芳村思風一語一会 vol.5055 
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人格の香り 
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一流と二流を分けるもの。 
「致知」1993年 3月号 
 
◆鎌倉時代末期、有名な刀鍛冶、正宗の話。 
弟子たちのなかで、一番優れた刀を鍛えた者を婿に取り跡を継がせようとした。 
テストの結果、残ったのは村正と貞宗の2人。 
 
最後に、この2人に勝負させた。 
2人は鍛えた正宗のところにもっていった。 
 
正宗は、屋敷の中を流れる小川に、 
二人が鍛えた刀を立て、上流から藁を流した。 
  
藁は、村正の刀に吸い寄せられるように寄っていき、 
刀に触れるか触れないかの間にスパッと切れた。 
 
貞宗の刀にも藁が流れていき、引っかかった 
引っかかったままで切れなかった。 
 
正宗が貞宗の刀を流れから引き上げた。 
藁ははじめて切れて流れていった。 
 
村正は「勝った」と思った。 
しかし師の判定は異なり、 
貞宗の鍛えた刀が優れているとした。 
跡継ぎは、貞宗になった。 
 
村正の刀は、斬ろうとしなくても斬ってしまう。 
貞宗の刀は、斬ろうという意思が働かなければ斬れない。 
これこそ武士の持つ刀にふさわしいと考えたから。 
 
武士は人を斬るために刀を持つのではない。 
天下国家を治めるために持つ。 
 
 
村正の刀は、斬れ味は鋭い。 
斬ろうとしなくても斬ってしまう。 
技術的な能力の冴えだけで鍛えられている。 
 
貞宗の刀は、人間の意思が働いてはじめて斬れ味を発揮する。 
いわば技術的な能力に、人格の香りといったものが加わっている。 
 
これが、同じ一流でも刀の優劣の差になった。 
 
技術的な能力だけではなく、 
人格の香りという 
微妙な価値を評価する哲学を備えていた正宗こそ一流中の一流 
 
  
 
 
 
 
やさしい笑顔と光がすべての方に届きますように・・・  
 
※「愛の子育て」(1~3)2012年出版の改訂版を 
再編集して、1冊にまとめ、6月に販売を予定しています 
 
 
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