商業登記の話です。

 

令和3年2月15日から、

「スーパー・ファストトラック・オプション」の運用が開始されます。

 

 

スーパー・ファストトラック・オプションとは、

 

これまでは、

公証役場で定款認証手続をした後に、

法務局に登記を申請する必要があったのを

(2か所に対して順に申請していた)

 

公証役場の定款認証と、法務局の登記を、

同時に申請することが出来る様にし、

 

さらに、

添付書類を全て電子文書(電子署名が必要)で提出、

かつ、就任する役員の数が少ない等の一定の場合には、

スグ(申請から24時間内)に登記を完了してもらえる。

 

 

という新しい仕組みのことです。

 

 

※ちなみに、これまで通りの仕組みでも、

 会社の設立登記は、申請から数日程度で完了しているのですが、

 これをさらに早めてくれるとのこと。

 

 どうやら、国家IT戦略の一環らしいです…。

 

 

 

ということで、

来週から、新しい仕組みの運用が始まるわけですが、

 

司法書士に設立登記をご依頼頂くケースでは、

”急いでるから”という理由では、あまり利用されないと思いますし、

 

正直、司法書士の立場からみると、

通常の設立の流れと比べて、リスクが増えるので、

しばらくは様子見になるかな…という印象です。

 

 

 

ちなみに、スーパー・ファストトラック・オプションを利用する場合の、

手続の流れは次のようなイメージになると思います。

 

 ①依頼者との打ち合わせ。内容を決める。

  (原則、初回は面談。←犯罪収益移転防止法の規程より)

 ②資料をもらう

 ③書類(データ)の準備

 ④データのやり取り(電子署名してもらう)

 ⑤司法書士が公証役場と事前に打ち合わせ

 ⑥司法書士が公証役場と法務局に同時申請

 ⑦申請当日の17時までに公証役場が定款を認証(←テレビ電話による)

 ⑧申請後24時間で登記完了

 

 

 

※依頼者側では、いままでの流れとあまり変わりません。

 「紙にハンコを捺す」部分が「電子署名する」になるくらいでしょうか。

 

 結局、お互いに時間と手間がかかる部分は、

 ハンコを捺してもらう(電子署名もらう)までの部分なので、

 

 この仕組みを利用したからといって、

 ご依頼から完了までの時間はそんなに変わりません。 

 

 

 

※司法書士の立場からみると、

 ⑦の当日17時までに定款認証できるかどうか、

 が地味に怖いと思っています。

 

 何らかの事情(回線トラブル等)で、

 もし当日中に定款認証ができなければ、

 登記申請も一緒に却下されてしまいます。

 

 もちろん、後日、申請しなおすことは可能なのですが、

 株式会社は、申請日=設立日なので、設立日がズレます。

 

 

 

※司法書士に依頼せずに、

 自分で設立登記の手続をしたい方にとっては、

 わりといい仕組みかもしれません。

 

 まるで一か所で手続している様に感じられるでしょうし、

 無事に申請できれば、早く登記が完了するので、

 利用してみる価値はあると思います。

 

 

 

さっき、近所の公証役場に行ったついでに聞いてみたところ

スーパー・ファストトラック・オプションを利用した予約は、

現時点ではまだ入っていないそうです。

 

是非どなたかお試しで手続してみてください。

そして、その感想をブログ等で公表して頂けると助かります。

 

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司法書士 黒川雅揮

司法書士黒川雅揮事務所HP⇒http://k-legal.jp/

 

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