令和2年8月1日から、
改正司法書士法が施行されます。
主に以下の点が改正されています。
1、司法書士の「使命」を規定
2、司法書士一人だけでも法人化が可能に
3、懲戒処分の制度が少し変更される
個人的には、
上記2の”司法書士法人”の規定変更に注目しています。
「登記業務」等の業務は、
”司法書士”にだけ認められています。
法人として、これらの業務を行うには、
”司法書士法人”を設立する必要があります。
司法書士法が改正される前までは、
司法書士法人を設立するには、
”社員”たる司法書士が”2人以上”必要でした。
※ここでの「社員」とは、従業員のことではなく、
”役員”であり、かつ”出資者”でもある人のことです。
この”2人以上”というのが、
気軽に法人化できない要因の一つでした。(←個人的な意見です)
司法書士が業務を行うにあたり”責任”が生じます。
この責任は、「無限責任」です。
※「無限責任」とは、有限責任とは異なり、
「何かあったら、金額に上限なく、全責任を負う」ということです。
司法書士法人の場合、
まずは法人がその責任を負いますが、
もし、法人に支払能力が無かったりした場合、
”社員”全員が連帯して個人的に責任を負うことになります。
例えば・・・
・法人内の誰かがミスをしたせいで、多額の賠償責任を負った。
(自分が、直接の関与はしていなくても)
・経営に失敗した。
(パワーバランス的に”雇われ”と同視できる立場だったとしても)
といった様な場合に、
個人的に多額の借金を背負うことになる可能性もゼロではありません。
※夫婦や親子といった関係性で司法書士法人を設立するなら、
とくに問題はないのでしょうけど。
(夫婦だと、離婚したら最悪ですけどね)
で、今回の改正によって、
”自分一人”だけでも司法書士法人を設立できる様になるわけですから、
この「無限責任」のリスクは、個人事業の場合と変わりありません。
となると、
法人化するかどうかを検討するにおいては、
あとは、”お金”と”少しの手間”の問題だけです。
<デメリット>
・設立費用がかかる(初回だけ)
・領収書に貼る印紙の負担が発生する
・法人としても、個人としても、司法書士会費がかかる
・社会保険に強制加入させられる
・経理作業が複雑になる
・自分の取り分が、給料制(役員報酬)になる
<メリット>
・一定以上の稼ぎになると、税率が低くなる。
・自分が死んでも、法人はそのまま存続させることもできる。
・勤務司法書士(社員じゃなく)を雇える。
・一般的に、個人よりは信用力がある(?)。
おそらく、
常勤の従業員(司法書士・補助者)を雇っていて、
それなりの売上がある司法書士の多くは、
改正後に法人化を検討しているのではないかと思います。
あと、
高齢化等の事情で、事務所の承継を検討している人も、
法人化しておくと、イロイロやり易くなると思います。
ちなみに、私の事務所はというと・・・
しばらくは様子見です。
周りの司法書士の動向をみてから判断したいと思います。
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司法書士 黒川雅揮
司法書士黒川雅揮事務所HP⇒http://k-legal.jp/