今月は、カレンダーにない言葉の紹介です。

感性論哲学の基礎を芳村思風先生本人がまとめられたものです。

華

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新しい人間観と新しい生命観(3)
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・時間的な歴史的考察と空間的な現状分析から「感性」をみる

哲学とは、
常に「時間」と「空間」という枠組みを意識しながら論理を構成していきます。
例えば、一人の人間を理解しようとした場合、
その人間の現在のあり方を知っただけでは、
その人を本当に理解しているとは言えないのです。

その人が持っている個人史、
その人自身が持っている生まれてから今日までの歴史というものを振り返ってみて、
それを「その人間が現在どうであるか」ということと総合して初めて、
本当に知り得たということになるのです。

すなわち、空間的な現状分析と時間的な歴史的考察、
この2つを組み合わせて初めて、
あるものについて総合的に理解をし得たということになるのです。

その意味からすると、ここまでの人間存在に関する現象学的分析は、
人間存在に関する現状分析ということですので、
ここで出てきた結論を、哲学的に根拠のあるものとするためには、
人間存在というものを歴史的に考察してみなければなりません。

そこで、これから「感性」というものを歴史的に振り返ってみることにします。


・歴史的にみた場合の「感性」 

「感性」という能力は、人間だけが持っている能力ではありません。
そこで、まずアメーバにおける「感性」というものがどういうものであるのか
ということを研究してみました。
これは、発生学的解釈学の中の系統発生学的方法です。

単細胞生物では、感じる力そのものである「感性」が、
そのままの形で単純な形で理解できます。

「感性」が最も単純な形でみられるアメーバから、
「感性」というものを研究し、
「感性」が「人間の感性」となるまでに、どのようなプロセスを経ているか、
そのことを見ることによって、
さらに感性というものが人間の本質であることを、
根拠づけて行きたいと考えた訳です。

アメーバの「感性」を観察してみて気づいたことは、
アメーバというのは、光の刺激に対して非常に敏感に反応しますが、
その他の刺激に対しては全く無反応であることです。
アメーバにとって生きるために欠くことのできないものとは、
適度な温度と水と光です。
そのうち、この一定の温度と水というのは、既にアメーバに与えられています。
ただ一つ、アメーバが自ら求めていかなければならないものは、光です。
ですから、アメーバは光の刺激に対しては、敏感に反応するのです。

このことから、まず最初に、
「感性」とは刺激に対して受動的に反応する感受性ではなく、
むしろ、「自ら生きるのに必要なものを自ら積極的に獲得しようとして、
感覚しようとする働きが本質である」、
という原理が得られました。

私はこの「感性」の働きを「求感性」と名付けました。

「感性」の本質は感受性ではなくて、「求感性」であると述べましたが、
だからと言って、感受性という能力がない訳ではありません。
しかし、感受するためには、求感しなければなりません。
本当に感受性を磨こうと思ったら、
まず「求感性」を高めていかなければならないのです。

次に分かってきたことは、「生命の本質は感性」であるということです。
生命というものは感性によって生かされているのです。
今日までは最終的なものは生命だと考えられていて、
「生命の本質は何であるか」ということを問うという意識はあまり存在しませんでした。

しかし、アメーバをよく観察してみると、
「感性というものが働いていないということは、その細胞は死んでいるということだ」
と分かりました。

感性が存在しなかったら、命はもう既に死んでいるのです。
感性は決して命が持っている属性、あるいは能力なのではありません。
命は感性によって支えられ、存在させられているのです。


(続く)




今日も素晴らしい一日でありますように!



芳村思風先生 「だいじょうぶ日めくりカレンダー」より

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