の続きです。
三者面談中に伊藤先生の机から
ナンヨウハギのぬいぐるみ
を持ち出し、先生に
『これちょうだい』
とせがむコウに、
簡単に承諾した伊藤先生。
私だけ意味が分からない…
伊藤先生は私にこう言いました。
『コウには宿泊学習のとき、本当に申し訳ない事をしたので…お詫びです』
いやいやいやいや、いいって!!
よく先生に差し入れしたり
家庭訪問で出したケーキを
先生が断る…というケースはあるものの、
逆ってあります?!
私がお断りしても
コウは持って帰りたいと言うだろうし、
先生は持たせる気満々だし…。
『じゃ、せめてお支払いしますから!おいくらでしたか??』
と、私は聞いたのですが…。
『いいんですいいんです。
僕、妻の実家が千葉で。千葉からは近かったんで』
おい…まさか…。
現地まで行ったんかい
ここで忘れちゃいけないのが、
もう一人の担任の先生。
彼については後々書きますが、
伊藤先生よりはThe・中学教師
という感じで、冷静な人です。
なのにその先生まで、
『谷さん、いいんですよ。
もらってください。僕らの気持ちです』
えぇ………
それだけコウの落ち込みようが
半端じゃなかった…ということか。
3対1という図式になってしまい、
お言葉に甘えて頂くことにしました。
ちなみにそのナンヨウハギ…。
伊藤先生たってのリクエストで、
名前は伊藤先生の下の名前に
なりました
先住民のカクレクマノミと…
コウのベッドで毎日一緒に寝ています。
このストライプの枕も、
放デイの手芸のレクの時、
『ゆうじ(ナンヨウハギの名前)の枕を作りたい!』
と言って自分で作って持ち帰ってきました
なんかみんながコウの世界に
引きずり込まれてるような気がする…
いいんですよ。
かわいがってもらえてるという事は。
先生方もそうは言っても
ダメなことをしたときは厳しく
指導してくれてますし。
ただ、物をもらってしまうというのは…
えこひいき
にならないだろうか?
私は子供の頃から、
どちらかというとえこひいきを
されない側でした。
あの子ばっかりいいな。
同じことをしても私は…。
そんな場面がいくつもありました。
大人になった今もです。
だからいざ、
えこひいきされる側に立つと…
なんだか落ち着かない
とにかくこのナンヨウハギについては、
他の子にバレてはいけない。
特に冬子さんにバレたら、
何を言われるか分からない
三者面談が終わって教室を出るときも
コウに『リュックに入れなさい!』
と隠すように指示をしました。
でも、そんな時こそ
会いたくない人には会ってしまうもの…。
昇降口で、面談が次の順番だった
冬子さんと冬樹くん親子
に会ってしまうのでした…。
続きます。