令和2年の7月10日に始まった遺言書保管制度ですが、
令和5年10月2日に、少し改正がありました。
※遺言書保管制度に関する法務省のページはコチラ
⇒遺言書保管制度とは?| 自筆証書遺言書保管制度 (moj.go.jp)
⇒通知について| 自筆証書遺言書保管制度 (moj.go.jp)
この遺言書保管制度を利用した場合、
いざ、遺言者が亡くなった時には、
法務局から、指定の相手方に対して、
”遺言書が保管されていること”を通知してもらえるのですが、
(通知を希望しない場合は、通知されません)
この通知の相手先として、
これまでは、遺言書に記載された受遺者、遺言執行者、
または推定相続人のうち「1名だけ」に限定されていました。
これが、今後は、指定できる範囲が広がり、
「遺言者が指定した者」に通知してもらえることになりました。
しかも、「3名まで」指定することができます。
例えば、Aさんの遺言が
「100万円をBさん(友人)に遺贈する」
という趣旨の内容だった場合に、
通知の相手先として、
①Aさんの子ども(←推定相続人)
②Bさん(←受遺者)
③手続に関与した専門家
とする選択も、可能になったわけです。
※③は、手続に関与した専門家ではなく、
Bさんの家族の方でもいいかもしれません。
遺言を作成する方には様々な事情があります。
もしかしたら、
”遺贈はしたいけど、生前には伝えたくない”
気持があるかもしれません。
また、より確実に遺言が執行されるように、
”第三者にフォローをお願いしたい”
という要望があるかもしれません。
いずれにせよ、選択肢が広がるのは良いことだと思います。
ちなみに、
受遺者や推定相続人でない場合(上記③の人)は、
通知を受け取っても、遺言書の閲覧等はできませんので、
第三者を通知先に指定するのであれば、
「遺言書のコピー」を渡しておくとお互いに安心だと思います。
遺言書保管制度が始まって3年数か月が経ちますが、
残念ながら、あまり広く知られていない気がしています。
「亡くなったら”遺言書の存在”を通知してくれる」仕組みは、
遺言書保管制度を利用した場合だけです。
使い方によってはとても便利な仕組みだと思うので、
この制度の認知度が高まればいいなと思っています。
※当事務所で、遺言の相談を受けた場合は、
ご本人の要望や、ご家族の状況をお聞きして、
いろいろと提案をさせて頂いております。
実際の件数でいえば、
公正証書遺言をお勧めするケースが多いですが、
この「通知」の仕組みに着目して、
遺言書保管制度の利用をお勧めした案件もあります。
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司法書士 黒川雅揮
司法書士黒川雅揮事務所HP⇒https://k-legal.jp/