不動産登記法第22条に、

“共同申請の場合”および“政令で定める場合”には権利証を添付する事、

という規定があります。


 

ここでの政令とは、不動産登記令第8条の事で、

“共同申請”ではないけど、

権利証を添付しなければならない場合が規定されています。


 

前回の記事 の末尾にて、

『“共同申請”にもかかわらず権利証を添付しなくてもよい場合もあります。』

『“単独申請”にもかかわらず権利証を添付する必要がある場合もあります。』

と書きましたが、

 

前者は、

“共同申請の場合”の例外規定、

そして後者は、

“不動産登記令第8条に定める場合”に含まれます。


 

という事で、今回の記事では、

不動産登記手続において、

『権利証の添付が不要なケース』についていくつか例を挙げます。


 

1【相続等による所有権移転登記】

(不動産登記法第63条2項)

 

前回の記事 でご説明した通りです。

似ているものとしては、

銀行等の合併による抵当権移転登記も例の一つです。


 

2【名義人の住所変更登記】

(不動産登記法第64条)

 

名義人の住所や氏名が変わった時は、

住所(氏名)変更登記を行います。

 

関与するのは名義人だけです。

当然、“単独申請”の手続となりますので、

権利証の添付は必要ありません。

 

※ご注意頂きたいのは、

 「抵当権の債務者の住所変更」等の場合には、

 所有者の権利証が必要です。

 

 抵当権の債務者の記載の変更は、

 抵当権の内容を変更する手続として、

 抵当権者と所有者の“共同申請”の手続です。


 

3【確定判決による所有権移転登記】

(不動産登記法第63条1項)

 

共同申請すべき相手方が手続に協力しない場合、

裁判所にて、「登記しなさい」という確定判決をもらう手続をします。

 

確定判決を得る事ができれば、

それをもって、“単独申請”をする事ができ、

権利証の添付は必要ありません。


 

4【仮登記】

(不動産登記法第107条)

 

仮登記とは、順位を保全する為の登記です。

確定的に権利を取得する登記ではありませんので、

 

権利を失う方の承諾書を添付すれば、

権利を取得する方が“単独申請”で手続できます。

 

“共同申請”してもかまいませんが、

その場合でも、不動産登記法第22条の例外として、

仮登記の場合には権利証の添付は不要とされています。

 

※仮登記の抹消登記は“単独申請”によっても可能ですが、

 不動産登記令第8条により、

 権利証の添付が必要とされていますので、ご注意下さい。


 

5【破産管財人、相続財産管理人が任意売却した場合の所有権移転登記】

 

破産管財人が破産者が所有していた不動産を

任意で売却したい(競売でなく)場合には、

裁判所の許可が必要になります。

 

また、相続財産管理人が相続財産を売却する場合には、

家庭裁判所の許可が必要になります。

 

裁判所が許可しているのだから、

権利証の添付など必要ない、という事ですね。

 

 


 

他にも例はありますが、ざっと挙げてみました。

 

ちなみに、

文中では、分かりやすいように、

あえて「権利証」と書きました。

 

「登記識別情報」に置き換えても趣旨は同じです。

(条文は「登記識別情報」となっていますので、念のため。)

 

Kurokawa
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