これまでにも何度か記載していることですが…

 

司法書士には、依頼者について本人確認を行う義務があります。

 

なぜ、司法書士が本人確認を行うのかというと、

 ①「司法書士法」

 ②「犯罪収益移転防止法(ゲートキーパー法)」

といった法律(関係法令等含む)で規定されているから、です。

 

 

 

さて、

世の中では、新型コロナウィルスの影響によって、

業務のリモート化、非対面化が急速に進みつつあります。

 

当事務所でも、ここ数か月の間、

できる限り非対面化の動きに対応したい、と検討は進めておりますが、

 

上記の②「犯罪収益移転防止法」の壁によって、

非対面では難しいケースも多く、どうしようか悩まされています。

 

 

 

 

①「司法書士法」関連の規定では、

”本人確認の具体的な方法”については、

最終的には、その司法書士の責任で決めることができます。

 

例えば、面談することができなくても、

電話・メール・郵便・ビデオ通話等での確認によって、

その司法書士が”問題無い”と判断すればそれでOKなので、

工夫できる余地はあります。

 

※例外として、権利証を紛失した場合の

 「本人確認情報」を作成する際の本人確認については、面談が必須です。

 これについては、厳格に規定されています。

 

※法令上、依頼者と会わずに手続を進めることができる場合でも、

 やはり会ったうえで、手続した方が良いと判断する案件もあります。

 

 

 

 

 

一方、②「犯罪収益移転防止法」関連の規定では、

”本人確認の方法”が”具体的”に規定されています。

 

ざっくりいうと、初めての依頼者については、

 (1)原則、面談にて本人確認資料の原本を確認する。

 (2)面談できない場合は、依頼者の”自宅”宛に、

   「書留」・「転送不要」で送付して確認する。

 (3)確認した内容を記録して保存する。

 

と規定されていて、(かなり省略してあります)

この決まった方法で行わないと、原則、違法なので、

場合によっては罰則が科せられます。

 

 

※この規定の対象となる業務は

 司法書士業務の全部が対象となるわけではありません。

 

 ・宅地・建物の売買による登記手続

 ・会社の設立、役員の就任、定款変更、組織再編

 ・現預金・・有価証券等の管理、処分

 等の手続の依頼が対象です。 

 

 不動産登記の場合は、売買だけですが、

 商業(会社)登記の場合は、ほとんどのケースが該当すると思います。

 

 

 

ちなみに、これまでに何度か改正されていて、

(令和2年4月にも改正されたばかりです)

本人確認資料となる身分証や、会わない場合の流れ等、

どんどん厳しい内容になってきています。

 

※一応、完全オンライン(郵送は無し)の方法も規定されましたが、

 事実上、その方法は採用できないと思います…。

 

 

 

依頼者が個人の場合はまだいいのですが、

 

依頼者が会社の場合は、

”会社”と”担当者個人”の両方の確認が必要となるので、

(担当者は、従業員でもOKです。代表取締役も当然OK。)

さらに話がややこしくなります。

 

結局は、さっさと面談してしまった方がお互いにスムーズ、

ということになってしまいます。

 

※例えば、役員ではない担当者(従業員)の立場からすれば、

 自宅宛に会社関係の書類が送られてきても、普通は困りますよね。

 

 

 

 

 

昔から疑問に思っているのですが…

 

全国のお客様を対象にして、

インターネット上で依頼を請けている司法書士・行政書士を見かけますが、

(面談しないことを前提として)

 

いったい、どのような方法で、

この犯罪収益移転防止法の規定をクリアしているのでしょうか?

 

※担当者の自宅宛にも、当たり前に郵送しているのかな?

 誰かコッソリ教えて欲しいです。

 

※ちなみに、犯罪収益移転防止法では、

 司法書士だけでなく、行政書士や、税理士、等も、

 本人確認義務のある事業者として規定されています。

 (対象となる業務内容は、それぞれ異なります)

 

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司法書士 黒川雅揮

司法書士黒川雅揮事務所HP⇒http://k-legal.jp/

 

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