最近、急に冷えてきた。

体調管理にも気をつけなければ。


さて、弱点である公法系科目の強化が順調に進んできたところで、一旦、答案作成と憲法判例との関係についての思考をメモしておきたい。


憲法という科目においては、他の科目と比較して、判例との関係を明示させる問題が多く、それだけ憲法判例の理解が重要視されているように思われる。例えば、「参考とすべき判例や想定される反論を踏まえて」(H30司法)、「参考とすべき判例があれば,それを踏まえて論じるように」(R1司法)、「必要に応じて,参考とすべき判例や自己の見解と異なる立場に言及すること。」(R2司法、R3司法)、など、近時の司法試験においては判例への言及が解答の前提条件ともなっている。


予備試験においては、ここまで明確に「判例に触れろ」という指示はみられないものの、憲法という法の性質(法律要件と法律効果が明確に定まっていないという性質)からすると、結局、解答の過程で判例の内容に明示又は黙示に触れざるを得ない場合が多い。また、憲法上の権利の制約を前提に判断枠組みを定立する際、大多数の受験生が依拠すると思われる「違憲審査基準論+三段階審査」というハイブリッド思考を用いるにしても、「判例がどのような理屈で当該憲法の権利を重要なものと考えており、あるいは考えていないのか」「いかなる理屈で憲法上の権利に対する制約を認定し、あるいは認定しなかったのか」などの相場感は、判例学習を通じて落とし込んでおく必要があるように感じる。


そうすると、判例が具体的事案に応じて用いてきた規範等を丸覚えするかどうかはともかくとして(というより、覚えられる気がしないし、覚える意味もさほどないように思う)、「どのような事実に着目し、それにどのような評価を加えて憲法適合性を判断しているのか」ということについては、判例を通じて勉強する意味があると感じている。


本格的に判例をナナメ読みし始めてから(本格的なナナメ読みという矛盾…)、問題文に記載のある事実のうちいかなる事実を摘示すべきか(法的評価の前提となる事実=法的に意味のある事実が何かということや、立法事実と司法事実との区別を含む)、そのそれぞれにどのような評価が成り立ちうるか、ということについて、以前より明らかに意識が高まった気がする(他の科目ではそう苦手なことではなかったが憲法になると急にできなかった…。)。そのうえ、判例の読み方も少し変わり、正直今までよくわからなかった内容も、内容の位置付けができるようになり、判旨がストンと腑に落ちるような感覚もあったりなかったりする。


憲法については、「論証はコンパクトに、事実摘示と法的評価の捻じ込みは厚く。」ということを他科目以上に意識して、勉強を続けていきたい。

そろそろブレイクスルーしそうな気がする。


(書き忘れ)

間違っても、判例の事案や判旨を丸暗記するような勉強に走らないように注意したい。あくまで、判例がどのような事案でどのような考慮要素に着目してどのような評価をしたのかという点の理解を中心に勉強(本格的なナナメ読み)をする。今年の予備論文で参考となる判例は全農林であったが、立法事実は問題文中にナンバリングまでして丁寧に記載されており、十分な誘導があったため、全農林を覚えていなくとも(理解して覚えているに越したことはないが…)、考慮要素の抽出、評価方法や評価の表現の引き出しが十分にあったならば、三段階審査等の型に乗せてそれなりに緻密に論じられたはず。今年はそのような部分が全く身についていなかったために壊滅しただけのはずである(と思いたい)。暗記は自然に覚えていく部分にとどめ、着目方法等の暗黙知を会得していきたい。