まず、登録免許税法第13条を引用します。
(共同担保の登記等の場合の課税標準及び税率)
第十三条 一の登記官署等において、同時の申請(官庁又は公署の嘱託を含む。次項において同じ。)により同一の債権のために数個の不動産等に関する権利を目的とする先取特権、質権又は抵当権の保存若しくは設定、移転又は信託の登記又は登録(以下この条において「抵当権等の設定登記等」という。)を受ける場合には、これらの抵当権等の設定登記等を一の抵当権等の設定登記等とみなして、この法律の規定を適用する。この場合において、当該抵当権等の設定登記等に係る不動産等に関する権利の種類の別により別表第一に掲げる税率が異なるときは、そのうち最も低い税率をもつて当該抵当権等の設定登記等の登録免許税の税率とする。
2 同一の債権のために数個の不動産等に関する権利を目的とする抵当権等の設定登記等を受ける場合において、当該抵当権等の設定登記等の申請が最初の申請以外のものであるときは、当該抵当権等の設定登記等に係る登録免許税の課税標準及び税率は、当該抵当権等の設定登記等がこの項の規定に該当するものであることを証する財務省令で定める書類を添付して当該抵当権等の設定登記等の申請をするものに限り、当該抵当権等の設定登記等に係る不動産等に関する権利の件数一件につき千五百円とする。
続いて、登録免許税法施行規則第11条を引用します。
(共同担保の登記等の場合の税率の特例の適用を受けるための書類)
第十一条 法第十三条第二項に規定する財務省令で定める書類は、登記事項証明書その他の書類でその登記又は登録に係る債権金額につき既に同条第一項に規定する抵当権等の設定登記等を受けている旨を証するものとする。
登録免許税法施行規則第11条で定める証明書を添付すれば、
登録免許税法第13条の2項の適用を受けられる、ということなのですが、
実務上、この証明書とは具体的には何か、ということがたまに問題になります。
条文通り読めば、
「当該債権に係る抵当権設定の登記がなされた登記事項証明書」です。
いわゆる謄本です。
同一の債権に係る2件目の抵当権設定登記を申請するにあたり、
書面で申請する場合は、
当該「登記事項証明書」を添付することに争いは無いのですが、
オンラインで申請する場合には、
いわゆる「照会番号付きの登記情報」で代用できるのかどうか、
という点で、法務局によって異なる取扱いがなされているようなのです。
※登記情報とは、インターネット上で登記記録を閲覧できるサービスで、
照会番号を付して取得すれば、公的な証明書として利用できるものです。
施行規則第11条で「登記事項証明書その他の”書類”」の文言があるせいで、
この「照会番号付きの登記”情報”」がコレに該当するかどうか、
という話のようですね。
先日、この「照会番号付きの登記情報」を提供して登記申請したところ、
管轄の法務局側では、この取扱いに悩んだそうで…
「同県内でも、法務局によって取り扱いが異なっていて困っている。
”上”の判断を仰ぐつもりなので、登記完了まで時間がかかりそう。
もしダメだったらスミマセン。その場合は登記事項証明書を提出して欲しい。」
とご連絡を頂きました。
最終的な結論としては、
”「照会番号付きの登記情報」で問題ない”とのこと。
無事に申請した登記は完了しました。
※ちなみにコレは神奈川県の話です。
どうやら神奈川県内の法務局では正式にOKということになったようです。
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司法書士 黒川雅揮
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