先日の不動産売買の決済中のことでした。

 

着金待ち時間の雑談のなかで、

売買当事者である会社の社長に対して、

「登記完了後の書類はどちらにお送りします?」と尋ねたところ、

(私としては、会社宛?ご自宅宛?の意味で聞いたつもり)

 

「いま新しいオフィスの方はまだ準備中だし…どうしようかな…

 登記完了はいつ頃になりそうですか?」との回答を頂きました。

 

多くの司法書士がそうだと思いますが、

こういう話を聞くと焦りますよね。

 

 

その後の会話は次の通りです。

 

私「登記完了は1~2週間後くらいですね。

  ところで…もしかして、本店を移転します?」

 

社長「はい。本店移転登記は司法書士に依頼してあるので、

   もうすぐ申請する頃だと思います。」

 

私「ちなみに、本店の移転日はいつですか?何月何日付ですか?」

 (焦りまくりあせる

 

社長「まだ決めていないけど…

   新しいオフィスの準備ができた日にしようかなと。」

 

私「でしたら、この売買の登記が完了するまで、

 本店移転登記を申請するのをお待ち頂いてもよいですか??

 本件売買の不動産登記に影響がでる可能性があるので。」

 

社長「かまいませんよ。別に急いではいないので。

   でしたら、本店移転の方はストップかけておきますね。」

 

私「ありがとうございます。」

 

※この後、不動産登記と会社登記の申請が重なると、

 どんな影響が生じるかの事情を説明させて頂きました。

 

 

【事情】

会社が当事者になる不動産登記を申請すると、

法務局側では、当該会社の登記記録を確認して審査をします。

 

この時に、会社登記が申請されていると、

不動産登記の担当の方は、登記記録を確認できませんので、

(実際に確認できないかどうかは知りませんが)

 

会社登記が完了するまで、不動産登記の審査を保留にするか、

 

または、当該不動産登記の申請の際に、

会社の「登記事項証明書」が添付されていれば、それをもとに審査をします。

 

※「登記事項証明書」を添付したとしても、

 不動産と会社が同じ管轄の法務局だった場合は要注意だと思います。

 (以前、法務局の方に聞いたところ、

  「同じ法務局内であれば、一応、会社登記の内容は確認する」

  と言われたことがあります。)

 

 

審査をした結果として、

会社の登記記録と不動産登記の内容に矛盾が生じる場合は、

不動産登記の側で補正が必要になってしまいます。

(内容によっては取り下げせざるを得なくなります。)

 

※例えば…

 売買日(不動産登記の申請日)の後に、

 売買日よりも前の日付を原因とする本店移転登記が申請されていた等

 (商号変更、代表取締役変更、等も同様です。)

 

 もし、売買日よりも後の日付での本店移転登記であれば、

 不動産登記の完了が遅れる程度の影響で済みますが。

 

 

 

この辺りの事情は知られていなくても仕方ないと思いますが、

 

もし、不動産売買の前後での会社登記の申請を予定している場合は、

ぜひ、各担当の司法書士にお声がけをして頂きます様お願いいたします。

 

 

ちなみに、不動産登記も会社登記も同じ司法書士が担当する場合は、

登記申請のスケジュールについても打ち合わせをするはずなので、

問題になるケースはほぼ無いと思います。

 

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司法書士 黒川雅揮

司法書士黒川雅揮事務所HP⇒https://k-legal.jp/

 

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