池波正太郎の剣客商売を極める・一巻 剣客商売 | 池波正太郎・三大シリーズをたしなむ

池波正太郎・三大シリーズをたしなむ

2020年5月に当ブログを開設しました。

現在は「剣客商売」の本編・16巻の読みどころや魅力を紹介する「剣客商売を極める」シリーズを投稿しています。月1投稿ですが、こちらの記事も是非、チェックしてみてください。

池波正太郎の剣客商売を極める 

一巻・剣客商売

 

みなさん、こんにちは。管理人の佐藤有です。

これまでは、単行本の各短編・長編のあらすじ紹介がメインでしたが、本日より開始した新シリーズ「剣客商売を極める」では、以下の項目にて各巻の読みどころや、雑学などを紹介していきます。

 

1.剣客商売を極める

2.各巻の表紙絵と説明

3.各巻の収録編の簡単なあらすじと名勝負

4.時系列

5.登場人物

6.雑記帳(地理や名所、道場、銘刀、食べ物など)

7.佐藤有と剣客商売の小噺

 

 

 

剣客商売を極める その一  単行本の表紙絵を極めるべし 

 

この項目では、剣客商売をより楽しむためのポイントを紹介するコーナーです。

 

連作小説・剣客商売は、昭和48年1月に新潮社から第一巻・剣客商売が刊行され、平成14年9月には、新装版が刊行されました。
 
*今回のブログの本文に乗せた単行本の写真は、私が十数年前に購入した新装版・一巻です。
 
剣客商売の表紙絵は、各巻の名場面を描いたもので、小兵衛や大治郎たちの姿を知ることができる貴重な絵画です。
 
表紙絵(正しくはカバー装画)は、中一弥さんによるもので、この絵はどこの場面を描いたのかなと、表紙の場面を探りながら読むことは、新装版ならではの楽しみ方であります。つい、表紙絵の場面探しに夢中になり、本編がおろそかになったこともありましたが・・・。

 

 

 

 

  剣客商売 一巻 剣客商売を極める

 

このコーナーでは、各巻の表紙絵の説明と、収録編の簡単なあらすじと名勝負を紹介しています。

 

 剣客商売 一巻の表紙絵

 

 
*場面紹介*
三浦金太郎との戦いを報告する大治郎と、おはるに耳かきをしてもらいながら話を聞く小兵衛。
(「まゆ墨の金ちゃん」 301~302ページ参照)
 
よく見ると、「池波」の文字のあたりに舟らしき絵が見えます。小兵衛の自家用舟であり、このシリーズには欠かせない移動手段です。

 

 

剣客商売 一巻の収録編

ここでは、各巻収録の短編の簡単なあらすじ・極めるポイントを紹介していきます。

 

女武芸者

大金と引き換えにある人物の両腕を折ってほしいと依頼された息子の相談を受け、秋山小兵衛は、事の真相を確かめるべく探索に乗り出すも、両腕を狙われた人物の正体は、時の権力者の隠し子であり・・・。
 

極めるポイント:臨機応変に戦う小兵衛

小兵衛の勝負は、何かにつけて刀を頼りに戦うことはせず、相手によっては足元の石塊を投げつけて相手を怯ませたり、時には刀をひっさげた相手に対し素手で挑んでいます。老齢でありながら、それらを感じさせない貫禄や、刃物を片手に脅してくる相手への余裕ある態度は、いつ読んでもかっこいいですね。

 

剣の誓約
10年の約定を果たすべく、江戸に上がった老剣客・嶋岡礼蔵は、かつての教え子・秋山大治郎を訪ね、自分の死に水を取ってほしいと願い出ます。しかし、嶋岡の周囲に怪しい影が見え始めて・・・。
 
極めるポイント:嶋岡礼蔵と柿本源四郎の宿命のはじまり
2人の勝負は、麹町の辻平右衛門道場を発端としています。1度目の勝負は、嶋岡と柿本では実力に差がありすぎて話にもならないほどでしたが、その時に味わった屈辱が柿本の闘志を燃やし、再戦を約束した10年後には互角の戦いを繰り広げます。
 
しかし、その時は嶋岡・柿本の真剣勝負は引き分けに終わり、2人の戦いは更に10年後に突入します。はじめて刀を交わし合ってから20年後、1人はこの勝負で自分の死を予感し、もう1人は病に冒され、2人の剣客の宿命は思わぬ結末を迎えます。
 
芸者転変
行きつけの料亭、浅草・橋場の「不二楼」の奉公人からある御家人の話を聞かされた小兵衛。急に羽振りが良くなった御家人は、芸者に仕立てた娘を利用して、さる大身旗本から大金をせびろうと目論んでおり・・・。
 
極めるポイント:小兵衛の芝居で成敗
今回は血が噴き出るような物騒な回はなく、グロテスクな描写が苦手な方でも比較的読みやすい短編です。小兵衛が公儀の隠目付は、山田勘介を懲らしめるための口実に過ぎませんが、これまで調子に乗ってきた山田勘介に太い釘を深々と刺したような、思わずスカッとする気持ちのよい一編です。
 
雨の鈴鹿川
嶋岡礼蔵の死を知らせるべく、亡き師の故郷へ向かった大治郎。嶋岡家の人々との別れを惜しみながら、東海道を歩き続ける中、伊勢・鈴鹿にて敵持ちの浪人と遭遇します。話を聞くと、浪人が敵持ちになった経緯は・・・。
 
極めるポイント:秋山大治郎、正義を試される
やむを得ない理由から敵持ちとなってしまった後藤伊織の窮地を救うべきか、いつもなら小兵衛の知恵を借りる大治郎でしたが、一刻を争う状況にてそのような猶予はなく、自分の考えで物事を決めていかなければなりません。
 
己の保身のために、後藤伊織から離れるべきか、それとも伊織の無実を信じ、彼の窮地を救うべきか、大治郎に剣客としての試練がふりかかります。
まゆ墨の金ちゃん
さる人物から秋山大治郎の殺害を命じられた美形の剣士・三浦金太郎。大治郎の窮地を牛堀に伝えた彼の真意は・・・。
 
極めるポイント:大治郎と三浦金太郎の真剣勝負
女のようにまゆ墨を描き、紅を塗り、白粉の匂いをかもした三浦金太郎は、剣客らしからぬ軟弱かつ異様な姿から「女男」と揶揄されるも、剣の腕前は相当高く、その強さは大治郎との真剣勝負で観ることができます。本編では、あっけなく倒されてしまった三浦金太郎でしたが、勝負がつくまでの緊迫した空気はやはり剣客ものという雰囲気が味わえるでしょう。
御老中毒殺
田沼家の御膳番が落とした財布から、老中毒殺の計画を知ってしまった三冬と小兵衛たち。老中暗殺を目論む黒幕の正体は・・・?
 
極めるポイント:家来の罪を許す田沼老中の器の広さ

田沼家の御膳番による毒殺計画を知った田沼意次でしたが、全てを知ったうえでその御膳番の罪を許し、これまで通りに仕えさせることを決意します。田沼意次が大出世を遂げた理由は、彼の人間性が功を奏したでしょうか。

 

 

 

 剣客商売 一巻の時系列

 

このコーナーでは、各巻で起きた出来事を時系列にまとめた内容です。

 

安永六年  田沼意次の中屋敷(浜町)にて、剣術試合の開催。大治郎、七人を勝ち抜く好成績を残
          す。この頃、大治郎の道場が建てられる。
 
安永六年 大治郎が永井家の用人・大垣(大山)からある依頼を持ちかけられる。小兵衛、三冬の窮
         地を救い、2人の交流が始まる。
 
安永七年  正月十八日、大治郎道場に高尾勇次郎が入門するも、わずか三日で去る。
         
          同月二十日、三冬と永井右京の剣術試合が行われ、2人の縁談は白紙に戻される。
         
          二月、大山用人の自刃。
 
          嶋岡礼蔵、大治郎道場を訪ねるも、数日後に、伊藤三弥の弓矢に倒れる。その後、嶋岡
          の死の真相を知った柿本源四郎も自害して果てる。
 
          大治郎、嶋岡の遺髪を届けに、大和に向かう。
 
安永七年  小兵衛、不二楼で山本勘介を懲らしめる。
          
          大治郎、伊勢・桑名で敵持ちの後藤伊織を助ける。
 
          井関道場で後継者争いが激化。半月後に道場は解散。
 
          小兵衛とおはる祝言を上げる。この頃、大治郎、伊藤三弥の刺客に狙われ、三浦金太郎
          と真剣勝負をする。
 
          一橋家による田沼意次の毒殺計画の発覚。大治郎道場に、飯田粂太郎の入門が決まる
          
          田沼意次、鐘ヶ淵の小兵衛を訪ねる。
 
 

  剣客商売の登場人物

 

ここでは、剣客商売全体を通じて登場する主要人物の紹介を行っています。

 

秋山家

秋山小兵衛:本作品の主人公で、無外流の遣い手。かつては、四谷・仲町に剣術道場を構えるも、現在
        は引退し、鐘ヶ淵で隠棲生活を送る。
 
秋山大治郎:本作品のもう1人の主人公で、小兵衛の息子。全国の道場を巡りながら剣術の腕を磨き、
        浅草・橋場の外れに無外流の道場を構えるも、門人が寄り付かない。
 
おはる:小兵衛宅の女中で、鐘ヶ淵に来て2年になる。実家は、鐘ヶ淵から近い関屋村の百姓で、八人兄
     弟の次女。小兵衛に手を付けられるも、小兵衛とは年の差をこえて仲睦まじい。女船頭のごとく、
     舟の操縦が非常にうまく、小兵衛たちの移動手段として頼りにされている。
 
岩五郎:おはるの父親で、関屋村の百姓。年齢は、「女武芸者」時点にて、50歳にも満たないとの説明か
      ら、小兵衛より10歳ほど年下と思われる。小兵衛の思わぬ失態に怒り、呆れもしたものの、その
      後も何かと小兵衛が岩五郎たちに良くしていたため、今では2人の関係を認めている。女房・お
      さきとの間に8人の子供が生まれ、おはるは次女。
 
お貞:小兵衛の妻。大治郎が7歳の時に病没。出自は、伊勢・桑名の浪人・山口与兵衛の娘で、辻平右
    衛門道場の下女をしていた。
 

佐々木三冬とその関係者

佐々木三冬:田沼意次の妾腹の娘で、生母は田沼屋敷の女中。剣術をたしなむ男装の女武芸者であ
         り、永井家との縁談を巡る騒動で小兵衛に助けられて以降、秋山家との交流が始まる。
 
田沼主殿頭意次:幕府の老中で、佐々木三冬の実父、年齢は小兵衛より1歳年下。「剣客商売」では、数
            少ない史実の人物であり、一橋治斉による毒殺事件を小兵衛に救われたことを受け、
            秋山家との交流が始まる。神田橋に上屋敷、浜町に中屋敷を持つ。
 
おひろ:三冬の生母で、和泉屋の実妹。意次とは、田沼屋敷の女中奉公の際に手が付き、後に三冬を出
     産、その後まもなく病死した。
 
和泉屋吉右衛門:三冬の母方の伯父で、書物問屋の主。下谷・五条天神門前に店を構える。実の姪で
           ありながら、時の老中の息女として三冬に接し、三冬からも「伯父さま」と呼ばれ慕われ
           ている。
 
嘉助:和泉屋所有の根岸の寮(別荘)を管理する下僕。寮は、現在、三冬の仮住まいとなっている。
 
生島次郎太夫:田沼意次の用人で腹心の部下。「田沼の懐刀」とも称され、主君からの信頼が厚い。
 
飯田粂太郎:三冬の紹介で大治郎道場に入門した少年で、父親は田沼家の御膳番。父親の死後、大治
        郎道場に住み込みで入門し、日々稽古に励む。
 
佐々木又右衛門勝正:田沼家の家来で、三冬の養父。三冬を託された後、五百石の加増を受けて、遠
               州・相良へ転任する。三冬からは、実の両親だと信じ込まれており、田沼屋敷に
               引き取られた後も、三冬は養父の姓を名乗り続けている。
 

御用聞きとその手先

弥七:小兵衛の四谷道場の元門人で、現在は四谷・伝馬町の御用聞きを務める。小兵衛からは主に探
    索の依頼を受けることが多く、小兵衛と共に事件を解決していく。年齢は40歳手前で、女房が料
    理屋「武蔵屋」を営んでいることから、「武蔵屋の親分」とも呼ばれ、土地の者からの信頼が厚い。
 
徳次郎:弥七の手先。内藤新宿で傘屋を営んでいることから、「傘屋の徳次郎」「傘徳」と呼ばれる。劇中
     では、怪しい人物の見張りや尾行を主に担い、弥七と共に捕物に出ることもある。
 

剣客

牛堀九万之助:浅草・元鳥越町に剣術道場を構える奥山念流の遣い手、40歳。道場の規模は小さいも
          のの、門人には名門の子息が多く、田沼家の家来も稽古に通う。出自は、上州・倉ヶ野の
          庄屋の次男坊。
 
辻平右衛門直正:無外流辻道場の3代目で、小兵衛の師。本編の30年前に、京・大原の里に隠棲する。
            晩年は、修行の旅に出た大治郎に修行を課し、彼と嶋岡に看取られながら息を引き
            取った。
 
嶋岡礼蔵:辻平右衛門道場の高弟で、57歳。兄弟子・小兵衛とは「竜虎」「双璧」と言われた剣客で、大
       治郎の第二の師である。10年の約定を果たすべく、江戸へ向かうも、伊藤三弥の弓に倒れ
       た。
 
井関忠八郎:一刀流の遣い手で、三冬の剣術の師。遠州・相良の出身で、三冬が江戸屋敷へ向かう際
        に同行を任され、以降は、田沼意次の後援を受けて市ヶ谷に道場を構える。本編の2年前に
        死去、享年55歳。道場は高弟4人・四天王によって切盛りされた。
 
金子孫十郎信任:井関道場の後継者を決める勝負の審判を任された一刀流の遣い手、年齢は60歳近
            く。江戸屈指の大道場の主であるが、小兵衛とは面識がなく、土田と名乗る小兵衛に
            興味を示した。
 

その他

長治・おもと:料亭「不二楼」の板前と座敷女中。おもとは小兵衛の専属である。不二楼では、奉公人同
        士の恋愛は禁止であるが、あるじを目を盗みあいびきを重ねていた最中、ある事件を聞きつ
        ける。
 

  剣客商売 一巻の雑記帳

 

各巻に登場した剣術道場や銘刀、食べ物、地理・名所などを紹介する雑学コーナーです。

 

 時代背景

安永六年(1777年)~安永八年(1779年)  
 
10代将軍・徳川家治(9代・家重の長子、8代・吉宗の孫)
 
主な出来事
安永八年:10月、桜島で安永大噴火の発生。
       
       12月、発明家・平家源内の死去
 

 剣術道場・流派

秋山大治郎道場:浅草・橋場の外れ、真崎稲荷の近くにある無外流の道場。本編開始と共に、道場を開
            く。長らく、門人が寄り付かない日々が続くも、三冬の弟分・飯田粂太郎が入門する。
 
秋山小兵衛道場:四谷・仲町にあった無外流の道場で、辻道場から独立した。四谷の弥七は、元門人。
 
辻道場:麹町にあった無外流の道場で、江戸剣術界の名門。道場主は代々「辻」姓を名乗る。 歴代の
      道場主は、無外流の流祖・辻平内、二代目・喜摩太、三代目・平右衛門。
 
牛堀九万之助道場:浅草・元鳥越にある奥山念流の道場。小規模でありながら、名門の子弟が稽古に通
             う知る人ぞ知る道場。
 
井関忠八郎道場:市ヶ谷・長延寺谷町にある、五百坪の大道場。門弟は二百人余。劇中では、四天王
            (後藤九兵衛・渋谷寅三郎・小沢主計・佐々木三冬)と呼ばれる高弟によって切盛りさ
            れるも、道場の後継者を巡る騒動を受け、道場を閉鎖した。

 

金子孫十郎信任道場:湯島五丁目にある一刀流の道場。江戸屈指の大道場であり、井関道場の解散
               後、三冬が入門する。
 
太田孫兵衛道場:辻道場と同時期に、市ヶ谷にあった道場。柿本源四郎はこの道場の高弟。
 
浅田虎次郎道場:本所・四ツ目に道場を構える念流の道場。永井和泉守家の用人の依頼を受け、佐々
            木三冬の襲撃に関与した。
 
村垣主水道場:神田橋御門外にある念流の道場。金子道場に並ぶ大道場で、名門の子弟が多数在籍、
          門人は300余人。道場主・村垣は裏で悪事を働いているとの噂も。
 

 銘刀

大刀

井上真改二尺四寸五分 大治郎所有 小兵衛から譲られた
 
脇差

堀川国弘一尺四寸余 小兵衛所有

 
越前藤原国次一尺五寸余 大治郎所有 嶋岡礼蔵の形見 元は辻平右衛門が所有していた

 地理・名所

色が付いている箇所は、「剣客商売」を読み進めていくうえで覚えておきたい場所です。

 

鐘ヶ淵:大川(隅田川)・荒川・綾瀬川が合流するあたりを指す。大川から寺島村の岸へ上がり、田圃道の
     向うの堤を北へ向かった先に小兵衛の隠宅がある。
 
寺島村:橋場町から大川を渡った対岸に位置する。ここは四季折々の花々や名所旧跡が点在する風光
      明媚な場所。小兵衛の鐘ヶ淵とも近い。主な名所は、白鬚明神・梅若塚、木母寺。
 
関屋村:おはるの実家のある村。小兵衛宅から近い。
 

浅草・橋場町:大治郎道場の近く。小兵衛馴染の不二楼や鯉屋がある。

 
真崎稲荷明神社:木立の中に大治郎道場あり。
 
四谷・仲町:かつて小兵衛の道場があった場所。
 
上野山下:現在の上野。将軍家の菩提寺・寛永寺の門前町であり、南に下谷広小路、西に不忍池があ
       る。
 
本性寺:浅草・今戸にある秋山家の菩提寺。お貞と嶋岡の墓がある。
 
大川橋:吾妻橋のこと。橋場から鐘ヶ淵に向かう際に利用する。
 
市ヶ谷八幡宮:料理屋や茶店が立ち並ぶ江戸の観光名所。
 
京・大原:辻平右衛門の隠棲地。大治郎は、ここで5年間の修行に励んだ。
 
東海道・関:「雨の鈴鹿川」にて登場した宿場町。鈴鹿川北岸に位置し、伊勢参りの要路。十五町十三間
        の細い街並みに、二十の旅籠があり、さらに飯盛女のいる旅籠をくわえると六十を超える。
 
九関山地蔵院宝蔵寺:関の宿場から少し先にある。大治郎も参拝した。
 
伊勢・桑名:お貞の父親の出身地で、「雨の鈴鹿川」の舞台
 
鈴鹿川:大治郎・井上八郎と、天野兵馬とその一派が戦った場所。
 
石薬師寺:関から桑名までの道中にあるお寺。本尊は薬師如来。桑名から関に向かう際には、上り坂・を
       のぼった先に位置する。
 
平野屋宗平:伊勢・桑名の油問屋で、京都に支店を持つ。敵持ちの後藤伊織を匿う。
 

 飲食

不二楼:浅草・橋場の料亭。小兵衛なじみの店。不二楼は母屋に渡り廊下を隔てた上下別棟の奥座敷
      (蘭の間・藤の間)、離れを構える。
 
武蔵屋:弥七の妻が営む料理屋。劇中では、弥七たちとのつなぎに利用されている。
 
鯉屋:橋場にある船宿。大治郎道場に近く、橋場に来た時には、おはるの舟をここに停めてもらっている。
 
京枡屋:両国・米沢町にある菓子舗。銘菓・嵯峨落雁が銘菓で、小兵衛の好物。
 
巴屋勝蔵:浅草・並木町の料理屋。小兵衛と岸井・入江が入った。橋場から近い。

玉の尾:牛込・払方町にある菜飯屋。のっぺい汁が名物。渋谷寅三郎の行きつけ。
 
万屋:市ヶ谷八幡宮・境内にある料理屋。庭づたいの離れを3棟所有し、隠し部屋を設けている。
 
瓢箪屋:千鳥橋南詰にある船宿。三浦金太郎の馴染の店
 
桜屋:堀江六軒町、思案橋の東詰にある料亭。小兵衛も二度ほど入ったことがある。
 

 旅籠

近江屋太兵衛:東海道・関の宿場にある。大治郎と天野兵馬・千代が宿泊した。
 
石見屋嘉兵衛:平野屋の親類が営む庄野の旅籠。
 

 

  剣客商売を味わう

 

このコーナーでは、劇中に登場した食べ物をまとめたコーナーです。今回は、1巻「剣客商売」に登場した食べ物です。

 

味噌汁
根深汁(ねぎの味噌汁)、納豆汁、たにしの味噌汁
 
吸い物
豆腐の吸い物、鯨骨と針生姜の吸い物
 
魚介類・惣菜
甘鯛の味噌漬け、鯉の洗い、鯉の味噌煮、なまずの割醬油煮、浅蜊のむき身と豆腐・ねぎのうす味煮込み、茄子の丸煮、蕎麦の実入りの嘗め味噌
 
ご飯もの
麦飯、蛤の炊き込みご飯、白がゆの梅干し・瓜の漬物
 
よろずやの銘酒・亀の泉
 
甘味
京枡屋の嵯峨落雁、おはる手製の白玉(白砂糖かけ)、

  佐藤有と剣客商売の小噺

 

このコーナーでは、わたくし佐藤有と「剣客商売」にまつわるエピソードを紹介しています。この小噺が単行本を手に取るきっかけになって下されれば、幸いです。
 
本日は、「剣客商売」との出会いについてお話ししましょう。
 

小噺 その1 本命は「鬼平」だった?

私が時代小説を読もうと思ったのは、高校1年生の夏休みで、その頃は自分の心の弱さや、周囲と上手く関わる事が出来ないことへの不安や恐怖などから精神的にまいってしまい、メンタルを強くするきっかけ作りとして時代小説を思いつきました。

 

そこで思い立ったのが、時代劇で知った「鬼平犯科帳」の原作小説であり、通院の帰りに本屋へ立ち寄ってもらい、さっそく時代小説コーナーに駆け込みました。しかし、池波正太郎先生の作品コーナーには「鬼平」はなく、代わりに「剣客商売」をはじめとする新潮文庫刊行の作品がずらっと並んでいました。

 

お目当ての鬼平がなかったことに少しがっかりするも、いかにも時代小説らしい表紙に惹かれ、その日は「剣客商売1巻」を購入し、さっそく部屋にこもって読みふけりました。

 

男装に身を包む女武芸者や、小兵衛とおはるの年の差夫婦、気真面目さが玉にキズの大治郎など、普通でないと感じさせる人物設定に最初は驚いたものの、読み進めるごとにその独特の世界観が面白くなり、本編16巻にくわえ、番外編、「剣客商売読本」、「包丁ごよみ」まで集めました。

 

もし、あの時、「鬼平犯科帳」が本屋にあったら、私は「剣客商売」には目を向けようともせず、今でも興味を示すことはなかったでしょうか。

 

 

 

 剣客商売を極める 一巻 剣客商売まとめ

 

 

 

当初は、池波三大シリーズを多くの方に知ってもらいたい、欲を言えば単行本も手に取って読んで欲しいとの思いから当ブログを開設したものの、あらすじネタバレの記事を通じて作品を知ってもらうことは出来るものの、果たしてこのブログから実際に単行本を手に取って読みたいという方は現れるだろうか・・・。

 

 

私の場合は、どうもネタバレ記事を読んで満足しそうなパターンなので、これではいけないと考えた末、「極めるシリーズ」の企画を立ち上げました。

 

こちらでは、「剣客商売」をより深く楽しみたい方だけでなく、「剣客商売」に興味があるけれど、ネタバレをしない範囲で物語を知りたいという方にも向けた内容に仕上げ、1人でも多くの方が「剣客商売」を手に取っていただけたら幸いです。

 

次回の投稿からは、再び過去の記事の再編集・加筆を行ないながら、「剣客商売を極める 二巻 辻斬り」の執筆・投稿も平行していく予定です。

 

今回はいつもとは違う内容となりましたが、本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございましたほっこり