不健康人間として、胆石ぐらい一つや二つ話のネタ程度に、死ぬわけではないと高をくくっていたが、
ばっちり白いウンコと褐色尿が出れば、重要な仕事の予定を放棄し、自ら電話で説明し病院に駆け込む次第であった。
入院の期間は、消化器官手術の入院とあって、おそらく刑務所の飯より不味いであろう何かを煮た汁が振る舞われ、同室の高齢者の上と下からの汚い音が常に鳴り響いていた。不愉快で罰そのものの入院生活であったが、強制的に絶食していたことで僅かにわかった事。
それは手術後に食事の制限がなくなり、ようやくまともな病院食を期待したのに、出てきたのは変わらずの汁であった。
一応食事は明日から通常の物になるといわれたが、結局この日もこの汁を食わされるのは主治医との連絡の都合でしかない、
それでこのやろうと、知った事かと即席のみそ汁とおにぎりを買った時の事。
おにぎりが恐ろしくしょっぱい、味噌汁がほぼ塩味。塩味しかしない、塩そのもの。
でもこれがそこらへんで売っている、一般的な食事、通常の塩分濃度。いや日本人における適切な塩味なのである。
それでわかったことは、日本人の味の起点は塩味である。味がするしない、っていう事を言われたらつまり塩味の事を言っている。
そりゃあ海外の人が日本食はしょっぱすぎて食べられないとか言うわけである。
醤油もみそもソースも塩、味覚を分類すると、うま味辛味苦み酸味塩味(しおみ)、もうここに要素として塩そのものがあるんだから
ちょうどいい味をいい塩梅っていうけど、もう塩味そのものが上手い不味いを決めている。
もうそれぐらい日本人の味付けとは塩を中心にしている。
で、ありながら、わずか数日の絶食後に、どこにでもある一般的な食事が、しょっぱすぎて食えたもんじゃなかった(食べたけど)
そりゃ外人が日本食はしょっぱすぎるとか、塩味しかしない、って言うわけだよ。
塩味がきつすぎて、胃酸のphが上がって胃を傷つけて、最後には胃がんになるわけですよ。
でもね何が怖い、なにが問題なのか、何を思ったかと言えばね
結局はこれが美味いものと、思い込んでいること、信じていること、否定できない事
退院して一週間後には体に悪いこと間違いない油ギトギトの塩分過剰なラーメンを食べてるんだから。
今も日本ではこの塩気の多いい味付けが標準で、これが無ければ味そのものを感じられないんだから。
人間の味覚ってその時の体調に大きく影響される、高度が高いだけでも、温度や湿度が低いだけでも、
疲労時に甘いものや、空腹時には消化にいいものだとか。
本来命をつなぐための栄養補給でしかない食事、そのおまけである美味いだの不味いだの味
その味のために体に悪いほどの塩を取ってるんですよ。日本人は塩取りすぎ。
もちろんそんなことは医学でも、そこらの靴磨きの少年でも知っているでしょう
それでも、美味いから塩味の強い味付けを好むんです。
本来体が求める必要な量以上の栄養をです。つまり体からのシグナルじゃないんですよ
習慣や好み、もっといえば依存症に近いもの。
海外の人に食えたもんじゃないといわれたものを、おいしいおいしい、これが日本食だと疑問におもわないし
事実として世界で一番塩分を取っている民族といわれても、なにか危機感を覚えないんですよ。
そりゃもちろんね、味の起点を辛味にしている国もあれば、脂分こそが食事としている国もあるでしょう
その過剰摂取で特定の疾患を患いやすいとしても、大きな関心を持たないでしょう。改善もしないでしょう。
それが当たり前であるならなおさら・・・。
それぐらい美味い食事というのは、魅力的という事です。
きっと私は米や甘いものを食べ過ぎていずれ糖尿になるかもしれない。
なんせ塩にすら抗えない人間ですから、実際毎日甘い飲み物を欠かせず摂取しています。
脂も好きですね、肉美味いですよ。体が受け付けるまでそういう食事をするでしょう。
分かっちゃいるけど、食べてしまう。ああ弱い人間だ。
酒も好きだし。食事が毒なのだとしても、やめる理由が無いなら、飲むし食う。
明確に、経験として、直感として、体に悪いことを知っていても、好んでしまう。
そんな塩依存症の弱い人間は、覚せい剤依存症の人間をどうやって卑下してものか
別に覚せい剤のことをどうこう言いたいわけじゃなく、結局自分も情けない人間だとまた一つわかってしまったという事
今現在あの油と塩をぶち込んだラーメンのある人生、生活に戻ってんだから。
別に違法じゃないし、みんな食べてるし、週に1回ぐらいならとかさ、不健康への言い訳するわけ。
もう舌が、戻ってんだもん。戻るってことはこの味付けが標準で当たり前なんだから。別にこれが普通なんだからね。
絶食後の数日間の自分の舌、味覚は日本の中では異常であったが、世界的に見て正常であった。
何が言いたいかというと、世界的に見て正常であろうとしなかったという事。
日本で日本人の味覚に戻ることを望んでいたってこと。
それで体を悪くすることなんて何も気にしなかった、早く美味い食事がしたかったからね。
その時やはりこの塩分量の異常さを自覚していた。世界一しょっぱい食事に戻れるかを心配していた。
恐ろしいものである。塩による体への弊害ではない。いままで習慣や魅力という物に抗えない、むしろ普通になるという事への態度や行動が、である。
それぐらい、今まで生きてきた人生を、無意識で変える事なんてできない。これが正しいと思っている
今日から塩分も糖分を減らすことを考えていない、自分の人生において普通という異常な水準の高さを自覚したのである。
長ったらしく書いたが、とどのつまり外人と同じ、日本人こんな食事してたのかよ。ということ。