商業登記の話です。

 

令和3年2月15日から、

法務局に「会社の実印を届出」するか・しないかを、

任意に選択できるようになります。

 

これまで、会社は、

法務局に「会社の実印を届出する」ことが義務付けられていましたが、

 

来週以降は、「会社の実印が無い会社」の存在も認められます。

 

 

 

ただ、この改正内容には、いろいろと注意が必要です。

 

※コロナ禍で急速に推し進められてきた、

 「印鑑廃止(不要な押印は廃止しよう)」の話とは、全く論点が異なります。

 

 (「デジタル化を進める」という部分では一致していると思いますが)

 

 

 

あくまでも法務局への「実印の届出」が任意になるだけで、

 

いわゆる「会社の実印を捺す」という概念(←敢えてそう表現します)

無くなるわけではありません。

 

 

「会社の実印を捺す」という行為には、

”その会社の代表者が自分の意思で捺したことを明らかにする”

という目的があるわけですが、(←ざっくり言うと)

 

この目的は、

実際には「電子証明書」でも代替することができるので、

 

それであれば、

”印鑑の届出を義務にしなくてもいいんじゃない?”

ということで、改正されただけの話です。

 

 

※「会社の実印は不要になる」とか、「印鑑は廃止してもいい」とか、

 決してそういう単純な話ではありません。

 

 

 

 

現実社会においては、

「会社の実印を捺す」行為を求められる場面が多々あります。

 

 ・取引先との意思確認

 ・金融機関との取引

 ・登記申請、等。

 

理屈上は「電子証明書」で代用できるとはいっても、

なんせ相手方のある話ですし、

 

電子証明書の登録・継続の費用もそれなりにかかります。

 

(それなりの頻度で電子証明書を利用する会社であれば、

 印紙税との関係で、コスト的には見合うかも、ですが)

 

 

 

ということで、

実印の届出をしないで良いかどうかは、

慎重にご判断頂きたいと思います。

 

 

 

コロナの影響もあって、今後は、

デジタル社会が急速に進んでいくとは思いますが、

 

とりあえず現時点においては、

これまで通り「会社の実印」は届出しておくことを強くお勧めします。

(↑個人の意見です)

 

 

 

ちなみに、登記の申請時に利用できる電子証明書は次の通りです。

 

(現時点でOKだと公表されているもの。←適時、更新されていくと思います。)

 (1)商業登記電子証明書

 (2)公的個人認証サービス電子証明書

 (3)セコムパスポート for G-ID

 

※登記の添付書類については、

 他の電子証明書もいくつか認められています。

 (但し、添付書類の内容によっては、結局、上記のものが必要になります)

 

※書面で商業登記手続を申請する場合は、

 電子証明書による登記申請は認められていません。

 この場合、「印鑑の届出」は必須です。

 

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司法書士 黒川雅揮

司法書士黒川雅揮事務所HP⇒http://k-legal.jp/

 

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