昔は、株式会社の機関といえば、
株主総会、取締役会、監査役が必ず設置されていました。
平成18年5月の会社法施行によって、
株式に譲渡制限がある会社(←多くの会社がコレです)については、
取締役会の設置は必須ではなくなり、
取締役会を設置しない会社については、
監査役の設置も任意となりました。
取締役会を設置する会社では、
取締役3名と監査役1名が最低限必要になるので、
ほとんど家族経営のような実態の会社にとっては、
この人数を確保するのも大変なようです。
※取締役会を廃止すれば、取締役1名のみでもOKです。
会社法施行から15年以上経った今でも、
まだまだ「取締役会を廃止したい」というニーズはあるようで、
年に何件かはご相談を頂いております。
会社の内容やご要望にもよりますが、
スリム化の場合のよくあるパターンとしては、
次のような登記を申請することになります。
・取締役会の廃止
・株式の譲渡制限規定の変更(取締役の承認→株主総会の承認)
・監査役の廃止
・監査役の廃止に伴う監査役の退任
・取締役の変更(辞任、入替、等)
・株券を発行する旨の廃止
※手続の都合上、定款をほぼ丸ごと変更してしまうことが多いです。
ついでに、事業目的を見直したり、
登記にあまり関係のない事項も見直したりします。
※ちなみに、このケースだと、
登録免許税は7万円(資本金が1億円以下の会社の場合)で、
これに司法書士報酬が加わります。
報酬は、会社の状況や内容によって前後しますので、
ご依頼があればお見積りさせて頂きます。
※準備すべき書類の量はたしかに多くなりますが、
基本的に登記関係書類は司法書士側で準備します。
株主の同意がとれているのであれば、
お客様側での手間はそんなにかからないと思います。
機関をスリム化することによる注意点としては、
それまでとは主たる意思決定の機関が変わるという点でしょうか。
<取締役会を設置している会社>
業務執行に関する事項は取締役会で決定する必要があります。
株主総会では、会社法および定款において、
株主総会で決定すべき事項以外は決議できません。
<取締役会の無い会社>
株主総会は何でも決議することができる万能機関といえます。
実質的には、取締役の頭数による多数決よりも、
大株主の立場が強くなる、と言えるかもしれません。
※代表取締役が大株主である場合は、
あまり気にしなくても良いかと思いますが
なので、株主数が多かったり、会社の規模が大きかったり、
それなりの資金調達をする計画がある会社の様な場合には、
やはり、取締役会を設定している組織の方が望ましい場合もあります。
金融機関等から借入をしている様な会社の場合は、
事前に、当該金融機関にも相談した方がよい場合もあります。
この記事は、一律にスリム化をお勧めしているわけではなく、
スリム化できる方法もあります、というご紹介です。
各会社ごとにご判断頂ければと思います。
機関のスリム化をお考えの方は、
是非お近くの司法書士にご相談くださいませ。
※もちろん、これまで取締役会を設定していなかったけど、
取締役会を設置したい、というご相談にも対応しております。
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司法書士 黒川雅揮
司法書士黒川雅揮事務所HP⇒https://k-legal.jp/