不動産登記の話です。
不動産を処分(例えば売買、相続、贈与、等)したりする際には、
まずは、対象の不動産を特定するところから始まるわけですが、
”本地は特定できたけど、私道持分があることを見落とした”
といったケースは意外と多い印象です。
※私道の様に固定資産税が非課税だったりすると、
固定資産税納税通知の課税明細には記載されませんし、
所有者自身も私道持分があることを知らないケースも多いので。
手続対象から漏れてしまった私道は、
しばらくの間、誰にも気づかれないまま放置され、
時間が経てば経つほど、トラブルになる可能性が高くなります。
※前所有者や被相続人の名義のままの土地は、
そのままでは処分できませんので。
不動産の特定にはいろいろ方法があるかと思いますが、
例えば…
①「共同担保目録」を確認する。
※抵当権等の担保が設定されていれば参考になります。
しかし、そもそも設定時から私道が漏れていたり、
担保設定の後に私道持分を取得しているケースもあります。
②「地図」や「公図」をチェックする。
※いかにも私道っぽい箇所があれば分かりますが、
例えば、本地とはかけ離れた場所だったりすると分かりません。
③当該市区町村の固定資産税係から「名寄帳」を取得する。
※市区町村によって名寄帳の取扱はだいぶ異なります。
完璧に管理してくれている役所もある一方で、
非課税地が名寄帳に反映されていない役所もありますし、
共有者の代表者名じゃないと検索できない役所もあります。
④権利証等に一緒に保管されている書類をチェックする。
※権利取得時に私道持分の登記手続がされている場合、
本地分と一緒に綴じられていることが多いです。
ただ、これも後から取得した場合等は把握できません。
どの方法も完璧ではないので、
ケースバイケースでチェックしていくしかありませんね。
※現実には、いろいろ調査しても、
結果として私道が漏れてしまう場合もありますが。
(これは誰も気づけないでしょ、というものもあるので…)
例えば、ご自身の不動産が次のような状況だったら
ご相談時にお伝え頂けるとありがたいです。
・公道から奥まった位置にある。
・自分の家は公道に接してはいるけど脇に通路がある。
・家の前の道路がわりと狭い。
・家を建て替えた時に、壁や塀が内側に下がった。
司法書士が登記手続に関与する場合に、
そういった情報が分かると確認しやすい気がします。
※本人確認やご説明の為にご自宅に伺う場合はありますが、
現場の状況を確認する為に見に行くケースはほぼありません。
(土地家屋調査士と兼業の先生は、見に行くことも多そうですけど)
************************
司法書士 黒川雅揮
司法書士黒川雅揮事務所HP⇒http://k-legal.jp/