の続きです。
数日後、たまたま
冬子さんと会う機会がありました。
話題はやはり、宿泊学習に。
『それにしても、あの部屋割りでよかったわー』
小5の時も宿泊学習があり、
その時は支援級の子は
通常級の子に混じって
同じ部屋で宿泊しました。
ですがその際も冬子さんは
先生に猛抗議しています。
『春樹くん・夏樹くん・コウくんと4人の部屋割りにしてください
』
支援級の主任の吉田先生は、
冬子さんの要望をかたくなに拒否。
混ざるほうも混ぜるほうも学習
と言っていました。
私も正直、
コウが通常級の子に混ざって泊まるのが
心配ではあったのですが、
先生方がちゃんと見てくれてるというのと、
“先生が大丈夫と言うなら大丈夫だろう”
と思っていました。
それに比べて今回は、
支援級の子のみの部屋割り。
冬子さんが喜ばないわけがありません![]()
『まぁ…でも、春樹くんちゃんと学校来れてるようで、よかったですよね』
わざと私は話題を変えました。
ですが冬子さんは。
『通常級に行くってことはそういうことだからね』
…そういう…ことって??![]()
『支援級にいれば先生に守ってもらえたのに、そりゃ通常級に行けばいじめられるに決まってるでしょ』
冬子さんは…
春樹くんのことをそう思ってたのか。
返す言葉がありませんでした。
思い返せば冬子さんは、
春子さんに対して時々、
『春樹くんは優秀だもんねぇ』
『うちら(冬子さん・夏子さん・私)とは悩みが全然違うもんねぇ』
『春樹くんが軽度で、春子さんはいいよねぇ』
と言っていました。
確かに春樹くんは、
コウや冬樹くん・夏樹くんに比べれば
できることは断トツで多いです。
でも、
軽度=悩みが無い
ではない
ということを、
私はシュウを通じてよく知っています。
『春樹くんは小学校の時から、通常級の子とトラブルになることも多かったし』
『春子さんもこうなる事分かってて通常級に行かせたんでしょ』
『自業自得だよね』
ちょうどこの時、
私はコウよりもシュウのことで
悩んでいた時期でした。
判定は通常級だったのに、
担任からは支援級にいけと言われ…。
通常級にいなければいけない理由がある。
それはシュウもだし、春樹くんもでした。
でも支援級の側から見れば、
まったく理解できない。
冬子さんは色々教えてくれるし、
転校してきたときも一番先に
話しかけてくれた人です。
良い人だけど…。
奥深い部分では、分かり合えないかもしれない。
何とも言えない気持ちで
私は冬子さんと別れたのでした。
続きます。

