所有権移転等の一定の登記申請の際には、

登記済権利証(登記識別情報)を法務局に提供する必要があるのですが、

 

紛失等の事情により提供できない場合には、

 ①資格者代理人による本人確認情報の提供

 ②事前通知制度

のどちらかを利用して登記申請します。

 

 

売買のように、申請日が重要となる手続においては、

①の本人確認情報を作成して申請するのが一般的だと思います。

 

 

さて、この本人確認情報ですが、

登記手続を担当する司法書士が、

当事者に実際に面談して作成する必要がありまして、

 

どんなことを記載するかは、次の通り法定されています。

 

(1)面談した日時、場所、その状況

  (↑これはどんな場合でも記載が必要な事項です)

 

(2)氏名を知り、かつ、面識があるときは、

  面識がある旨とその面識が生じた経緯

 

(3)氏名を知らず、または面識がないときは、

  本人確認資料の内容、その他本人だと認めた理由

 

 

実務上、殆どのケースは、上記(3)に該当しますので、

 

通常の手続でも確認している資料に加えて、

その他関連する資料を拝見したり、

ご自宅を訪問したり、本人しか知りえない情報を聞いたりして、

本人に間違いないと判断した理由を具体的に記載します。

(担当する司法書士によってやり方はいろいろあります。)

 

 

 

 

上記(2)の面識がある場合というのは、

ただの知り合いであるという程度では、

”面識あり”とは言えないルールとなっていまして、

 

(A)3か月以上前に、資格者代理人として、

  本人確認情報を提供して登記を申請したことがある。

 

(B)親族関係、その他1年以上の継続的な取引関係、

  その他安定した継続的な関係が存在する。

 

のいずれかに該当する場合に限定されています。

 

 

 

先日、かなり久しぶりに、

”面識あり”として、本人確認情報を作成しました。

 

上記(A)のパターンでしたので、”面識が生じた経緯”としては、

「過去に本人確認情報を提供して申請した登記を特定できる情報」を

提供すれば足ります。

 

いつもの本人確認情報のボリュームに比べると、

心配になるくらいコンパクトな本人確認情報となりましたが、

登記申請は無事に完了しました。

 

 

 

ところで、実は私はまだ、

上記(B)のパターンでの本人確認情報を作成したことがありません。

 

司法書士は、いわゆるスポット業務で、

ニーズが発生した時に、その都度ご依頼頂くスタイルなので、

 

仮に、継続的にご依頼頂いているお客様だったとしても、

継続的に取引を行う契約を交わしているわけではありません。

 

 

そんな関係性が、ここでいう「継続的な安定した関係」に

該当するかどうかはよく分かりませんので、

 

そういったお客さんからのご依頼で本人確認情報を作成する場合は、

面識なしの上記(3)の形式で作成しています。

 

 ※顧問契約書でもあれば別でしょうけど、

  信頼関係だけをもって、安定した関係であることを、

  説得力のある文章をもって説明できない、という意味です。

 

 ※実務上、この上記(3)のパターンで作成するとしたら、

  親族関係が多いのでしょうか。

 

 

 

 

ちなみに、いくら”面識あり”だとしても、

この本人確認情報作成のための面談は必須です。

 

顔見知りだからといって、

面談そのものを省略することはできません。

 

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司法書士 黒川雅揮

司法書士黒川雅揮事務所HP⇒https://k-legal.jp/

 

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