相続人が誰もいない状況で亡くなった場合、

その方の相続財産は、相続財産法人となります。

 

その相続財産法人を管理する人を、

相続財産管理人といいます。

 

 

相続財産法人の財産に不動産があって、

これを換価する必要がある場合には、

相続財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て、これを売却します。

 

 

この場合の登記手続における、

売主側の必要書類は少し特殊で注意が必要です。

 

なお、相続財産管理人が売主当事者となります。

 

 

売主側の必要書類は、原則、以下の通りです。

 

 A 登記識別情報通知(登記済権利証)

 B 市区町村長発行の印鑑証明書(3か月内のもの)

 C 売却に関する許可書

 D 相続財産管理人の選任審判書(3か月内のもの)

 E 実印(市区町村に届出している印鑑)

 F 「D」に記載された相続財産管理人の住所が事務所の場合は、

   弁護士会発行の証明書(住所と事務所の記載のあるもの)

 

 

例外として、以下の取扱でも、ほぼほぼ問題ありません。

 

・Aについて

 ⇒添付省略が可能です。

 

・Bについて

 ⇒家庭裁判所に「相続財産管理人の印鑑」を届出している場合は、

  家庭裁判所発行の印鑑証明書でも代用可能です。

  この場合、3か月の期限はありません。

 

・Eについて

 ⇒家庭裁判所発行の印鑑証明書を使用する場合は、

  家庭裁判所に届出した印鑑が必要です。

 

・Fについて

 ⇒「B」で家庭裁判所発行の印鑑証明書を使用する場合は、

  「F」が必要になるケースは無いと思います。

 

 

※”ほぼほぼ問題ありません”、と記載した理由は、

 ”100%大丈夫です”、とはいえないからです。

 

 というのも、この取扱いは、公式の見解というわけではなく、

 「登記研究」という登記業界では有名な雑誌に掲載された、

 一つの見解に過ぎないからです。

 

 法務局が「登記研究」の見解を否定することは稀だとは思いますが、

 

 あくまでも、原則は原則なので、

 事前に、必ず、管轄の法務局に対して、

 取扱いを確認することをオススメします。

 

 いまのところ、この取扱でダメだと言われたことはありませんが、念のため。 

 

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司法書士 黒川雅揮

司法書士黒川雅揮事務所HP⇒https://k-legal.jp/

 

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