
「鈴ヶ森」
一転、大きな題目塚ともの寂しい暗がりの背景にハッとさせられます。
何ともクールな若い侍を中村歌昇さん、黒い着付けが似合いすぎます。
見事な刀さばきと孤高の佇まい、やっぱり好きです、歌昇さん。
江戸からの侠客・幡随院長兵衛に中村錦之助さん、こちらも素敵なのよね。
「お若えのお待ちなせえやし」「ゆるりと江戸であいやしょう」の名台詞が、キリリとしたお顔とお声から繰り出されて、歌舞伎の醍醐味を感じました。
このお二人の立ち合いを観られたのは嬉しい。
「熊谷陣屋」
またガラリと変わった舞台。
勉強不足で実はお話がよくわかりませんでしたが、
幸四郎さんの台詞のキレと苔玉さん、廣松さんの女形姿だけでも見応え。
「播磨潟だんまり」
市川染五郎さんの演じる佐々木盛綱の凛々しいアクションと立ち姿にブロックされてしまった。
播磨潟に集まった源平所縁の5人、全員若々しくて、きっと次世代を担う皆さまなのよね。
こちらの背景、海に月に松、こちらも胸のすくような様式美で感動。
そこで若手の筆頭さんたちが赤い旗を巡って立ち振る舞う、恥ずかしながら意味も分からず、美しさに見惚れるのみ。
幕切れは、幸四郎さんによる、寂寥感に満ちた花道と幕外でのお芝居、しみじみと二部の幕が閉まりました。
いつもの3500円のお席、花道見切れではありますが、十分堪能させていただきました。
歌舞伎の名場面集のようなこの『揚羽蝶繍姿』私のような初心者にはうってつけの豪華なダイジェスト版。
吉右衛門さん追悼なのに、とても新鮮な舞台、たくさんの名場面や役者さんを知ることもできて、また少しだけ深まった。