陣痛が激しくなってきた。
夫が来てまもなく、
どうにもこうにもウンコをしたい感じになってきた。
「お、おしりが・・・」
「お母さん、いきみたい?
まだ我慢してね、お父さん、おしりをぐーっと押してあげてください!」
なるほど、これが「いきみを逃す」なのか。
お産の本は穴が開くほど読んだ。
だけど実際に体感しないと、どれがどれかはわかんないもんだ。
陣痛のたび、
「きた!」とか「おしり押してー!」
とか、短い言葉で伝える。
夫はLDRに置いてあったテニスボールらしきもので、
わたしの肛門あたりをぐーっと押してくれる。
夫も汗だくだ。
途中、時間交替で助産師さんがいないときも、
夫はしっかりやってくれた。
その前後の内診で、
「8cm開いてるね、午前中には生まれそうだね」
と先生に言われる。
「午前中やって、もうすぐだね!」
うちの子はエライ。
ちゃんとお父さんが午後仕事をできるように、きちんと時間を測っているではないか。
と、早くもべた褒め。
午前9時を過ぎたころ。
女医さんが入ってきて、
「うん、10cm開いたね」
と言いながら産道(?)を確認。
実はちょっと狭いと前日助産師さんから言われていて不安だった。
「大丈夫大丈夫!!よし、産むよ!!」
シャキッとした心強いひとことで、
わたしのお産はクライマックスを迎える。
まもなく、いきみを逃さなくてもよくなった。
「いきみたい感じになったら、赤ちゃんのほうを見てきばってくださいね!」
いきみ解禁。
それはもう長い便秘から解放されたかのようだった。
夫はいきむたびに頭を抱え上げて足元を見るように支えてくれる。
そうこうしてる間に、助産師学院の学生さんがやってきた。
「国家資格をとるための研修にご協力いただけますか?」と入院時に聞かれて、
「もちろん、お役にたてるなら」と返事していたので、
学生さんがベビ子を取り上げにやってきてくれたのだった。
とても緊張している様子で、たどたどしい。
助産師さんたちも不安げに見ていたりしていたけど、
なぜかわたしには余裕があった。
どうなってもこの子は産まれてくると思うし、
この学生さんもこれを通り抜けて素敵な助産師さんになっていくんだろうな、
と考えると、陣痛でたまんないのにほほえましくて、
なんか自分スゲー、と思ってしまった。(笑)
そして。
「あかちゃんの頭が見えてきましたよ~」
「髪の毛ふさふさですね~」
の声に、夫が赤ちゃんのほうに回る。
夫もすごいと思った。
なんだか生々しくて嫌がられそうなもんだけど、
「おー、ほんまや、頭出てる!」
と、ちゃんと出産と向き合ってくれているのである。
そしてウンコする感じに力むこと数十回、
途中ベビ子の心拍が下がり、酸素マスクをつけられたりしたものの、
いよいよベビ子の頭が完全に出た!
「お母さん、赤ちゃんの頭が出ましたよ!
もう少しで肩もでますからね~!」
深い呼吸が短い呼吸に変わり、
ふーっ、ふーっ、と短く息をしていると、
「肩がでますよ~!
短い息しましょう、ハッハッハッハッ・・・」
声に合わせて息をすると、
10:26のこと。
ズルン!!
なにかが出た感じがした。
「生まれましたよ~! 元気な女の子ちゃんです~!」
そして、すぐに産声が聞こえた。
よかった、泣いた。
濁った羊水を飲んでいたので、心配していた。
残念ながら、そのせいでカンガルーケアはできず、
すぐに検査に回ることになったけど。
でも、生まれてきてくれた。
立ち会ってくれていた夫も、
ベビ子一辺倒ではなく、わたしをしっかり見てくれた。
正直、ここまで活躍してくれるとは思ってなくて。
感動したし、この人の子ども産んでよかったとも思った。
後産も終え、とちゅう切開された会陰の縫合も終わり、
お産は終わりを迎える。
「ねえ夫、ありがとう。
もう、休んで仕事行ってね。」
夫は生まれる直前の合間に、取引の電話を何度かしていた。
きっと午後は忙しくなるんだろう。
疲れてるのにゴメン。
「ほな、行ってくる。」
そしてその去り際に、
ベビ子の名前を決めて行った。
ふたりで考えた候補、いくつかの中のひとつ。
生まれたときにピンときたらしい。
今も出産のときのビデオを見るが、
わたしはなぜか終始落ち着いていた。
返事はしっかりしている。
きちんとしゃべっている。
言われたことはちゃんとしている。
陣痛の合間、意識とんでたのに。
今見ても不思議。
思ったより分娩時間は長かったけど、
22時間でベビ子は産まれた。
予想以上の安産だった。
ベビ子、生まれてきてくれて、ありがとう。
8月2日、
わたしと夫が大スキな「802」の日。
802は、わたしと夫をつないでくれた大事なラジオ局だ。
(飲み会でたまたま出た共通の話題だった(笑))
ベビ子はわたしを母に、夫を父にしてくれた。
頑張って、しあわせにします。